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2004.05.04.(火)

帝国ホテル Imperial Floor Deluxe Room
Imperial Hotel
哀-2 これで自慢できるのか
フロアのキーアクセスドア
ホテルに到着したのは午前11時半。この時間ではチェックインできないだろうと思いつつもドアマンに促されるままにフロントに向かった。チェックイン手続きをしているゲストは誰一人いなかったが、カウンターには係が待ち受けており、名前を告げるとコンピュータを操作し始めた。ラックレートでの予約とわかると、すでに部屋が用意できていることを確かめ、手続きの後すぐに部屋に案内をしてくれた。通常料金がこれほどまで強力な手形になるとは思っても見なかった。

客室への案内を担当したのは、若いベルマンだった。とても感じがよかったが、残念なことに優秀ではなかった。また、インペリアルフロアにはアテンダントが常駐して様々なリクエストに応えるとあるが、16階のエレベータを降りた時に出逢ったアテンダントは客室係以外の何ものでもなく、洗練を感じないだけでなく心がまったくこもってない印象を受けた。後にいくつかの頼みごとをしたが、印象通りのぎこちないサービスだった。

16階はエレベータホールからして明るく豪華な造りをしている。各ウイングへと伸びる廊下には、それぞれにルームキーを差し込まないと開かない扉を設け、セキュリティに一層の配慮をうかがわせている。廊下の基本的なインテリアはあまり変化していないようだが、天井は改装されたことがはっきりとわかる。おそらく空調などの配管をリフレッシュしたついでに改装したのだろう。

案内された客室は42平米のデラックスルームだ。同じタイプの客室は様々な向きに位置しているが、今回利用したのは駐車場側の最も眺めの悪い向きだった。残念だが、早くチェックインさせてもらったので我慢。

今回の改装に込める帝国ホテルの意気込みは相当なものだと聞いていた。数年後に迫った外資系の総攻撃に備えて、完璧な準備を整えたいところ。割引はせずに強気の販売を徹底する構えだとか。となれば、相当の訴求力を持った洗練の極みを見せてくれなければ、ちょっと見識のある人は納得しないだろう。42平米で6万以上となれば、最高ランクの価格設定だ。同じ時期、レギュラーフロアの同面積の客室は、4泊で5万円で販売されている。同じホテルで5倍近い単価を取る部屋。お化けみたいな存在だ。

客室は一見端正で上品に感じられた。デザインはロンドンのレーンズボローなどを手がけたイギリス人だという。大正時代の落ち着いた華やぎを髣髴とさせる控えめな艶やかさを持ったデザインだ。複雑な天井の意匠や、インテリアにマッチした照明スイッチのデザインなどに目をひかれる。クラシックな雰囲気の中に最新技術を投入し、なかなか興味深い客室が出来上がった。

初めて利用するタイプなので、ベルマンによる客室の説明を断らずに聞くことにした。だが、ここが冷蔵庫だとか、これが空調のスイッチだとか、一見すれば誰でも判るようなことばかり言うので、すぐに飽きてしまった。バスルームの給湯はユニークなシステムなので聞いてよかったが、その説明の際、彼は土足のままフロアマットの上を歩き、客が裸足で歩くシャワースペース内にも土足で踏み込んだ。靴を脱ぐべきではないか。それは後にマネージャーにも報告したが、ああそうですかという感じでマットを取り替えることすらしなかった。こちらはルームチェンジして欲しいくらいなのに。客の気持ちを推し量る能力はないということだ。

客室は使うほどに不便なところが気になってくる。窓に向いて設置されたライティングデスクは、机上が狭いだけでなく、出入りする側に引き出しの出っ張りがあり、その角に何度も膝を引っ掛けていくつもミミズ腫れをつくってしまった。その引き出しがあるがために、イスに座るときは体を壁に寄り添うようにしなければならない。イスとデスクの高さ関係も合っていなかった。

テレビは壁掛け型でキャビネットに収められている。取っ手を引き出せば角度を変えられるが、それを元に戻すには相当に力を込めなくてはならず、そのうち誰かが壊すことになるだろう。また、リモコンは旧型のものをそのまま使っているので、反応が悪くてイライラする。尋ねると、近々システムの入れ替えを計画しているので、その時点でリモコンも新しくするそうだ。過渡期とは言え、気合の入った新装オープンにリモコンくらいケチるとは情けない。TVプログラムは非常に充実しており、映り具合も美しかった。

テレビのキャビネットにはミニバーや冷蔵庫、引き出しなども備わっているが、キャビネットそのもののデザインがいささか田舎っぽい気がする。その脇に並んだバゲージ台を兼ねた引き出しは旧客室のものをそのまま使っているのかと思いきや、それも新規の品だという。なぜこんな統一性のないデザインにしたのか不思議。ミニバーには無料のミネラルウォーター2本が用意されている。

窓際のリビングスペースにはエキストラベッドにもなるソファと背もたれの高い肘掛け椅子が置かれている。生地はいずれも心地よいものだが、肘掛け椅子にはオットマンが欲しいところ。カーテンは電動でベッドサイドでコントロールする。室内にはファックスマシンも常設されており、これがオンラインでプリンタの役目も果たすことになっていて、この客室のひとつのウリとして強くアピールしているのに、なんとシステムダウンで使用できず。まったくもって情けない話だ。

今回最も気に入ったのはベッドだった。肌触りのよいシーツやデュベカバーに、体を快適に支えるマットレスなど、最高の眠りを約束してくれる。これまでで最も寝心地のよいベッドのひとつだ。また空調も一新し、室内にマイナスイオンを供給するという山の上ホテルみたいなことをはじめたらしいが、実感はうすかった。上階はレストランなどのあるフロアなので、音がよく響くのも難点。

バスルームにもかなりの力を入れている。タイプによって仕様が若干異なるようだが、トイレとベイシンのスペース、バスタブとシャワースペースに二分される構成になっている。引き戸を開くとまずベイシンとトイレがある。ベイシンはコーナーを巧みに利用し、三面鏡風のミラーを据えた。バスルーム用としては大きめの液晶テレビを設置しており、BGMシステムとは独立した音声も楽しめる。トイレやベイシンの脇に位置し、壁に掛かったウォシュレットの操作盤も優れたデザインだ。壁の一部をすりガラスにし、光が透過するようにしたが、これは夜に誰かがベッドで眠っている時にバスルームを使うのをはばかることにもなり、ツインルームに適しているかは微妙なところだ。

バスタブと洗い場風のシャワースペースは並んでいて、ガラス扉とガラス窓以外の所は大理石で仕上げた。シャワースペースにはイスも置かれている。シャワーヘッドはレインシャワー風だが、圧力が弱くて水流も細かいので水に打たれているような感覚はない。体を洗い流すにも勢い不足で存在価値が薄いレインシャワーだ。一方ハンドシャワーは非常に強烈。特にマッサージモードは実に心地よかった。この勢いでレインシャワーから水が出れば気持ちいいかもしれない。

バスタブは珍しい自動給湯システムだ。湯温を設定してスイッチをオンにすれば、ちょうどいい湯量で自動的に停止する。保温などは出来ないが、湯が張れたかいちいち覗かずに済むので便利だ。だが、シャワースペースの水はけが悪く、ところどころに水溜りが出来て、なかなか床が乾かない。アメニティはシャンプー、コンディショナー、ボディソープのみアユーラ製品だが、そのほかは既存のもの。フロア専用のスペシャルアメニティと銘打つには中途半端で期待はずれ。一層の思い入れを持って欲しいもの。タオルはバスタオルのみふかふかだったが、他は使い古しの薄くなったもの。

このように、帝国ホテル自慢の新ルームは、なんとも未完成で掛け声倒れの印象だった。これに6万を投じる価値はない。設備も未熟だし、サービスは輪をかけて未熟であった。これで外資系と戦うというのなら、すでに勝負は見えた。まあ、オークラのガーデンウィングほど狂っちゃいないけど。さて、どうする?帝国ホテル。

17階の新しいラウンジにも出掛けてみたが、紅茶だけでも驚くような値段。しかも、パンフレットに謳っている値段よりもなぜか高い。そういうのをインチキって言うんじゃないのかな?内装も安普請で、床はベコベコしていて、座っているだけで振動に酔ってしまいそうなくらいだ。一体どんな工事をしたのだろう。なにやってんだか。これが日本を代表するホテルだとは国辱的。

インペリアルフロアデラックスの室内 シッティングスペース

室内奥から入口方向を見る バスルームの一部をすりガラスにした

ベッドだけは素晴らしい ナイトテーブル

ダサいファニチャー 膝が当たってムカつくデスク

コーナーを利用したベイシン 自動給湯のバスタブ

洗い場風シャワースペース よわっちいレインシャワー

[帝国ホテル] 920504 940213 960812 990701 991125 991212 010131 011130 011229 020209 020425 021016 021219 021221 030921 031207 031223 040424

Y.K.