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リーガロイヤルホテル東京 Executive Floor Twin Room  
Rihga Royal Hotel Tokyo 2010.02.10(水)
東京都新宿区 哀-4

エレベータホールにあるミラーの縁

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MUGO・ん・・・色っぽくない


冷たい雨が降る中、リーガロイヤルホテル東京の車寄せに到着した。恭しいドアマンに先導され、金色に輝くエントランスを通り抜け、王の居城を彷彿とさせる豪奢なロビーへと足を進めた。やはり、人影はない。どこか、派手なパーティーがはねた後のような、余韻と寂しさを感じさせる。あるいは没落した王の、ただよう無念だろうか。

きらびやかな正面玄関

あちこちに置かれたイスたちは、掛けてくれる人を手招きしており、やけに明るく輝くシャンデリアは、すでに重くなってきた瞼をしかと開かせようとしているかのよう。ロビーもまた、眠るには早すぎる。まだ19時半なのだから。

ロビー

ドアマンは荷物を提げ手に颯爽と持ち、レセプションデスクへと案内した。そこには手続きを行うためのデスクが3つ。ひとつはエグゼクティブフロア専用なのだろうか。そして、連れが待つためのソファもある。このレセプションエリアは、4本の円柱と、レリーフを施した柵で囲われている。

レセプション

通常なら、ここにフロントレセプション係が待機しているのだろう。だが、この時は誰もいなかった。客もいなければ、従業員もいない。これが船ならゴーストシップ、邸ならホーンテッドマンションだ。仕方なくなのか、あるいはドアマンの新しい職務なのか、なんとドアマン自らがデスクに着き、レジストレーションカードを差し出して、チェックイン手続きを始めた。やはり、ここは迷宮か。

そこへ不在だったレセプション係が戻って来て、ドアマンは泣く泣くその珍しい業務を中断して、彼女に引き継いだ。健全なホテルなら、ここで「お待たせいたしました」とか「ようこそいらっしゃいました」とか、この局面に相応しい言葉があるのだろうが、彼女は無言を貫き、いぶかしがる客に対して視線のひとつもよこさなかった。

湖畔の古城のようにしっとりとした美しい時間が流れていたのに、彼女のドタバタした動作がそれを破壊した。さらに動作がヒートアップしているようだが、それは予約が見当たらないことに起因しているらしい。やっと口を開いたかと思えば、どこから予約したのか、いつ予約したのか、名前は間違っていないかなどなど、まるで供述を取るように質問を浴びせてくる。

最初に、不在と担当変更という不作法を詫びる言葉があり、客を歓迎する仕草を少しでも見せていれば、いくらでも協力するのだが、すでに彼女の態度に嫌気がさしていたこともあって、予約係に電話でもして確かめたらどうなんだと進言した。

だが、彼女は返事もしない。とうとう頭に来たので「聞こえているのか」と厳しく問うと、やっと「はい」との返事。まるでバカにしている。呆れていると、別の男の係が出てきた。「この子、行き詰まっているようだから、代わってくれる?」と声を掛け、事実、席を替わったら、たちまち予約は見つかった。

部屋へは、その男の係が同行した。客室へ向かうエレベータは2基。エレベータホールは石造りで、歴史的な建物のような趣きがある。

ロビー階エレベータホール

客室階のエレベータホールに着くと、急にレジデンシャルな雰囲気に包まれる。シルクの壁紙や、毛足の長いカーペットが響きを吸収し、石造りのロビーとは空気の動きがまったく違うからだ。エグゼクティブフロアのコンソールデスクには、蘭の鉢植えがあり、ハロゲンのスポットライトに誇らしげに照らされている。

エレベータホールの蘭

まっすぐに延びる客室廊下も、エレガンスの粋が感じられ、両側に並ぶキャンドル型のブラケットは、オペラ座の怪人の世界を彷彿とさせる。デラックスフロアとの相違点は、カーペットの色、そして、各扉の回りに装飾付きの羽目板があること。それだけでも、立派な印象が増す。

客室階廊下

客室は予想していたよりも、よい状態が保たれていた。前回、デラックスフロアの同じタイプに泊まった時は、ファブリックの劣化のみならず、家具の傷みが散見され、落ちぶれたものだとガッカリさせられた。だが、エグゼクティブフロアの客室は、稼働率が低いのか、家具の傷みはほとんど見られない。

カーペットは新調されたようだが、他はこれまで通り。ファブリックには、よく見ると擦り切れ箇所がいくつもある。それより気になるのは、額と家具の配置がずれていること。まずはそれを整えてみたところ、それだけでだらしなさは消え去り、整然と見えるようになった。窓際のソファセットも配置が乱れていたので、シンメトリーに置き換えた。

ツインルーム室内

室内の家具は、どれも装飾的でたいへん立派である。デスクはワイドなワークスペースを持つが、どっしりと重厚というよりは、華奢で女性的なデザイン。テレビが収まるアーモアの下段には、3段の引き出しがある。テレビは26インチの液晶だが、添えられているのがVHSとは笑える。

デスク側

ベッドの寝心地は悪くない。ベッドスプレッドをリメイクしたスローケットと、ストライプ柄のデュベを使い、ベッドカーテンもきちんと整えてメイクしてある。

ベッド

室内のスタンドはすべて電球型蛍光灯。それも古いタイプらしく、電源を入れてから明るくなるまで、かなりの時間を要する。デスクライトと室内灯スイッチが連動しており、デスクだけ点灯させることはできない。以前は、窓の結露がひどかったが、今回はほとんど曇ることもなかった。

ミラーに映るソファセット

ホワイエは少々長めの廊下状。両開きの広いクローゼットを中央に、両脇にはミニバーやポット置きになっている。その天端にはグリーンの大理石を使っている。

入口ホワイエ

茶セットには急須を添え、それが演出効果をあげている。茶筒もあるが、中に入っているのはティーバッグだ。

茶セット

リカー類は、ミニチュアボトルではなく、クォーターサイズのものを並べてあり、存在感を醸している。

ミニバーのミニではないボトル

バスルームは大理石仕上げ。シャワーブースはないが、全体的にエレガントさが感じられる。しかし、シャワーカーテンが安っぽいこと、そしてカーテンレールが更に安っぽいことで、全体にクオリティを引き下げているのが残念。細かいところで妥協しないでもらいたい。

バスルーム

バスルーム床は大理石のパターン仕上げ。ベイシン天端はミニバーと同じグリーンの大理石で、白く丸いスツールを添えている。ふかふかのバスローブは、バスルーム扉に掛かっている。タオルは3サイズが2枚ずつ。

バスルーム床の大理石パターン

トイレは磨りガラスをはめた扉で完全に仕切られた個室。洗浄機能付き便座を備えるが、機種が古いためか、水勢がかなり弱い。

独立したトイレ

バスアメニティは、リーがロイヤルホテル共通の品揃え。クラシカルな内装に、国産の廉価なシャンプー類は似合わない。バスアメニティは、ホテルのセンスが最も色濃く反映される部分。やはり、ここはオヤジセンスのホテルであることが、この品揃えからもうかがえる。

バスアメニティ

部屋で落ち着いてしまう前に、ロビーへと引き返し、もう少し雰囲気を味わうことにした。このホテルで最も心地のよい場所は、ロビーラウンジ「ガーデンラウンジ」である。大熊庭園の緑を望む昼間もいいが、シャンデリアのやわらかい輝きに照らされる夜は、よりロマンチックで美しい。

ロビーラウンジ

客もまばらなラウンジでのティーブレイク。あるいは、カクテルやブランデーを傾けるのもいいかもしれない。ラウンジ周辺には、ヨーロピアンクラシックの調度や意匠が数々見受けられ、目を楽しませてくれる。

ロビーの噴水は水が抜かれている

2階に上がれば、ロビーラウンジ上の大シャンデリアを間近で眺めることもできる。

ロビーラウンジ上の大シャンデリア

一夜明けての朝食は、「カフェ コルベーユ」にて。パリの街角をイメージしているらしいが、開業当時の内装がエレガント路線だったので、箱と家具のバランスが釣り合わず、店内はちぐはぐだ。客はまばら。受験生親子が数組と、ひとりのビジネスマンが何人かいるだけである。

テーブルはノーセッティングで、すべてセルフサービス。だが、係は下げものにはやけに熱心だった。料理の品揃えはまあまあ。和洋を比べると、和の方が充実している印象だ。ポーションになっている蜂蜜をひとつ取ったら、なんとそれは開封済みで使い掛けのものだった。しかも、中身が漏れてベトベト。朝からついていない。

大隈庭園でも散策しようかと思ったが、4月5日までは芝生保護のため閉園中。残念。

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リーガロイヤルホテル東京

このホテルに関する過去のレビュー

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