2001.04.01
花見
リーガロイヤルホテル早稲田 Executive Standard Room
喜-4開業当初に比べるとサービスのレベルが確実に向上しつつあり、訪れる度に前回の印象よりも快適な滞在になってきている。若い従業員にもゆとりが出てきたのか、ゲストと呼吸を合わせることに慣れだしているようだ。チェックインの際、予約した最上階の客室は清掃が間に合わず入ることができなかった。すると、他の階で用意できる客室を提示した上で、すぐに部屋に入りたいか、清掃が終わるまで待つかの選択肢を投げかけてきた。今回は最上階に特別な思い入れがあったので、清掃が済むまで待つことを選んだところ、ラウンジでお茶を出して待たせてくれた。
若い女性も男性も含めて、従業員たちは皆自然で積極的。その効果で館内が活気づいて見えた。清掃には1時間弱を要すると聞かされていたが、20分ほどでラウンジにルームキーが届けられた。そうした気の利かせようとは裏腹に、エントランスホール周辺は、ポスターがベタベタと貼り付けられたり、レンタルビデオ店の店先のようにゴチャゴチャとしたディスプレイがしてあったりと、駅のコンコースのような状態になってしまっているし、造花がアレンジメントされたガラス製の大きな花瓶には水が張ってあるしで、センスのなさを露呈している。
今回利用した12階の客室は、その他の階よりも天井が高いが、その他にはそれほど大差はないようだ。ただ、そのわずかな天井高の差が、大きな開放感を生み出している。窓からは川沿いの桜が一望でき、それはそれは見事だった。室内の清掃は行き届いている方だが、窓枠が汚れていたり、通気口に埃が溜まっているなど、日々の清掃ではなかなか手が届かない部分に汚れが目立った。エレベータホールの通気口も汚れていた。
バスルームの真鍮はだいぶ輝きが鈍ってきているが、贅沢にできているのでそれを風格だと感じられないこともない。せっかくゴージャスに造っているのに、シャワーカーテンは安物だし、それを支えるレールはもっとださく、ロビーのセンス同様に全体のバランス感覚がなっていないようだ。ベッドはいつものようにターンダウンされた状態で、空調の調子もいまひとつ。ルームサービスは24時間営業しているが、深夜は飲物しか扱わない。それでも快適に思わせるだけのサービスができるようになった。これが今回だけ、たまたま運がよかったのではないと信じたい。
この日よりカナダフェアが始まった。週末ディナータイムのスーパーバイキングは3,600円。とりあえず店に入ろうと思ったらウェイティングが生じており、20分近く待つことになった。順番が来て案内された席には、つい今しがたまで子供連れのグループがいたらしく、椅子のしたには食べ物のカスが散乱していた。さて、ブッフェではどんなものが食べられるかと思い、メニューを眺める前にブッフェ台を覗きにいった。ブッフェを注文する前には、一度ブッフェ台を確かめてみた方がよい。想像とまったく違っているということも少なくないからだ。
今回も想像を裏切られた。ナッティープロフェッサーのクランプ一家が訪れた後のように、食べるものはほとんど残っておらず荒れ放題だった。ちょうど嵐が去った後だったのかもしれないが、その状態を見てしまうと注文する気持ちは萎えてしまう。周囲のテーブルを見ると、なにやら葉っぱで包まれた魚介類のような料理を食べている人が多い。しかもみんな女性。なんだろうと思ってメニューを眺めると、「アリーマイラブコース」2,500円というのがあった。手頃なプライスでコース仕立ての食事ができ、しかもオリジナルグッズ(メモ帳みたいだった)がもらえ、人気があるようだった。そういえば宿泊プランにも「アリー系ステイプラン」なるものがあった。一瞬そのコースを試してみようかとも思ったが、女性向きな内容だったので、結局アラカルトから選ぶことにした。
いつものガーデンサラダ1800円。パンも付いているので十分におなかいっぱいになって、しかもヘルシーなのでオススメ。デザートにはフェアメニューからメイプルワッフルのストロベリー添えを注文した。焼きたてで香ばしく、とてもおいしかった。サービスは、若い従業員こそ可もなく不可もなくだが、黒服はよくがんばっており、熱意が伝わってきた。ファミリー中心だった客層が、21時を回ると外国人や学生が目立つようになっていった。ちょうど早稲田大学入学式の夜だから、このホテルが最も元気な一日だったのかもしれない。
12時に店に入ったら、すでに予約で満席だった。ウェイティングコーナーでいつ空くかわからない席を待っていると、次々に予約のおじさんたちが店に入っていく。どうやら大学の関係者がほとんどなようだ。これほど混雑をする店だとは思わず、予約を怠ったのは失敗だった。しかし、おじさんたちはあまりのんびりと食事をしている場合ではないらしく、早い人は11時半に入店して12時過ぎには席を立っていった。ちょうど窓際のよい席が空いたので、そこに案内してもらえた。
大きな窓の外にはせせらぎがあり、春の日差しを浴びた新緑がまぶしい。テーブルの間隔も十分で、ゆとりのある造りになっている。お昼の定食は2,000円からあるようだが、ゆったりとした気分に誘われ、ちょっと奮発してご馳走を食べた。サービスも安定しており快適。せせらぎをよく見るとおたまじゃくしがたくさん。ぜんぶカエルになったらえらいことだと思いつつゆっくりと懐石を楽しんだ。
2001.07.31
フェスティバルホールの思い出
リーガグランドホテル Single
楽-115年ぶりにリーガグランドホテルを利用した。当時は大阪グランドホテルと名乗っており、オヤジくさいビジネスホテルといった印象だったが、隣接する大阪フェスティバルホールでイベントがあるときは、半ば強制的にこのホテルに部屋を用意されていたので、何度か宿泊したことがあった。しかし、以前の客室がどうであったか、まったく記憶にないのは、舞台に立つ緊張にまだ慣れていなかったからではないかと思う。
エントランスホールは昔ながらの雰囲気で、天井には懐かしいデザインのシャンデリアが下がり、明るくあたたかい印象を受ける。片隅にあるフロントデスクは建物やロビーの規模に比べるとやや小ぶりな感じがする。ロビー奥には落ち着いた雰囲気のラウンジがあり、ロビー全体が見渡せて待ち合わせにも便利そうだ。客室階は最近改装が施されたらしく、こぎれいになっていた。エレベータホールは広く、なんとなく歴史を感じさせる。
今回利用したシングルルームは、シングルとしては標準的な広さで、標準的な設備だった。ただ、最近では幅の広いベッドや、広いバスルームを自慢にしているアッパークラスのビジネスホテルが増えてきたので、まさしくシングルサイズのベッドというのは、いかにシーツの肌触りがよいとはいえ窮屈に思えた。また、このタイプの客室にはクローゼットに扉がなく、来客用のコート掛けのような状態で壁に剥き出しになっている。引き出しなどの収納も少なく、身軽な出張に向いた客室だと言えそうだ。冷蔵庫は引き抜き式で、アイテムが少なく、フリースペースも狭い。ズボンプレッサーが用意されているのはありがたかった。
バスルームはタイル張りでこれまた昔風。やや狭いが、清掃は行き届いていた。アメニティはオーソドックスだが、男性化粧品はしっかりと並んでいた。タオルは3サイズ用意されている。ホールに隣接するホテルだけあって、館内にはピアノ練習室が用意されている。しかし、帝国ホテルのそれとは違い、アップライトピアノの設備で、しかも宿泊客でさえ1時間に2,500円の料金が必要となる。無料にしてほしいとは思わないが、設備の内容から見て高すぎるように感じた。
2001.08.20
ハイブリッド
リーガロイヤルホテル Single
楽-1台風のさなか、大阪に出かけた。久しぶりに訪れたリーガロイヤルホテルのロビーは、昔ながらの華やかな雰囲気を保っていた。ロビーには最新の台風情報や交通情報を掲示して、お客の便宜を図っている。西隣には「グランキューブ大阪」という大型の会議施設ができて、ウェストウイングの1階から連絡通路が設けられていた。
格安料金で提供されているウエストウイングの客室は、改装されてはいるものの、タワーウィングの客室とは違いシンプルなデザインで、小奇麗なビジネスホテルといった感じだ。客層は、ビジネス客のほかエアラインクルーやアジア系の観光客なども多く賑やかな雰囲気だが、室内は比較的静かで騒音に悩まされるようなことはなかった。
昔ながらのタイル張りの浴室には、ディスペンサー式のシャンプーやリンスが備えられている。冷蔵庫は、無料のミネラルウォーターが一本あるほかは、プリンスホテルのようにカラッポでお客が自由に使えるようになっている。ウエストウイングは完全にエコノミーホテルとして割り切っているようで、ひとつの敷地にシティホテルとビジネスホテルが同居しているようなものだろう。
しかし、さすが大阪の迎賓館といわれたホテルだけあって、レストランやアーケードの充実振りは大阪の他のホテルより一歩抜きん出ており、これらの施設を自在に使えるのはお得といえるだろう。駅からはやや遠い場所だが、JR大阪駅との間を連絡バスが頻繁に往復しており、アクセスにもそれほど不便はない。
Y.K.