帝国ホテル Superior Room
Imperial Hotel
2008.08.23(土)
東京都千代田区
楽-3

ロビーのシャンデリア
 
サービスにブレが見え始めた老舗 帝国ホテルに到着したのは、ちょうどチェックインタイムの14時だった。おそらくフロントは混雑しているだろうと予想していたが、意外にも客よりもスタッフの方が多かった。おかげで手続きはスムーズに済んが、ベルが出払っていたので、部屋へ案内するまでの間、フロント前に用意されたイスに座って待つように言われた。

だが、急に激しいめまいを感じて、ここで待つよりは一刻も早く部屋に入り、襟を開いて楽な姿勢を取りたいと思った。部屋へは自分で行くのでキーを渡してくれと頼むのだが、フロント前で客の誘導に余念がないマネジャーは、もう少しなので座って待てとしつこかった。そして、キーを手にするには、案内を強く断らなければならず、とても面倒に感じた。もう少し客のペースというものに敬意を払ったらどうだろう。

そして、やっとの思いでエレベータホールに向かい、扉が開いて待機しているエレベータに乗ろうとしたら、エレベータホールの係に、順番で案内しているので後ろに並ぶようにとたしなめられた。見ると、確かに何人かの客がエレベータを待っていたが、整列させなければ混乱が生じるというほどの混雑ではない。むしろ、のんびりと案内などしていることで、余計に間延びしているように見受けられる。

第一、宿泊客をエレベータに乗るために並ばせるなんて、それが日本を代表する高級ホテルのすることだろうか。高層階にあるラウンジに行く外来客で混雑するとわかっているのなら、何基かのエレベータを宿泊客用に確保するべきである。そして、1基をロビーと最上階との直通運転にすればいい。

今回利用した客室は、改装が済んだ42平米のスーペリアルーム。11階と比較的高層階だが、本館のウィングとしては最も眺めの悪い向きになった。そもそもあまり眺めには期待していなかったので、別段落胆するには値しない。

客室内の清掃状況は期待に違わず素晴らしいものだった。一部屋ごとを丁寧に仕上げているという印象があり、この端正さも帝国ホテルを一流たらしめている理由のひとつだろう。

改装されたインテリアは先に完成したインペリアルフロアに準じており、家具やバスルームの基本仕様など、共通する点も多い。だが、カーペットやスタンドライトのシェードなどに、デザインのみならず品質にも差を付けたことで、客室全体にグレードの違いを感じさる。また、インペリアルフロアに比べると、スーペリアは明るくライトにまとまった印象だ。

ベッドは真っ白いデュベカバーで仕上げ、濃い小豆のような色のスローケットとクッションをあしらった。寝心地はそれほど悪くないが、寝具は羽毛ではなくて化学繊維系らしく、どうもふんわり包まれるという感じにはならない。ベッドの環境はインペリアルフロアの「スリープワークス」とはかなり違うようだ。

ベッドと窓の間にはスローケットと同系色のソファとハイバックチェアを置き、ワイドなデスクは壁に向けてある。テレビやミニバーを組み込んだ収納ユニットには引き出しがたっぷり用意され、その脇のバゲージ台とともに、充実した収納力を持っている。テレビはせっかく37インチの薄型液晶を導入したが、まだアナログ放送。BSやCSも充実しているのはいいが、早くデジタル放送に対応して欲しいところだ。

今回の改装で居室の半分だけでも天井を高くしたことで、これまでの圧迫感が大幅に改善された。高くなった部分には、調光可能なシーリングライトを設置。窓際のダウンライト、フロアスタンド、デスクスタンド、ミニバーキャビネットの装飾ライトとあわせ、効果的な照明を成している。

空調の配管も改装されたらしく、空気浄化ユニットを備え、マイナスイオンを発生させるとあるが、その効果を実感するのは難しい。その有難い効能はともかく、肝心な室内温度に関しては、どう調節しても冷房が強く効き過ぎ、30度に設定しても震える寒さだった。

バスルームは大幅に改装されている。以前はタイル張りのユニットバスで、いささか時代遅れの感は否めなかったが、どっしりとしたホーローの大型バスタブや、広々としたベイシントップ、そして何よりも常に清潔に保たれた、なかなか快適なバスルームだった。

新しいバスルームは、トイレとベイシンのエリア、バスタブと洗い場のエリアに分かれたタイプを採用。両方合わせて約5.5平米の面積を確保している。ベイシンとトイレのエリアは、ベイシントップや床に天然石を使っており、収納スペースを工夫することでスペースを有効に使っている。扉は磨りガラスのスライドドアで、壁の一部も同じ磨りガラスにして、自然光をたっぷりと取り入れるようにしている。

バスタブと洗い場は160×160センチの正方形。バスタブには自動給湯システムを備えており、ボタンひとつでバスタブを満たすことができる。ちょっと気になったのは、バスタブ内に設けられた吐水口付近の金具が、部分的に鋭くなっていること。入浴中に足が触れてしまうことがしばしばあったが、その度に足を切りそうで怖かった。バスタブ内で足を滑らせたりして勢いよくこすったら、かなり深い傷を負いそうな感じなので注意が必要だ。

シャワーは固定とハンドがあって、固定はニセのレインシャワー。アメニティは帝国ホテルの標準仕様で、バスローブも備えている。

帝国ホテルにはグランドピアノを備えたミュージックルームがあり、宿泊客なら無料で利用できる。今回帝国ホテルを選んだのも、近く大事なコンサートがあるために、稽古を欠かしたくなかったからでもあった。そんなわけで、5階の受付に電話をしてミュージックルームの予約をしようとしたところ、すでに予約で一杯だとのこと。なんでもコンクールがあるために希望者が多く、キャンセル待ちなのだという。

なんと間が悪いことか。でも、そう簡単には諦めない。夜中でもいいので、空き時間を見つけてくれないか頼むと、音漏れするので午後9時以降は使用できないと言われた。以前は24時間いつでも使えたし、そのための防音なのに。

それはそうと、何か気に入らないかと言えば、係のつれない態度である。対応を聞いていれば、この係が客の要望に何とか応えようとは微塵も思っていないことは明白だ。ダメなものはダメです、はいおしまい、という感じなのである。こんな対応をされたのでは、いよいよもって諦めきれない。この係と話しても無駄だ。マネジャーと交渉しよう。

そう決心して、マネジャーを部屋に呼んだ。やがて来たマネジャーに事情を話すと、いともあっさりと午後10時から使えることになった。ありがたいことだが、でも先ほどの係の対応は一体何だったのか。どうにも釈然としなかったが、思う存分稽古ができた点は大満足だった。

 
半分の天井が高くなっている ベッドの寝心地はいまひとつ テレビはまだアナログ

シッティングスペース カップは3つある バスルームもは磨りガラスがはめられている

ガラスで仕切られたウェットエリア ベイシンとトイレのエリア ベイシンはコーナー部分に設置

洗い場つきのバスルーム ミュージックルームのリビング スタインウェイのグランドピアノ

屋内プール ロビー 外観

 帝国ホテル(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 920504 940213 940813 960812 990701 991125 991212 010131 011130 011229 020209 020425 021016 021219 021221 030921 031207 031223 040424 040504 040505 040508 070407


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