バランスに欠ける内装 |
2007.05.25(金)
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ホテルオークラ東京ベイ Superior Room | |
Hotel Okura Tokyo Bay |
哀-3
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このホテルがオープンした頃は、広々とした客室や立派なバスルームはもちろんのこと、全体的に淡いトーンでコーディネートされた上品なインテリアも好評で、「オフィシャルホテルの中ではここが好き」という声をよく耳にした。両隣にはシェラトンとヒルトンという全世界に知られたブランドホテルが建ち、それぞれスケール感のある華やかな雰囲気を持っていたが、ここは客室数も427室と少なく、控え目で落ち着いているという印象もあり、特に女性からの人気が高かった。
オフィシャルホテル内での位置づけという点では、今も昔もさほど変わらないようだが、このホテルの中身は随分と変わってしまった。開業当時の端整なデザインが次々と崩壊しチープになっていくのは両隣のホテルも同様だが、元が立派だけに、落ちぶれ感も増幅されてしまう。第一ホテルからオークラになったのだから、本来ならば目を見張るほどグレードアップしなければおかしいのだが、実際は第一ホテルだろうがオークラだろうが、結果は同じということのようだ。 チェックインの印象は悪くなかった。用意された客室はスーペリアルーム。正面玄関やパークを望む向きで、数少ないバルコニー付きのタイプだった。バルコニーの有無で料金が変わることはなく、リクエストしておけば可能な限り対応してくれる。窓面積が圧倒的に大きくなるだけでなく、屋外の空気に直接触れられれば、リゾート感も高まるだろう。それに、両脇の眺めの悪い向きにはバルコニー付き客室はないので、向き的にも条件のよい部屋がアサインされる可能性が高くなる。 バルコニー付きまではよかったのだが、周辺の部屋がとても賑やかで悩まされた。グループ客がいくつかの客室に分かれて滞在しているらしく、ドアを半開きにして互いの部屋を往来している。それぞれの部屋から洩れる大きな話し声が、下がスカスカの扉を通してハッキリと聞こえてくるのだ。 楽しみにしていた旅行で気分が盛り上がるのもよく理解できるが、ここがホテルの客室フロアである以上、たとえ室内での振舞いであっても、周囲に対する配慮が必要であろう。いずれ静まるかと思い我慢を重ねたが、やっと気にならなくなったのは午前2時過ぎだった。この日は修学旅行生も滞在しているようだったが、フロアが別だったので、出会うこともなかった。 このタイプの客室が改装されてからは初めて利用したのだが、インテリアも使い勝手も以前の方が格段によかった。まずもってあまりにも殺風景である。おそらく3人や4人での利用時にスタッキングベッドを組み立てるスペースを確保しようとしたことで、このような空間だらけのレイアウトになってしまったのだろう。空間があるのはゆとりだとも解釈できるが、度が過ぎれば泥棒に家具まで盗られた後の部屋のように見える。 窓際のアームチェアとテーブルまではいいが、部屋の中央にぽつりと置かれたライティングデスクは、まるで売る品物のない店の受付みたい。壁に取り付けられたテレビは22インチしかなく、ベッドに横たわった状態で観るには小さすぎる。 そしてベッドは最悪。110センチと小ぶりなのは我慢できても、ツインベッドの両方ともがスタッキングベッドで、マットレスはわずか12センチの厚さしかないため、寝心地は極めて悪い。寝具はカバーと一体化したタイプで、ベッドリネンの質もイマイチ。眠りの環境としてはビジネスホテル以下である。 また、2台のベッドが両脇のナイトテーブルに挟まれている配置のため、ベッドメイクをする際に、このナイトテーブルをいちいちどかさなければならないようだ。ナイトテーブルの角が尖っていて、動かす度に壁に当たるらしく、壁は傷だらけ。これはデザインミスである。また、添い寝の子供の安全という観点からも、このデザインはよくない。遊んでいて角に頭でもぶつけたら大変だ。 ベッドサイドのナイトスタンドとフロアスタンドは、同じ貝殻をモチーフにしたと思われるデザインだが、これも企画倒れで、すでにボロボロ。ぐらぐらしてしまい妙な向きにしかならず、気持ちが悪かった。居室内に収納家具はなく、入口近くのクローゼットが収納スペースとなっている。クローゼット内には深めの引き出しが設置されているのに、中にはエキストラベッド用の寝具が入っており、持ち物を整理する場所はまったくない。また、せっかくのバルコニー付き窓だが、外側も内側もひどく汚れていた。スリッパは使いまわしのビニール製だ。 このように哀しい状態の室内だが、救いはバスルームだった。10平米を越えるスペースのある総大理石張りのバスルームは、ほぼ開業以来の状態を保っている。深くて大きなバスタブだが、強烈な水勢で給湯はあっという間。2面がガラスの開放的なシャワーブース、色の違う大理石を天板に使ったベイシンなど、落ち着いた中にもゴージャスな雰囲気のある空間だ。 アメニティの品質はショボいものの、アイテムはいろいろ揃っており、持ち帰れるように巾着袋が用意してある。また、ベイシンの棚にはガラス皿に載ったポプリが置いてあるのだが、ひどく埃だらけ。このような状態ならば、ない方がマシなのではないか。 サービスには親しみや熱意が感じられるものの、優秀だとは言い難く、オークラのテイストはどこにも感じられない。客室係に何か頼んでも、対応までに30分以上を要するなど、オペレーションが順調ではない様子も散見された。 |
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ホテルオークラ東京ベイ | 940920 010602 040111 |
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