以前から単独のホテルとしては国内最大の客室数を誇っていた品川プリンスホテルに、エグゼクティブタワーが加わり、さらにスケールアップしたメガホテルとなった。オープニングセレモニーには各界著名人も集り、他のホテルでも例を見ない華やかなオープンを飾った。新しく建築されたエグゼクティブタワーには、全室ダブルルームの客室に加え、各種レストラン、ショッピング施設、映画館、ナイトクラブなど、エンタテイメント性の高いユニークな設備をそろえ、今までにない、新しいホテルのあり方を提唱している。
確かに面白いホテルだと思うが、純粋にホテルステイに的を絞って見てみると、できの悪い部分が多く目に付くので、滞在そのものを楽しむには不向きかもしれない。しかし、東京に観光目的や出張で訪れる人たちには、東京での滞在を一層楽しくしてくれるホテルになるだろうし、サービスだとか、空間の品位だとかにこだわらなければ、利用価値の大きなホテルだといえる。ちょうどユニクロみたいなホテルだ。
フロント周りのサービスはビジネスホテル的なあっさりとしたものだが、感じ悪くなかった。客室へと向かうエレベータは高層階用と低層階用に分かれている。今回は4タイプある客室のうち、2番めに広いCタイプに宿泊した。利用したフロアは、暖色系でコーディネートされており、随分と奇抜な印象を受けた。室内で最も好印象だったのは、2面の窓からの眺めだった。それぞれの窓から異なった景観が望めるし、ベッドに横たわっても夜景を楽しめる腰の高さが気に入った。
カーテンは電動で、照明もさまざまにコントロールでき、雰囲気的にはなかなかの線をいっている。天井高が270センチあり、インテリアもプリンスにしては垢抜けた感じがする。ビジネスにも便利なデスクやライトが用意されていて、一見使い勝手がよさそうに思える。しかし、180×200センチのベッドは、枕もシーツもよくなく、寝心地が悪いし、デスクにはFAXがあっても電話機がなく、せっかくの壁掛け時計も位置が悪く見づらいなど、雰囲気だけで作った客室のような印象が残った。
バスルームは3平米ほどで、壁にはブルーのタイル風のパネルを使い、クールで引き締まった空間にした。ベイシンや棚のデザインも、プリンスにしては革新的だ。しかし、プラスチック製のバスタブは洗ったとはいえないほど汚れていたし、シャワー・カランともに勢いがあるものの、排水が非常に悪いのも気になった。また、バスルームの扉はかなりのダサさで、せっかく見た目にはこだわったのに、これだけで、ご破算。お湯やお茶は廊下まで取りに行かなければならない。このホテルほど、サービス料の意味を疑問に感じさせるホテルも珍しい。
|