閉館間際の週末
2006.11.18(土)
キャピトル東急ホテル Superior Twin Room
Capitol Tokyu Hotel
楽-3

ドアの外に「Thank you」の文字 キャピトル東急ホテルの閉館まで、あと残すところ12日となった。ロビーは空前の賑わいで大混雑し、フロントカウンターにもチェックイン客が長蛇の列を作っていた。周囲を見ると、親子3世代に渡る客が目立つ。家族ぐるみでこのホテルを愛用してきた人たちなのだろう。6月の横浜プリンスもそうだが、閉館するとなるとこうして名残惜しくやってくる客が多いのも、歴史あるホテルならではのこと。大抵のホテルは閉館する時もひっそりと消えてゆくものだ。最後に一花咲かせられるというのは名誉なことなのかもしれない。

キャピトル東急ホテルで過ごす最後の一夜に用意されたのは、いつものスーペリアルームだった。最後なんだし、ちょっと奮発してスイートでも取ろうかと思ったが、やっぱりあえて「いつも通り」を選んだ。特別なことはせず、いつも通りに過ごしながら、最後ゆえに生じる印象の違いを感じ取ろうと考えたからである。

いつもの部屋は、しっかりと清掃されていた。ドアの外には「Thank you」と書かれた和紙がふんわりと丸められて貼り付けてある。室内は見慣れたインテリアながら、しみじみ見ると「禅」的な落ち着きとモダンな要素がよく調和し、整然とした印象がある。32平米の割には広く感じられ、狭いながらも大理石仕上げのゴージャスなバスルームや、アニックグタールのアメニティなど、魅力的な要素がちりばめられていた。

しかし、このホテルとは相性が悪いのか、これまで様々なトラブルや失態と遭遇してきた。それでも繰り返し使いたくなるだけの魅力を兼ね備えていたというのも事実である。ベテランのスタッフが揃っており、貫禄や経験は十分なのだが、時代に沿って変化すべきところで出来なかったことが、最大の過ちであった。今にして思い返してみても、昔はこれで十分通用したのだと思う。

残り期間わずかになって、今更仕方がないけれど、ベッドがヘタッて寝心地が悪いことや、デスクチェアのシート部分がへこんで違和感があることなど、見た目ではわからないところに注意が行き届いていなかったという印象もある。この先、東急ホテルが生き残るには、こうした感触にも十分な配慮が必要だろう。

夕食は「オリガミ」に行ってみた。きっと混んでいるだろうと予想して、遅めの20:30に直接店に出向いたのだが、それでも早くて一時間待ちの状態だった。席が空いたら連絡してくれるよう頼んで部屋で待っていると、21:10に電話が鳴った。ちょうど池の見える窓際の席に座ることができ、そこからは店内や半オープンスタイルのキッチンも良く見えた。

この店には気に入っているメニューがたくさんあるのだが、今回はスプレンディドディナーコースを注文。追加料金で各メニューをあれこれと差し替えることができるので便利なコースだ。これだけ混雑が続くと、働く方も疲れているに違いないが、それでもにこやかにキビキビと動いている。料理のタイミングもよく見計られており、味はホテルコーヒーショップの王道をゆくものだった。ホテルはなくなっても、この「オリガミ」と中国料理「星ヶ丘」は、赤坂見附東急プラザ内に移転して営業を継続するとのこと。この伝統と味は守り続けて欲しいものだ。

 
ホテル外観 幾多の要人も通った地下のエントランス 無料で利用できるフィットネスルーム

レストランフロアエレベータホール アシスタントマネジャーデスク ロビー

オットマン付ソファ ベッド デスクとテレビ

 
キャピトル東急ホテル 960217 990103 990618 000504 000805 010407 010628 010818 010923 020222 020302 020524 030511 030514 030531 030628 031029 031108 031226 040306 040410 040531 040604 040617 040703 050323 050504 050806 060328 060530 060812


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