ビルの谷間
2007.02.18(日)
パークホテル東京 City Twin Room
Park Hotel Tokyo
哀-2

窓からの眺め このホテルは、何もかもが中途半端でよくわからない。デザインホテルだといいながら、とても吟味したとは思えないような品物を恥ずかしげもなく採用しているし、サービスについても、コンシェルジュがいてもドアマンがいないとか、ロビーにアテンダントがいても荷物を運んでくれないなど、どこまでのことならしてくれるのかハッキリしていないように感じられる。

だが、最近になって客室への案内は積極的に行なうようになったらしく、大きなカートを従えた客だけでなく、少ない荷物の客も、アテンダントと共に客室へと上がっていくのを目にする。今回利用したのはシティツインと呼ばれる最も標準的な客室だ。昨年からなんとも都会的な響きの名称に変更されたが、なんということはない、目の前にビルが迫り、まるでビルの谷間に埋もれたかのような圧迫感をそう表現しているに過ぎない。

まあ、考えようによっては、極めて都会的な環境だと言えないこともないが、高層階から街並みを見下ろすというのと違って、隣のオフィスビルやホテルの窓が、ヘタをすれば目が合ってしまいそうな距離に存在するというのは落ち着かない。しかも、室内が東京のシティホテルでも一、二を争う窮屈さなのだから、この圧迫感は他では得難いのも事実。息苦しさを紛らわすためにカーテンを開けるべきか、プライバシーを死守するために閉じるべきか。大いに悩むところだ。

ホテル発行の季節の案内を読んでいると、クローゼットの扉について書かれていた。デザインに関していかに深い配慮をし、すべてに吟味を重ねているかを述べており、クローゼットは扉もその象徴でもあるという。確かにクローゼットの扉にそうした思いいれを感じないでもない。だが、そのように能書きを並べられない限り、有難みが泉のように湧き上がってくることなどない。もっと直感的に気付ける工夫をしてこそ、ホテルデザインではないかと思う。

第一、クローゼットの扉にどんなに深い思い入れを注いでいようとも、安物のバスルーム扉や、ビジネスホテルで使っているようなバゲージ台、そしてむしろ吟味の浅さを感じさせる壁紙やカーペットが、全体の完成度を大きく引き下げている。バスルームにも残念な工事跡が見つかった。バスタブの周囲のパテが劣化したからだろうか、その補強工事を素人が行ったと見え、汚らしい仕上がりになっている。そもそも、以前は透明の樹脂を使っていたのだから、せめて同じものを使えばよかったのに。まったくもって知恵が足りない。

ロビーラウンジでケーキセット(1,155円)を注文した。メニューに「ケーキはお選び下さい」と書いてあったので、どんな種類があるのかとワクワクしていたのだが、パッションフルーツのムースが自動的に出てきた。それはそれで美味しかったけれど、選ぶ楽しみを剥奪され、少々不満。だが、朝食は実に素晴らしい。都内でも屈指の内容だ。バラエティ豊富なサラダの具、美味しいパン、それだけでも十分幸せだが、フルーツやホットミールなどと合わせダイナミックなアトリウム空間で楽しめば、きっといい1日がスタートできるはず。

 
コンパクトな客室 ベッドの長さは190センチと外国人には短い パッションフルーツのムース
 
パークホテル東京 030901 040229 040903 041203 060103 060202 060326 060825


公開中リスト | 1992 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 |
| ホテル別リスト | レストラン別リスト | 「楽5」「喜5」ベストコレクション |