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2002年12月23日

ヒルトン大阪 Standard Room
楽-2 過去の思い出
ホテル車寄せ入口
1990年頃、大阪での定宿はヒルトン大阪だった。当時は東京ヒルトンを頻繁に利用していたため、大阪でも同系列のホテルをと選択していたが、他に魅力的で便利なホテルが見つからなかったというのも本音だった。かつては大阪ヒルトンインターナショナルと名乗っており、国際的な雰囲気、合理的なサービス、駅前の好立地と、ビジネスの拠点としては申し分のないホテルだった。まだ都市型ホテルの客室が、過ごすための空間としての役割を確立する以前の時代だったので、30平米の極めてオーソドックスな客室にも、さほど不便を感じることはなかった。しかし、ある日を境にこのホテルを利用するのをやめた。

その日、数日の滞在を終えてホテルを後にし、新幹線に乗ろうと新大阪駅に向かったが、駅に着いてから改札までの間に、迂闊にもどこかでスリにあってしまった。カードホルダーを兼ねた札入れを盗られ、残ったのは小銭入れだけだった。新幹線のチケットも札入れの中。東京に戻ることもままならず、残った小銭で東京のスタッフに電話を入れた。

結局東京からスタッフが現金を持って迎えに来ることになったが、スタッフを待っていたのでは、その日のうちに東京へ戻ることが難しく、その足でヒルトンに戻ることにした。タクシー代はすでになく、地下鉄を使って梅田まで行った。そして、先程チェックアウトしたばかりのエグゼクティブラウンジへ行き、理由を説明してもう1泊させてもらえるよう申し出た。

ところが、係の返事は非情なものだった。部屋はあるが、当日の予約に当たるので、クレジットカードのプリントかデポジットなしには、キーを渡すことができないという。彼女の主張は間違ってはいない。こちらは不測の事態で丸腰となり、途方にくれていると正直に申告し、重ねて頭を下げた。「ですが、こちらはエグゼクティブ用の特別フロアですので・・・」などと、いったいどういうことだか理解に苦しむ理由をつけて渋り続けていた。マネージャーに取り次ぐように頼んでも、応じようとしない。

いつもなら、もっとはっきりとした口調で、強くそれを求めるところだが、何も持ち合わせがないとなると、気が滅入って言葉が続かない。なんと意地悪なんだろう。それだけがこのホテルに残った感想だった。その晩は、東京のスタッフの取次ぎで、当時の全日空シェラトンに泊まった。フロントの若い係はそれはそれは同情してくれ、スタッフの到着までお困りなら、自分が個人的に現金を用立てするとまで言ってくれた。それに甘えることはしなかったが、旅先で困り果てたときに、その親切心はどれだけ心強かったことか。彼の表情は、今でもはっきりと覚えている。

以来、足の向かなかったヒルトンだが、今ではすっかりと雰囲気も変わり、明るく健康的なサービスが魅力のアメリカンスタイルホテルだと、好感を持って見られるようになった。ロビーは駅前の好立地もあって、いつでも待ち合わせの人で賑わっている。ホテルに隣接してインターナショナルなブランドショップが多数集まったヒルトンプラザがあって、そちらのアトリウムロビーにもいつも人が絶えない。

人が集い行き交う空間は、いつも活気に満ちている。その活気に相応しいキビキビとしたサービスをするスタッフがロビーで出迎え、吹き抜けに面したフロントカウンターへと案内してくれる。チェックインは、手違いなくスピーディーに行なわれることが求められる、ビジネスユースがメインのホテルらしいもの。客室への案内もきちんと行われた。

客室は、ごくオーソドックスなホテルのレイアウトだ。窓の障子と襖が日本のヒルトンらしさを感じさせている。全体に色味を抑え、淡い色調で統一した。とてもやさしい色使いだが、いささかコントラストに欠ける印象もある。テレビの黒が、やけにいやらしく感じられるインテリアだ。ベッドは160センチ幅で、白いカバーに覆われた羽毛布団が掛かっている。

バスルームは、タイル張りのスタンダードな造り。アメニティは充実しており、トイレには洗浄機能付き便座を備えている。連泊中、客室の掃除が、滞ることがあった。頼んだ時間までに仕上がらず、急ぐように改めてリクエストして1時間を経過しても、まだ手を付けてさえいなかった。アシスタントマネージャーに苦情を言うと、「チェッカーズ」に席を取り、好きな物を楽しみながら待てるようアレンジしてくれた。

客室そのものは、比較的古いスタイルなので、ファブリックなどをモダンにすることはできても、例えば近くのリッツ・カールトンや阪急インターナショナルと客室の快適性で競争するには無理がある。しかし、レストランはどこも魅力的だった。ヒルトンらしさの光る颯爽としたサービス、手頃に楽しく食べられる豊富なメニュー、魅力的なプロモーションなど、デイリーユースにも心強く応えてくれる。ルームサービスも充実しており、リーズナブルな価格だった。

淡いトーンでまとめられた室内 オーソドックスなレイアウト

ベッドもシンプルに徹した 楽しい雰囲気のあるカレーのルームサービス

ベイシンもすっきりとしている ガラストレーに載ったアメニティ

[ヒルトン大阪]

Y.K.