1994.09.20
ふたつのバスルーム
第一ホテル東京ベイ Executive Suite
楽-2複雑なフォルムと美しいオブジェが極上のリゾートライフを予感させる第一ホテル東京ベイ。明るいドアマンに誘われて進むロビーには、中央に花を配し、その向こうに小さなフロントカウンターが控えている。平日は静かで、ここが東京からわずかな距離の場所であることを忘れてしまいそうだ。コートヤードには噴水があり、上に目をやるとシンボリックなドルフィンのオブジェが宴会場の屋根の大波に躍って見える。ここは空と海とが密かに出会う場所なのかもしれない。
今回利用した客室は、エグゼクティブスイート。海に最も近く、バスルームからも海を臨むジュニアスイートが素晴らしかったから、それよりグレードの高い部屋はどうなのだろうという好奇心で予約した。
10階には4室のエグゼクティブスイートがあり、パーク側、海側とそれぞれ2部屋ずつが配置されているが、今回はパーク側だった。スイートと言っても、基本的にはワンルームタイプで、横に幅広い造りをしている。居室の半分がリビングリビング、半分がベッドスペースに当てられ、それぞれはライティングデスクで簡易的に仕切られる。
リビングにはゆったりとしたソファセットにアームチェア、オットマンつきのソファも配されている。それぞれが大きなサイズで存在感も大きい。ベッドはハリウッドスタイルに並べられ、ヘッドボードが棚状になり、ナイトテーブルの役目も果たしている。時計はなく、有線放送のパネルに表示される時刻を参照するか、オペレーターに尋ねる。エグゼクティブスイートには2箇所の窓があるが、それぞれにバルコニーが設けられているのは10階だけで、11階の2室にはバルコニーがない。
だが、もっともユニークなのはバスルームだった。ベッドスペースの奥にレイアウトされたバスルームは、クローゼットを挟んで左右ふたつに分かれている。どちらも総大理石張りの見事な空間だ。ふたつのバスルームには両方にそれぞれトイレとベイシンがあるが、一方にはバスタブのみが、そしてもう一方にはシャワーブースのみが設置されているのだ。わざわざシャワーブースとバスタブを別室に分けるという、その「こころ」がよく理解できなかった。
ジュニアスイートよりも面積は広いが、ロケーションといい、部屋の使い勝手といい、ジュニアスイートに軍配が上がることがよくわかった。
夕食前にはヘルスクラブで軽く泳いだ。小さいが南欧風のプールは、だれもおらず快適。プール脇には広いテラスもあり、風に当たることもできる。ヘルスクラブのバスルームも大理石張りで立派だが、浴槽やサウナは小さい。
ディナーは「フォンタナ」で。オールディダイニングなので軽食もあるが、コースを試してみた。オーセンティックな料理で、斬新なイメージはないが、昔ながらの伝統が感じられる。平日で落ちついているので、サービスも安定していた。
Y.K.