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風雅の宿 長生館 Japanese Room | |
Choseikan | 2010.05.08(土) |
新潟県阿賀野市 | 喜-4 |
ARCHIVES ・ 1992 |
長寿の予感 長生館には四季折々の風情を味わえる広大な庭があり、すべての客室から庭を眺めることができるが、その表情は眺める各部屋によって異なっている。 本館客室から望む広い芝や杉林、滝見亭から見る湧き水を湛えた池など、斜面のある立体的な庭には魅力が尽きない。前回訪れたのは雪に閉ざされた冬だった。その時は庭にでることもままならなかったが、新緑の季節には自由に散策することができる。 離れになった貴賓室には、見事な庭園をまるで独り占めするかのような広い縁側がある。その前には鯉が泳ぐ池がある他、美しい花を咲かせるさまざまな木々があり、客室のグレードのみならず、その風景でも特別な存在となっている。 昨年末に泊まった松涛亭からは、より深い木立に囲まれた森らしい景色が広がり、陽を浴びて輝くもみじが見られる。 そして、実際に庭園に出て歩いてみると、この季節が一番爽やかで、緑がまぶしいことが実感でき、思わず芝の上に大の字に寝転びたい衝動に駆られる。植物たちと共に、随所に顔を見せる岩肌もまた、それぞれにユニークな表情だ。 本館から庭に出る戸口の前には、ウッドデッキが設けられており、イスに座って茶を飲みながら、森を渡る風を感じることができる。時折聞こえる鳥の声や、池に落ちる清水の音が、この空間を奥深いものにしている。 ロビーには多くのソファが並び、大きな窓越しに庭を眺められるようになっている。かつてはバーラウンジだった空間は、改装して、気軽に利用できるライブラリーラウンジに。自然とともに過ごすナチュラル感が、これまでよりも一層強いものになった。 高級旅館の食事といえば、高価な素材を使った豪勢な料理が並び、ボリュームたっぷりというものを想像する。しかし、長生館の食事は、どこまでも素朴である。かといって、粗野な感じはまったくない。見た目には地味でも、手間暇を掛けてこそ生まれる味わいに満ちているのだ。 この日は中途半端な時間に空腹を感じ、軽い食事を仕立ててもらった。焼き魚、造り、小鉢、それにご飯と香の物、みそ椀というシンプルな内容ながら、とても美味しかった。さすが米どころ、とにかくご飯が旨い。 そしてデザートには、柿をつかったオリジナル菓子を出してくれた。とろりと甘くて、少量でも印象に残る味だった。 夕食はこの時期ならではの山菜たちが並ぶ。東京でも数々の山菜が店先に出るが、この鮮度のものはまずお目に掛かれない。この地の水、この地の空気に触れながら食すからこその味わいというものもあるような気がした。 今回宿泊した客室は本館にある標準的な和室。部分的に改装が施されており、より居心地がよくなっている。夕食が済む頃には、布団が敷かれていた。 どうしてもこの蛍光灯の明るさには慣れないが、仄かな灯りで部屋にムードを醸す行燈も用意されている。また、窓際のダウンライトだけを点灯させても、室内全体が照らされ、不足はなかった。 窓際付近はかつて板の間の広縁だった。現在は畳敷きに改められ、窓台にカウンターを設けている。代わりにローテーブルは撤去され、ゆったりとしたアームチェアは庭園を望めるよう、窓に向けてセットしてある。 室内の浴室洗面トイレは、それぞれが独立している。洗面所には男女別の基礎化粧品が用意されている。 バスルームはシンプルなユニット形式で、桶やイスを備えた洗い場を付帯している。 だが、やはりお楽しみはラジウム温泉。特に広大な露天風呂は実に爽快だ。さほど熱くないので、長い時間浸かっていられるのだが、発汗作用が強く、やもするとのぼせてしまうので注意が必要だ。 朝食は印象的だった。連泊したのだが、各日内容が異なっていた。同じなのは、美味しいご飯と地域の豆腐を使った一品。朝食もまた健康的で体が喜ぶものばかり。外食ばかりではなかなか食べる機会のない料理が嬉しい。出発の頃には、なんだか、長生きできそうな気分になっていた。 |
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