品川プリンスホテル イーストタワー Single Room |
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Shinagawa Prince Hotel East Tower |
2008.08.11(日)
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東京都港区 |
楽-2
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オールシングルのイーストタワー | 品川プリンスホテルには、現在、メインタワー、アネックスタワー、イーストタワー、ノースタワーと4棟のホテルタワーがあり、総客室数3千室以上を誇る日本最大のホテルである。
その昔、品川プリンスホテルと呼ばれていたのは、現在のグランドプリンスホテル高輪だった。終戦後、旧毛利邸をホテルにしたプリンスホテル別館なるものが存在したが、のちにそれは品川スケートセンターとなり、次第に現在の品川プリンスホテルへと変貌を遂げていった。 今や、ここは泊まったり食事をするだけにとどまらず、スポーツや水族館、映画館、ライブシアターなどを併設した、ホテルと名が付くアミューズメントパークを形成するまでになった。ベガスのベネチアンなどのエンターテインメントメガホテルには、クオリティでもスケールでも遠く及ばないが、イメージとして共通するところもあるのではないだろうか。 そんなワクワクドキドキ感に満ち溢れたホテルの中で、今回利用したイーストタワーには、ノースタワーと並んであまり存在感がない。以前は本館と呼ばれていた時代もあり、現存する宿泊棟の中では最も古くから存在するのだが、さほど大きな建物でもないのに、1,000室もの部屋を持つというから驚きだ。 建物の大きさの割に部屋が多いということは、それぞれの部屋が狭いということに他ならない。客室は最上階の17階まですべてシンプルなシングルルーム。品川駅から至近で、値段も手頃とあれば、ビジネスマンに人気が高いのもうなずける。チェックイン13時(2009年4月1日より14時)、チェックアウト11時というのもビジネスホテルに比べると余裕が感じられる。 到着したのは15時頃。1階にはイーストタワー用のロビーとフロントがある。ロビーには村野藤吾デザインのソファとガラステーブルのセットが3組設置されているが、ファブリックを合成皮革風のものに張り替えてあり、オリジナルの風合いが損なわれただけでなく、みすぼらしくなってしまった。ガラス面も著しく汚れており、なんとも哀れに見える。おそらくグランドプリンスホテル新高輪からのおさがりと思われるが、以前大切に使われていたであろうものが、粗雑に扱われているのを見るのは痛々しい。 カウンターには4名の係が立って、手際よくチェックインに対応していたが、それでもチェックイン待ちの列が出来ていた。ルームキーを受け取って部屋へと向かうが、エレベータは千室もある棟なのに2基だけ。こりゃタイミングによってはひどく待たされるのではと覚悟したが、結局はそれほどでもなく、東京ドームホテルの待ち時間と混雑に比べたらずっとマシだった。また、エレベータが現在何階にいるのかが表示されているので、待ち時間の予測がつくことも、イライラを軽減しているのかもしれない。 用意されたのは12階にある、割とエレベータホールに近い西向きの部屋だった。エレベータホールには自動販売機と並んで給茶給湯器が備えられている。部屋に湯沸しポットはなく、お湯やお茶はここまでもらいに来なければならない仕組みだ。自動販売機はペットボトルが180円で、ホテル内ショップと同じ値段で売られている。 フロア廊下はまだ盛大に客室清掃の真っ最中で、掃除用具やワゴンがぎっしりと並んでいた。客室は一本廊下の両脇に整然と並ぶが、廊下の両端東側には奥行きが短い部屋が2室ある模様。その様子を伺おうと廊下の奥まで行ってみたが、奥の左右2室分は「ココから先には入れません」と衝立でふさがれているので、納戸代わりにでも使われているのかもしれない。 さて、いよいよ客室内だが、これがまた記録的に細く狭く、記録的にユニークだ。部屋の幅は約190センチしかなく、ドアを開けると、いきなりドアの方に足を向けて寝るようにしてベッドが置かれている。ドアの脇にはスポーツジムのロッカールームにあるようなナンバーロック式のロッカーがクローゼットとして備わっているが、ロック式にしたのは金庫代わりにも利用できるようにとのことだろう。クローゼットロッカーの幅は40センチ程度なので、荷物の多い人はもうここでアウト。 ベッドは120センチ幅で、シーツ+デュベ+ベッドスプレッドというセッティング。マットレスは最近の改装で新調し、9インチの厚さがあって心地よく体を支えてくれるので、思ったよりも快適だ。しかし、足元にドアがあるという感覚は、どうにも落ち着かなかった。 テレビはベッドとクローゼットの間にあって、細い足の台に載っている。20インチ液晶で、地デジは見られるがBSはアナログだ。テレビ台の下にはスーツケースが収納できるよう工夫されているらしく、どんなわずかなスペースでも無駄にしないし無駄に出来ないという涙ぐましい努力を感じる。 ベッドボードの背後には壁に向かってデスクを設置。デスク下には空の冷蔵庫、壁にはミラーとドライヤーが掛かり、ここで仕事も化粧もティーブレイクもすべてこなせる、いわば一人暮らしのコタツ的ロケーションだ。ベッドボードの背面を利用した整理棚やサイドボードに囲まれて、左右手の届くところに物が置けるし、ベッドボードの天端に置かれた電話機はべッドでもデスクでも使えるなど、なかなか小回りがきくので、座ったらもう出来るだけ動きたくない派にはこの上なく快適な空間に違いない。 照明は電球色蛍光灯のデスクスタンド、デスク上の昼光色蛍光灯のダウンライト、ベッド脇の蛍光灯ブラケットのみだが、狭い部屋には十分だ。LANはチェックインから翌日の正午までの区切りで1,050円。室内にコンセントは少なく、デスクの脇に2口あるだけで、そのうちひとつは冷蔵庫に使われているため、実質使えるのは1口だけである。せっかく改装するのなら、この点も改善して欲しかった。 そして、この部屋をユニークたらしめている最大の理由は、窓際に設置されたバスルームである。窓際バスといえばビューバスを連想するが、ここのはそんな色気とはまったく無縁のこれぞユニットバス。白一色に塗り替えられて清潔感は向上したが、まるで仮設の風呂みたいな空間では、バスタイムを愉しむという発想には到達し得ないだろう。 バスタブは約100センチ長と、最小記録に肩を並べる小ささで、バスタブを取り去ってシャワーブース化することすら難しい。シャワーヘッドやバスタブカランは新調されたが、ベイシンのカランは以前のまま。いずれも給水の勢いはいい。アメニティはボトルディスペンサー式で、他アイテムもプリンスの中でも最も簡素な部類だ。 なぜ、窓際にユニットバスを配置したのか、以前から不思議に思っていたが、この部屋に入ってみてその理由が良くわかった。部屋の幅が狭いために、入り口付近にバスタブを配置することが不可能なのである。バスルームの扉は入り口ドアに比べたら幅が狭く、45センチしかない窓の付近にあってもとりあえず問題はない。 バスルームの扉を開放するとちょうど窓がふさがれるので昼間でも室内が暗くなるし、低い天井に加えて窓が小さく幅も狭いしで、室内の閉塞感は最大級だ。その一方で、薄い壁越しに両脇の部屋からさまざまな音が漏れ聞こえてくる。スリット状の窓からは、正面にメインタワーがそびえ立っているのが見えるが、バスルームが窓よりも外側まで張り出して視界を遮っているために、視野が狭い。 この環境をなんと表現したらいいのか。独房にしては立派だし、独身寮にしても狭すぎ。船室ほどロマンはないし。何だかよくわからないけれど、日頃の奔放な行いを反省したくなるような雰囲気が漂う部屋だった。 品川プリンスホテルには屋内プールと屋外プールが備わっている。屋外プールは9時から18時までの営業で1,100円で利用可能だが、夏休み期間中はデッキチェアの利用料が2,000円だ。屋内プールも同じく1,100円で21時まで営業しているが、16時から18時の間はスイミングスクールのために利用出来ない。屋外、屋内共通利用料金は1,600円とのこと。だが、今回は利用しなかった。 |
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品川プリンスホテル(公式サイト) | |
以前のレビューはこちら→ | 950728 991220 031213 070405 (メインタワー) 020502 040101 061008 (アネックスタワー) |
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