ケバいスイート
2007.09.21(金)
浅草ビューホテル Junior Suite
Asakusa View Hotel
楽-3

ランプスタンド ビューホテルグループは、昭和35年に那須ビューホテルをオープンさせて以来、リゾートホテルを運営する会社というイメージがある。その後、成田を皮切りに、主に関東と東北を中心にコミュニティ型のシティホテルを展開するようになり、全体のホテル数は少ないながらも、特に東日本では知名度が高い。一時期は福岡にも出店していたが、撤退。現在は、派手さがなく堅実で、オールマイティに使いやすいというイメージが定着している。

そしてビューホテルグループのフラッグシップが1985年に開業した浅草ビューホテルであり、チェーン唯一のインターナショナルクラスのシティホテルである。例えば丸の内や六本木ではなく、浅草というあたりが、まさにビューホテルらしい。

浅草は、ビジネスの拠点としてはいまひとつでも、外国人の東京観光にはもってこいの立地だ。どこよりもトラディショナルな東京を感じられる街なのはいうまでもなく、日光へのゲートウェイとしても恵まれているので、好奇心旺盛で旅慣れた外国人が好んで利用している。おそらく料金的にもリーズナブルなのだろう。ロビーはいつでも国際色豊かな雰囲気だ。

今回は上野駅からホテルまでタクシーを利用した。エントランスでは、ドアマンが出迎え、トランクから荷物を降ろしてくれた。「これですべてですか?」と確認されたので、フロントまで運んでくれるのかと思いきや、「ハイ」と返事したとたん、その場を去ってしまった。自分で運べというわけか。仕方ない。

館内に入ってもベルの姿は見当たらず、もうベルすら廃止してしまったのかと思いつつ、フロントでチェックインをしていると、エレベータから続けざまにベルが戻ってきた。どうやら出払っていただけらしい。単にタイミングが悪かったようだ。フロントも人手が少なく、たったひとりで対応に追われている状態。だが、手際がよく、サービス振りにも好感が持てた。

今回予約した部屋はジュニアスイート。24階または25階にあり、同じカテゴリーの中でも、部屋によって内装のテイストの違うというので、どんな部屋にアサインされるか楽しみだった。24階はかつてコンシェルジュフロアと呼ばれており、専用のラウンジと専任スタッフによるサービスが受けられる特別階だったが、現在ではラウンジはクローズされており、単にワンランクグレードの高い部屋という意味でのエグゼクティブフロアになっている。

そして、25階は7室のスイートを配したスイートフロアで、一般階よりも天井が高いのが特長だ。24階、25階いずれも、エレベータ内の専用スロットにルームキーを差し込まなければボタンが点灯しないシステムになっている。今回は25階の部屋がアサインされた。

そこはエレベータホールも立派に造られており、大理石や照明器具、厚いカーペット、そして壁に掛かった油絵などが、それぞれに高級感を醸している。廊下もまたクラシカルなインテリアだが、部屋の中はそれ以上にどぎつかった。派手というよりはケバいという感じ。いったいこの部屋のテーマはなんだろう。つかみどころが見えてこない中、ふと子供の頃に見た「近所のお金持ちの応接間」を思い出した。とりあえず、立派なもの、高級なものを集めてみましたという感じだろうか。

扉を開けると前室があり、コンソールが据えてある。内扉の先はワンルームタイプの居室になっており、中央のデスクユニットが、リビングとベッドスペースとを仕切っている。リビングにはソファセットと大理石トップの荷物台があるのだが、サイドテーブルのスタンドとシーリングライトだけの照明は実に暗い。家具の色は白で統一されている。カーペットよりも壁紙のケバさが際立っているが、これは案外最近新しくしたものらしく、立派なカスケードのレイヤードレープとともに、この部屋のデコラティブな印象を決定付けている。

窓は2面あり、いずれも出窓風で足元からガラスになっており、実に開放的な眺めが得られる。窓と窓の間には30インチの液晶テレビを置いてあり、その下がミニバーと冷蔵庫を収納したキャビネットになっている。部屋の中央で仕切り役をしているデスクは、ライティングデスクとしても十分に広いのだが、LANはおろか、電話機もコンセントさえもないところを見ると、ドレッサーとして考えた方がいいように思われる。ここも淡いスタンド照明だけで照らされている。

ベッドは140センチ幅が2台並ぶ。高さは40センチと低く、これまたケバいベッドスプレッドと一体になった寝具を使っている。マットレスやベッドリネンの感触はいまひとつだったが、ベッドボードが大理石とベロアで作られているのが興味深い。こちらもまた、ナイトランプのみという乏しい照明。全体的に夜の暗さは尋常でなく、まるでここだけ19世紀という感じだった。

ベイシンはバスルームから独立しており、クローゼットとベイシンはカーペット敷きの同じスペースある。クローゼットの扉がミラー張りで、姿見の役割も兼ねている。バスルームは約8平米近い面積があり、全体を白い大理石で仕上げている。バスタブは180センチもの長さがあるが、深さは35センチしかなく、寝湯のようだ。

独立したシャワーブースも120×110センチと広く、固定式ながらユニークなデザインのシャワーは水圧も素晴らしい。バスタブの脇に休憩用のイスを置いてあるのもありがたい。カランはオニキスでできており、スイートとエグゼクティブフロア専用のタオルには刺繍が施されるなど、リッチな雰囲気のバスルームだ。バスローブも備えるが、アメニティにはスイートならではの工夫が感じられなかった。

また、浅草ビューホテルのシンボルでもあった、6階の古代檜風呂を廃止してしまったのは、とても残念でならない。

 
2面の出窓から格段の採光が得られる 中央のドレッサー兼デスクが仕切りになっている テレビ前からリビングを見る

ソファセット ベッドは古い カスケードのカーテンが立派

エントランスとコンソール 窓からの眺め ドレープ

ベイシンと棚 バスルーム シャワーブースは広い

ユニークなシャワーヘッド 夜の室内は照明を全開にしても暗い 夜のリビング

外観 浅草らしい商店街 店先のディスプレイも浅草ならでは

 
浅草ビューホテル 971230 040701 040918


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