昭和通りに面した正面玄関に、ドアマンの姿はなく、代わりにベルボーイが立っていた。このホテルにドアマンという職種はなくなり、ベルボーイが交代でドアマン役を受け持つことになったのかもしれない。正面玄関と言っても、立派なアプローチがあるわけではなく、エントランスのすぐ外側は幅の広い歩道で、車寄せといえば車道を少し張り出させるようにして設けてあるだけだ。
フロントのサービスは事務的で、どちらかというと感じが悪かった。客を歓迎しているという雰囲気がまったくない。活気のあるヒルトンから来ると、その差は歴然だった。エレベータホールが非常にタバコ臭かったので、エレベータ内もこんな具合かと思いきや、その先は部屋も含めて臭いが気になることがなかった。
26平米の客室は、ヒルトンと比べてもかなり狭く感じられた。窓が小さく、眺めが良くないことも、圧迫感を助長している要因だ。室内の面積を実測したところ、約23平米だった。差の3平米は壁とデッドスペースなのだろう。清掃はよく行き届き、隅々まで清潔だった。ベッドは110センチ幅が2台並ぶが、寝具は115センチ幅用のものを載せているので、両脇がわずかに余っている。
家具はどれも上質でしっかりしたものを使っているし、バスアメニティもよく揃えている。シャワーのしぶきは素晴らしく強力だが、ベイシンの湯は元を絞り過ぎていて、滴るほどにしか出てこなかった。
また、空調のコントロールがうまくいかず困惑した。温度設定が出来る装置がなく、風量のみしかコントロールできない。Lowにしても暑くてたまらないのでOFFにしてみたが、それでも室内は灼熱地獄。いくら脱いでもまだ暑く、アラビア半島かと思うほどだった。
滞在中、館内で会うスタッフは、みな覇気がなく、まるで通夜のようだった。その中で、とびきり元気ハツラツで真面目にサービスしている若いベルボーイがいた。持ち前の明るさなのだろうが、無愛想が横行している環境でも、ぜひその姿勢を貫き通して欲しい。
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