ポートピアホテル Ocean Suite |
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Portopia Hotel |
2009.07.04(土)
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神戸市中央区 |
哀-1
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一見扱い | 神戸を訪れるのは約2年ぶり。その時は何かの都合で神戸ベイシェラトンに泊まったので、ポートピアホテルを訪れたのは96年3月以来のことである。前回のポートピアホテル滞在は、実に理想的で素晴らしい体験だった。世紀の料理を味わうイベントと、至れり尽くせりのサービスに支えられた客室滞在は、文句なしに「喜−5」であった。その甘い記憶を胸に秘めながら、今回の神戸滞在に際しては、迷わずポートピアホテルを予約した。
だが、到着時の接客は、期待とは大きく異なるものだった。チェックインしたのは26階のオーバルクラブラウンジ。前回、見事なサービスを提供してくれたスタッフは、完全に初めて訪れた客に対する接し方にとどまっている。3年も経てば忘れられても仕方がないのか。 いや、優れたサービス人は、それがたった一度の邂逅であっても、たとえ10年経ったとしても、完全に忘れ去るようなことはしない。心の隅に残像を保っており、その時が来ればたちまち記憶を蘇らせ、懐かしい客を迎えるしぐさをするものだ。その客が誰だか思い出すのに時間を要したとしても、表情だけでも瞬時に作れるようでなければ、コンシェルジュやクラブフロアのアテンダントは務まらない。 とにかく、今回はただの一見扱いである。こんなことなら、もっと安宿だとしても、久しぶりの再訪を歓迎してくれるホテルにすればよかったと後悔した。しかも、チェックイン時には高額のデポジットを求められたが、ガッカリついでに財布ごと持ってけという気分で、要求額を差し出した。 ラウンジではウェルカムドリンクが振舞われた。それはシャンパングラスに入ったマスカットライチのアイスティ。サービスが苦かったからか、アイスティは脳が融けるほど甘く感じたが、添えられたライム味のマカロンは爽やかだった。 用意された客室は28階にあるエグゼクティブスイート。予約した通りの部屋だった。28階には他に最高級スイートがあり、他の階よりも廊下の幅が広い。したがって、廊下から窓までにあたる部屋の奥行きは、通常階よりも短いことになる。だが不思議なことに、室内の天井は他の階よりも少し高い。部屋の造りは前回同様のタイプを利用した際と変わりないが、今回はベッドタイプが前回と異なりツインであるため、ベッドルームがやや手狭に感じられた。 部屋でくつろいでいると、リビングにある隣室へのコネクティングドアの向こうから、子供の騒ぎ声が聞こえてきた。それもかなり興奮している様子で、このまま翌日まで我慢することは難しいと判断。係に申し出て対処を依頼したところ、結果的にはこちらが部屋を移動することになった。 新しく用意されたのは、クラブラウンジの目の前にあるオーシャンスイート。騒々しいのがいやだと言っているのに、静けさとは縁遠いラウンジ前の部屋を用意するというのもどうかしているが、グレードの高い部屋を用意したことに免じて我慢することにした。 オーシャンスイートは84平米。スタンダードルーム2室分のリビングルームと、同じく1室分のベッドルームからなる広々としたスイートである。オーシャンスイートと比べると24平米分広くなり、ラックレートで比較すると5万円の差がある。 ホワイエはフローリングで、脇にゲスト用トイレを設けているが、リビングとの間に扉はない。リビングにはソファセットとダイニングセットがゆったりと配置されている。ローテーブルを囲むソファやイスは5種類。ひとつひとつは60年代風のシンプルなデザインだが、種類を多くすることで変化をつけている。リビング全体はベージュのカーペット敷きだが、ソファセットの部分にだけ濃い色調のラグを敷いている。 6人掛けのダイニングセットは、木目のどっしりとしたテーブルが印象的。他にテレビやミニバー、収納を兼ねたコンソールデスクなどがあり、温かみのあるナチュラルな木目を基調とした内装に仕上がっている。照明はダウンライトやスタンドが中心で、調光が可能である。 リビングにはホワイエにあるエントランスドアとは別に、もうひとつのエントランスがある。ここはかつてパントリーかミニキッチンに通じていたと思われるが、今ではその場所はがらんとした収納エリアになっている。何の家具もないので使い勝手は自由だが、かえって何の役にも立たない無駄な空間になっているので、せめてバゲージ台でも置いてほしかった。 ベッドルームは、リビングのゆとりを考えると、窮屈な印象だ。ツインベッドが並び、窓との狭い空間にアームチェアとテーブルを置いているが、なんとなく無理があるし、スタンドのシェードが張り出していて、歩く度に邪魔だった。ベッド前の壁面には、デスク、テレビやオーディオ、収納引き出し、クローゼットが並んでいるが、デスクは狭くて使いにくい。 バスルームは、洗い場付きのウェットエリアと、ベイシンエリア、トイレエリアで構成される。ベイシンはシングルで、下にタオルのラックを設けている。バスタブは幅が狭く、洗い場も十分に広いとは言えないのに、ゲスト用トイレや謎の収納室が広く取られているなど、スペースの割き方には疑問が感じられた。 また、バスルーム壁は天然石で仕上げているようにも見えるが、床が石風柄の樹脂であるため、壁も人口建材かと疑ってしまう。バスアメニティはとても充実しており、何があるのか見るだけでも楽しかった。 このスイートは、リビングこそ広々していてスイートらしさが感じられるが、それ以外の部分においては格下のエグゼクティブスイートの方が使い勝手がいい。特にバスルームの広さ、デスクの使いやすさはエグゼクティブスイートが大きくリードしている。 夕食は「アランシャペル」を利用した。予定では神戸市街のレストランに出掛けるつもりでいたが、ルイロデレールクリスタルボトル付きで2名44,000円というプロモーションメニューを見つけ、ただちに予約しなおした。「アランシャペル」では、顔なじみのスタッフが出迎えてくれ、終始行き届いたサービスの中、見事な料理の数々を味わうことができた。 用意されたのは、神戸の夜景を望む山側の個室。埋め立てで海が遠くなった今となっては、ホール席よりも個室の方が眺めがいい。これまでアランシャペルのスタイルを貫いていた料理だが、今回は流れの変化が感じられた。料理の彩り、ポーション、すべて10角形だったオリジナルの皿以外の器を使うようになったことなどは、かねてからのアランシャペルファンとしては不安でさえあった。かといって、質が落ちたのではない以上、新しいチャレンジを見守ることもファンの心得だろう。 朝食はルームサービスを注文した。これは失敗だった。スイートのダイニングに、プラスチックのトレーに載せ、紙ナプキンを添えたセットメニューなど似合わない。一層の洗練を望む。 |
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ポートピアホテル(公式サイト) | |
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