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ロイヤルパークホテル Executive Tower Suite  
Royal Park Hotel 2010.04.17(土)
東京都中央区 哀-5

木目に囲まれたドレッシングエリア

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バカ騒ぎ


チェックインは見知らぬ係によって行われた。ごく普通に、初めて訪れた客と何ら変わりない、ありふれた接し方だった。それを責めるつもりはないが、開業以来愛用してきた身にしてみれば、もうここで散財するのはやめようと踏ん切りをつけるのに十分なきっかけを与えられたようなものである。

加えて、デポジットを多めに要求。部屋付けを可能にするため、プラス2万円よこせとのこと。いくらでも預けてやるが、帰りにはそっくり返してもらうとしよう。意地でも館内のレストランなど使ってやるものか。逆に、「いつもご利用いただいているので結構です」とでも言われようものなら、霜降り牛でも食べるのだが。

今回利用したのは、改装が済んだタワースイート。L字に折れたホテル建物の、ちょうど折れ曲がった部分の外側に位置するコーナースイートである。加えてこのホテルは折れ曲がった部分に「こぶ」のような丸い出っ張りがあり、このスイートには「こぶ」の部分も含まれる。

スイートは全室エグゼクティブフロアの扱いになるホテルが多い中、ここではフロアによってきっちりとカテゴリー分けしている。タワースイートは10階から17階までの7室がある(13階は存在しない)が、下2室がスタンダードフロア、上5室がエグゼクティブフロアに属する。今回は17階が用意された。

エントランスホワイエ

客室扉を入ると、リビングルームへの内扉までが廊下になっている。床は大理石。大きなミラーが2枚あるので、限られた空間が広く感じられるが、コンソール風の棚にスタンドライトが置いてある程度で、装飾性は控えめだ。

リビングルーム

だが、内扉を進むと、一転して華やかなリビングがある。濃淡のはっきりした色使いで、大胆な柄が描かれたカーペットを見て、ややくどく品がないような気がするのは、以前と比較しているからだろうか。カスケードのドレープはドレスのような華やかな生地で、派手。見るものすべてがけばけばしい。

リビングルーム

内装は、一部の調度品を除きほぼ一新されており、イメージは大きく変わっている。だが、リビングルームに関しては、基本的なレイアウトは以前のものを引き継いでいるようだ。一番価値がありそうなのは、ソファ脇にある大きなアートワークだろうか。

リビングルーム

ソファは一見するとL字型のようだが、実際は、3人掛けのロングソファに、正方形のスツール型オットマンを添えてある。スタンドの載ったサイドテーブルを挟んでキャメルカラーの肘掛付きソファを、中央には丸いガラステーブルを置いている。どうも窓や額との位置関係が落ち着かない。

リビングルーム

以前のダイニングセットは4人掛けだったが、今では2人用の小さなものになって、場所もより窓際に移された。ガラスのテーブルには、フラワーアレンジメントが用意されている。天井からはガラスのペンダントライトが下がるが、ガラスが汚れて曇っていたので清掃した。

ペンダントライト

ここまで内装をけばけばしくするのなら、照明器具はもっと毒のあるゴシック調シャンデリアにでもすればよかったと思う。あれこれと眺めているうちに、上品なのか下品なのか、行き過ぎなのか控え目なのか、よくわからないテイストに感じられてきた。

テレビとキャビネット

テレビは52インチと大型で、下のキャビネットにはブルーレイディスクプレイヤーや、BOSEのオーディオシステムを備えており、持参の携帯音楽プレイヤーを接続したり、440チャンネル有線放送を聞くことができる。ソファ側がゴテゴテしているのに対し、テレビ側はスッキリとし過ぎており、キャビネットの脇が寂しく感じる。

デスク

デスクは張り出し部分に設けられ、リビングルーム内を見渡せるようにイスを配置している。背面はかつてパノラマウィンドウだったのだが、今は木目のルーバーが設置された。ルーバーは開閉可能ではあるが、重厚過ぎて鬱陶しい。デスク脇にはハウスパソコンのディスプレイがあり、引き出しにはそれ用のキーボードが入っている。

窓からの眺め

17階の窓からはそれなりに見晴らしがきくが、こまごまとしたビルが多く、美しい景観とはいいにくい。晴れていれば、都心部の高層ビルを望める。

窓からの眺め

張り出し部分からは建物の外壁を見ることができる。列車の窓から身を乗り出しているような感覚が面白かった。カーテンは電動だが旧式のままなので、作動音が賑やかだ。照明は調光が可能なものが多く、ムードを演出しやすかった。

リビングとベッドルームの間

リビングとベッドルームは引き戸で仕切られている。その扉を開くとダイニングのイスの背に思い切り当たるというのはいただけない。ベッドルームに至る間には、ドレッシングエリアを設けており、窓が一枚無駄になっているのが気になる。窓の前にはコンソールデスクを置いているが、あまり存在価値を感じなかった。

ドレッシングエリア

ドレッシングエリアには、引き出し付きのバゲージ台、シャンパンゴールドの丸いスツールを添えた天然石のドレッシングカウンター、ミラー張りの引き戸のクローゼットがある。全体的に艶やかな木目で囲まれており、ライブラリーや書斎のような趣きだ。

クローゼットにはバスローブ、アイロンセット、少々立派なスリッパが入っている。バスローブはバスルームに置いてもらいたい。

トイレ

トイレはドレッシングルームの奥にある。もともとは客室ドアからリビングの間にある廊下側にドアがあった。その時はエキストラトイレだったが、扉の位置を逆にして、このスイートではひとつだけのトイレとなった。ミニミニバスタブのようなベイシンボウルが印象的だ。

トイレの床には網状のビニールが敷かれているが、トイレ全体が尿くさいのには参った。これでは、まるで公衆トイレである。どうにかして衛生面を改善してもらいたい。

ベッドルーム

ベッドルームは以前よりもコンパクトになった。だが、これはこれで悪くない。むしろ落ち着いて安眠できるという見方もできる。ベッドサイズは220センチ幅とワイド。快適なマットレスと寝具、肌触りのいいベッドリネンを使っており、とても気に入った。足元の2台のオットマンも、ベッドルームに品格を添えている。

ベッドルーム

ベッドボードにも存在感があり、窓に掛かるカスケードドレープとのバランスもいい。リビングよりは派手に感じないのは、カーペットの露出面が少ないことと、他にゴテゴテのファブリックを使っているものがないからだろう。リビングもこの程度にしておいた方が上品でよかったと思う。

ベッドルーム

ベッドルームのテレビは32インチ。下の台は引き出し収納になっている。脇にはサイレントバトラーがあるが、これだけが改装前のままなので、色合いやデザインがマッチせず浮いている。また、ベッドルームの照明は調光できるものが少ない。

いろいろなスタンド

天井高はリビング、ベッドルーム共に253センチと低め。いずれの空間にもユニークなデザインのスタンド照明があり、それらのポール部分を見比べるだけでも楽しい。

バスルーム

天然石仕上げのバスルームは約5.4平米。ベイシンのあるエリアと、バスタブとシャワースペースのあるエリアに分かれている。

バスルーム

ベイシンは背中合わせにふたつというユニークな配置。片側にだけサイドに棚を設け、ベイシントップもL字状にして、簡単なドレッシングカウンターに仕立ててある。発想は理解できなくもないが、バランスの悪さという点で失敗に感じられる。

バスルーム

ウェットエリアはブロア機能付きのバスタブと、レインシャワーとハンドシャワーのあるシャワースペースからなる。どうも、使っている石の組み合わせがいまひとつで、墓のようにも見える。シャワースペースに大きなミラーを設置したのはいい。

バスルーム

ブロアバスはなかなか強力。そしてバスタブは湯を溢れさせられるタイプだ。浴室金具にはすでに水垢がこびりつき、ふつうに清掃した程度では落ちなくなっている。また、レインシャワーは水が細く、さらにあちこちに飛び散るタイプなので気に入らなかった。

バスアメニティ

バスアメニティはレギュラールームと大差ない。違いはマウスウォッシュのみ。それだけレギュラールームのバスアメニティがスイート並に充実しているといえなくもないが、スイートにはもっと高級なアイテムを揃えて欲しい。タオルはバスタオルが2枚しかなく寂しいが、他は4~5枚の用意があった。

エグゼクティブラウンジへの階段

17階からは階段を使ってそのままエグゼクティブラウンジ内にアクセスすることができる。以前よりも2室分の面積を拡張し、ラウンジはより広くなった。日中もデニッシュなどの軽食を用意しているが、カクテルアワーもセルフサービスで味気ない。

エグゼクティブフロアの無料朝食は、20階「オルフェウス」で提供している。オープンと同時に混雑するが、日本人は年齢層の高い客が多く、このホテルらしい雰囲気が感じられる。週末は外国人が少ないが、調理人もサービス人も、外国人に接する時の方が明らかに低姿勢であることがいやらしい。

滞在中の夜、リビングルームで過ごしていると、かなり大きな声や音楽が聞こえてきた。いったいどこから聞こえてくるのだろうかと思い、部屋を出て周囲の様子をうかがってみた。同じ17階は静か。18階に行ってみたが同じく静か。次いで16階に行ってみると原因がわかった。

ちょうどひとつ下の同じスイートに、不特定多数の人が出入りしながら、ドンチャン騒ぎを繰り広げているのである。それよりはマシにしても、エグゼクティブラウンジからも、ラウンジ営業終了後の片づけをするスタッフの話声が聞こえてくる。自分たちのおしゃべりに夢中で、隣室のバカ騒ぎに気付かないとはお粗末ではないか。

フロントに連絡をすると、馴染みのマネジャーがすぐに対処して、報告の連絡をくれた。それによると、どこかの会社の飲み会が行われていたらしく、すでに退去させたとのこと。迅速な対応には満足だったが、多くの人が集まるのを見抜けなかったことは反省してもらいたい。

誰かれかまわずデポジットなんか取っているから、問題を起こす客かそうでないかを見抜けなくなるのだ。チェックアウト時、対応したマネジャーからは重ねて詫びがあった。しかし、他の若い連中は、まったくの知らん顔。もう、ロイヤルパークのきめ細やかなサービスは風化してしまったようだ。

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