1997.12.30
窓の大きな部屋
浅草ビューホテル Deluxe Room
哀-1

かつては、明治23年に建てられた当時日本一の高層ビル「浅草12階」こと凌雲閣など、ランドマーク的存在が多かった浅草だが、最近は仲見世と浅草寺くらいしかぱっとするものがなくなってしまった。浅草で初めての本格的シティホテルとして85年9月1日に開業した「浅草ビューホテル」は、昔からの街並みにひときわ高くそびえる27階建ての高層ホテルだ。新しいランドマークとして多くの人々に親しまれている。

ロビーは2層吹き抜けになっていて、大理石の床に天井のシャンデリアが反射して華やかな印象だが、あまり広くはないので、無理に広々と見せようとするデザインにするより、小ぢんまりとした良さを引き出す設計にした方が効果的だったような気がする。

正面がロビーラウンジになっていて、待ち合わせには便利そうだ。このラウンジも面積が十分でないので、ロビーから見てもタバコの煙がモクモクと煙っているのがわかるほどだ。たまたま愛煙家の男性客が多かっただけかもしれないが、換気がよくないのは確かなようだ。ロビーラウンジの裏手の方にはショッピングアーケードがあるが、あまりどっとする店はない。

フロント係やベルマンは一生懸命に仕事をしているという印象で好感が持てるが、なにしろ制服のデザインや色が昔風で、かわいそうだった。6階から24階に客室があり、中でも6階は和のフロアになっていて、和室と日本料理レストラン、そして桧風呂が和風庭園を囲むように配置されていてユニークだ。桧風呂は一般客室に宿泊客や、宴会利用客でも別料金で利用できるらしい。

23階と24階は特別階で、エレベータにキーをささないと停止しないようになっている。今回利用したのはデラックスツインで、約38平米あり、このタイプの客室はすべて隅田川方面を向いているので、花火大会の当日は予約が困難な人気スポットだ。室内はバスルームが一般的なシャワーブースのないユニットバスのため狭く、その分寝室部分が広々としているように感じる。

また天井高が2.5メートルあり、床までのワイドな窓も手伝って、開放的な雰囲気がある。窓は一部開放できるようになっているが、花火の日にしか開放しないという注意書きがあった。開業して12年間、客室の改装は行われていないため、室内の家具は老朽化が見受けられる。壁のビニールシートもタバコのヤニで変色してしまっているようだ。

家具のデザインや色調は、なかなかシックで、さりげなく和のテイストを盛り込んでおり、ベッドも大き目で国際ホテルの水準を十分にクリアしている。入口ドアとは別に寝室とクローゼットの間にも扉が一枚あって、それでけでも落ち着きが生まれる。アメニティの品揃えは、必要最低限でまったく遊び心のないものだった。ターンダウンはない。

レストランは1階のコーヒーショップのみ利用したが、お客さんが少なく、また、店も狭いのでなんとなくしらけた雰囲気だった。料理は、ホテルのコーヒーショップとして考えると、残念ながらあまり優れているとはいえない。

Y.K.