チェックインは10階のクラブラウンジで。手続きを終えるといつものようにマネジャーが挨拶にやって来た。しばらく雑談しているうちにカクテルアワーが始まったので、もう少しこのままラウンジでくつろぐことにした。飲み物は係が注文を聞いてサービスしてくれるスタイル。

フードカウンターには、ピタと様々なペースト、スモークサーモン、サラミ、生春巻き、各種ナチュラルチーズ、カプレーゼなど、おつまみというよりもちょっとした前菜といった感じのものが、カクテルパーティのフードのように楽しく並べられている。その他にも豆菓子やケーキなどスイーツも充実。思わずどれにしようかと迷ってしまう。

ラウンジは広く、十分な席数が用意されているが、いつもの週末なら満席になることもしばしば。しかし、この日はかなり余裕があった。あまりガラガラなのも寂しいが、適度に人が集まっており、都会的ないい雰囲気だった。

客室は標準的な42平米のツインルームが用意された。特段変わった様子はないが、テレビが新調され32インチになった。これまでも液晶テレビが入っていたが、サイズが小さくて不足に思っていたところだった。おそらく開業当時に導入したものより、今回新調したものの方が、サイズは大きくても価格はずっと安かったことだろう。

しばらくしてからNAGOMIスパに行った。ジムのトレッドミルで走っていると、韓国人のカップルがやって来た。それまでは一人で来ている男性ばかりだったので、みな黙々とトレーニングしていたが、急に空気が緩んだように雰囲気が変わった。その場の空気からして、先客の全員がこの変化を歓迎していない様子だったが、カップルなそんなのお構いなし。こちらはトレッドミルの走行距離が15キロメートルを超え、だいぶ体が火照ってきたところだった。

その時、カップルは身勝手にも空調をいじって室温を最大限高温に設定してしまった。先客たちはトレーニングを終えて退出していく中、気温だけがぐんぐん上がっていく。カップルはというと、並びのトレッドミルで鼻歌まじりにゆっくりとウォーキングをしていて、周囲の冷たい視線に気付いてもいない。

彼らも彼らだが、ジムのスタッフも一部始終を見ていて平然としているのには驚いた。そこにいるすべての客に配慮するならば、黙って見過ごすことは出来ないはず。せめて、居合わせた人に差し支えないかどうかを聞いて回るべきではなかったか。まあ、室温30度で走ることなど、マラソン選手の走行環境を考えればどうってことはないと思いたいが、素人だもの、下手したら死んじゃうかも。

というわけでトレッドミルは20キロで中断し、同じくガラガラのプールに移動した。照明を抑えた石造りのプールは、人が少ないと一層幻想的で、水中を泳ぐ時には洞窟内にいるような感じすらある。窓がないので、ここが人で賑わう六本木であることも忘れさせてくれるのがいい。

夕食はルームサービスを利用した。それにしてもハイアットの食事はどうしてこうも美味しくないのだろう。大好きなチーズバーガーなのに、半分も残してしまった。まずくて食べられないのだ。添えられたフレンチフライなど、悪い油のにおいがきつくて、ほんのちょっとつまんだだけなのに、後刻、滅多にならない胃痛に悩まされた。せっかくの軽やかなデュベやフレッテのベッドリネンに包まれて、心地よく眠りたかったのに、座っている方が楽だった。

翌朝はオープンと同時にラウンジでの朝食をと思い、まずはシャワーを浴びた。前夜はスパのバスルームを使ったので、客室のシャワーはこの時が最初だったのだが、シャワーヘッドが壊れていて、シャワーヘッドの根元付近から湯が勢いよく漏れ出し、まるで散水機状態。バスルーム中、天井やミラー部分までがびしょびしょになってしまったし、ぬらしたくなかった髪の毛もびしょびしょ。

ラウンジに行って食事中にヘッドを交換してもらったが、「かしこまりました」というだけで、特にお詫びのような言葉はなかった。ホテルが考えている以上にダメージがあったのだから、「ご迷惑をお掛けしました」程度の挨拶はするべきである。朝食はフルーツのみで済ませた。なんか、バーガーがキライになりそう。