2001.01.03
お年玉プラン
第一ホテル東京 Deluxe Corner Twin
楽-42000年の夏、月食の夜にステイしたのと同じタイプの客室が、お年玉プランという名前で2名1室利用1名13,000円サ込み朝食つきという破格で紹介されていたので予約した。さらに連泊すれば、一日分が半額になるという太っ腹ぶりだったが、残念ながら連泊は満室で取れなかった。昼過ぎに到着した時には、チェックアウトの客がロビーに大勢いたが、以前ロビー周辺に置かれていたソファーが取り払われ、座る場所がなくて落ち着かない雰囲気だった。ベルアテンダントたちはバゲージダウンで全員出払っており、ドア周辺には係不在の状況が長く続いて混乱気味だ。やっとあらわれたベルガールも相当のお疲れモードで、いやいや仕事をしていますという表情が不憫でもあり不愉快でもあった。
フロントで手続きをしたところ、部屋の清掃が上がるまで1時間以上を要するとのことで、ロビーラウンジやスカイラウンジで利用できるドリンク券をくれた。客室が仕上がるまで待って部屋へ向かう途中、エレベータで親子と乗り合わせた。子供が父親に「なんでこのエレベータ、電気がついてないの?」と尋ねていた。確かにダークウッドに囲まれた空間に蛍光灯の間接照明だけなのはデザイン的にもバランスが悪い。
照明を抑えたムード演出というよりも単に暗いだけの印象を受ける。しかも、グランドピアノの鍵のような真鍮製のルームキーの先端を使って、同じく真鍮で仕上げたエレベータの扉や操作盤をギコギコとひっかく客が絶えないようで、見るも無残な状態になっている。大変だろうが発見し次第修繕するようにしないと、類は類を呼んでこのようなありさまになってしまう。エレベータ内は退屈な空間だけに、周囲をしみじみと見回してしまうので、ホテルのトータルコンセプトを表現できるように設計し、常によい状態に保つことが非常に重要だ。
客室はいつもどおりすでにターンダウンが終わった状態でセットアップされており、それきり客室係はやってこなかった。客室としては大変よくできており、この価格で利用できたのであれば大満足。ただラックレートに近い価格を支払うとなると、満足度は低くなるだろう。その他、アメニティや備品などには特に変化がなかった。翌朝の朝食は「アンシャンテ」でとった。正月早々無愛想な黒服に案内されたが、実際にサービスに当たっていた女性スタッフたちは爽やかでよい印象だった。タマゴ料理は特殊な卵を使用しているとのことで、店先に健康への効能などが書かれた看板が立てかけられていた。
2001.01.07
食べ放題で食べ過ぎ
エイジアンバイキング「トップ・オブ・ギンザ」銀座第一ホテル
楽-2この日の銀座第一ホテルは食べ放題目当ての客でかなり賑わっていた。2階にあるレストランではお正月スペシャルとして、カニが食べ放題のバイキングをやっていて、レストランだけでは対応しきれないと予測をしていたらしく、同じフロアの宴会場を臨時にレストラン別室として開放し、家族連れを中心に早い時間からおおいに盛り上がっていた。それを横目に見ながら、われわれは15階を目指してエレベータに乗った。古くて乗るだけで気が滅入りそうな雰囲気のエレベータだった。
15階に降り立つとキャッシャーがあるので、そこがレストランのエントランスだと思ってしまうと、待てど暮らせど店には入れない。そこからすたすたとバーを横切って、「トップ・オブ・ギンザ」の入り口まで進み、案内を待つことになる。以前はフレンチレストランとして営業していたようだが、内装的にはその当時からさほど大きくは手を加えていないらしい。これほどキッチュな内装のホテルレストランは珍しいので、なくなる前に一度は見ておいて良かったと思っている。
入り口で案内役を務めるのは、ホテルマンというよりはどこかの洋食屋か何かのじいさんという感じで、その他の従業員はほとんどアジアから来た女性というユニークな取り合わせだ。こちらの店は正月だからといって目玉商品があるわけではなかったが、それでもかなりの人気で昼過ぎには行列ができていた。
昼は2,300円で中国料理を中心とした約25種のアジア料理が食べ放題。サービス料は不要と良心的なのも家族連れに評価されるひとつの理由だろう。ドリンクはランチなら300円で各種用意されているが、ウーロン茶やコーヒーはバイキングに含まれている。味付けは屋台風で、まったく気取らずに家族や友人と楽しむのに向いている。とりあえず全種類味を見てみたが、もち米を炊いたちまきの中身のような料理が一番おいしかった。デザートはかなり甘め。たくさん食べ過ぎてかなり苦しかった。窓からの眺めは決して美しいとはいえない。特に昼間は近所のビルの屋上が見えてしまい雑然としている。それでも、すこし遠くに目をやれば、帝国ホテルや新しい資生堂パーラーのビルなど銀座らしい雰囲気が味わえる。
2001.05.21
よその窓明かり
大阪第一ホテル Single Room
哀-2薄曇りのなか、飛行機で伊丹空港に到着し、空港バスに乗り継いで大阪第一ホテルにチェックインした。大阪空港から梅田へのリムジンバスはほぼ10分間隔の運転で非常に便利なのだが、行き先が新阪急ホテル、ハービス大阪、第一ホテルと3種類あるため、梅田周辺に宿をとるときは行き先を上手く選ばないと随分と遠回りになってしまう。この日は、第一ホテル行きに乗るため、新阪急ホテル行きを一本見送ることになった。
とはいえこのホテルは、交通の便は大変恵まれている。空港リムジンにも便利なだけでなく、JR大阪駅に程近く、阪神梅田、地下鉄の梅田、西梅田、東梅田と、さらにJR東西線の北新地駅のいずれにも比較的近い。ホテル自体はビジネス色が強く、今回利用したシングルルームは、改装を終えたとはいえ窮屈なつくりだった。マルビルの呼び名で親しまれているこのホテルは、円筒状をしているから、客室は扉から窓に向かって幅が広がってゆく構造になっている。そのため廊下には異常な接近度で扉が並び見慣れない光景に違和感を覚えるが、それなりに奥行きがあって、よくぞうまいこと室内のレイアウトを考えたものだと感心してしまった。
アサインされた客室は客室階としては最上階だったので、窓は小さいながらも視界が開け眺めは良かった。窓際にベッドがあり、手前にデスクなどが配置されていて、天井にはシーリングライトがあって明るい環境だ。バスルームはかなりコンパクトで昔風のユニットバスだが、洗浄機能つきトイレにリニュアルされていた。アメニティは必要最低限だ。全体的にワンルームマンションのような雰囲気の客室だった。
駅前の便利な立地を考えると納得できる料金設定だが、設備面だけみるとやや期待を下回るかも知れない。周辺には高級シティホテルが軒を連ねるだけあって、小さな窓からよそのホテルの窓明かりを見たあとに、ふとこの室内に目を転じると侘しい気分になる。サービスは実務的だが、それなりのホスピタリティは感じられる。そもそも大きな期待をしていないだけに、落胆することもない。
同じチェーンでも、第一ホテル東京とここでは設備的に大差があるが、やはり第一ホテルチェーンは下手に高級ホテルにチャレンジするより、こうしたビジネス型のホテルを堅実にやっているほうが向いていたような気がする。ここの1階のロビーに面してスターバックスがあり、コーヒーを飲む大勢の若者たちがロビーの方にまで進出していた。ホテルらしからぬカジュアルな空気が漂っているといえなくもないが、かえってそれが若々しい明るさをもたらし、陰気になりがちなこのホテルの雰囲気を中和しているようだ。
2001.06.02
アーバンリゾート
第一ホテル東京ベイ Deluxe Room
喜-4好天に恵まれた週末のディズニーリゾートに出掛けるとなると相当の渋滞を覚悟していたが、意外にも交通はスムーズで、チェックインタイムのホテルもそれほどの人出ではなかった。第一ホテル東京ベイは、当初リージェントパークホテルとして計画され、建物が完成し従業員のトレーニングも始まった後で、リージェントが急遽撤退してしまったものだから、開業目前にして第一ホテルに引き渡されることになった経緯がある。それだけに、舞浜のホテル群の中でもひときわ贅沢な設備を誇っている。建物のディティールにまで凝った意匠が施され、館内どこにいてもリゾート気分を味わうことができる。
小ぢんまりとしたフロントカウンターはエントランスホールの中央に位置し、チェックインが集中しても慣れたもので手際よく対応している。客室への案内はしばらく待つように言われたが、自分で部屋に向うと辞退し、追って荷物を上げてもらうよう依頼した。今回はデラックスルームを予約したが、中でも正面に海が見え、バルコニーがあるタイプをリクエストしてあった。その細かなリクエストに完璧に応え、なおかつ、窓が大きいもっとも条件の良い客室にアサインしてくれた。同じデラックスのカテゴリーでも、バルコニーの有無、窓の形状や大きさなど様々だ。
客室はモデレートからデラックスまではすべて44平米で、面積や設備には変わりがなく、違いは階層と向きである。高層建築ではないホテルだが、階層と向きによる眺望の差は歴然としており、開放感がまったく違ってくるので、奮発してデラックスルームを予約する価値は十分にある。逆に、もっともリーズナブルなモデレートルームでも、広いバスルームと充実したサービスはもれなく付いてくるので、客室を楽しむ目的なら、モデレートルームでも十分満足できるだろう。
室内は統一感のある淡い色調でコーディネートされ、安らぎを感じさせる。内扉で仕切られた居室はほぼ正方形に近い形で、ライティングデスク、440ch有線放送を備えたアーモア、ソファセット、ハリウッドスタイルのベッドなどが置かれ、なお十分なスペースがある。ワイドな窓は開閉でき、バルコニーにも出ることができる。正面に海を眺められるタイプのデラックスルームで、コートヤードも見下ろせる。夜には、対岸の夜景に加え、コートヤードのイルミネーションやライトアップされたイルカのオブジェがファンタジックだ。室内の照明も控えめでムーディ。
バスルームは実に10平米以上の面積を割き、見事に大理石を張り巡らせている。もちろんシャワーブースは独立しており、大型のバスタブは右に出るもののない水圧で、2分と掛からず一杯にすることができる。ベイシン回りも広く取られ、小物を整理できる棚が便利。アメニティにも手抜きはなく、充実した品揃えだ。全室にバスローブも完備している。ルームサービスの営業は6:00〜1:00。ターンダウンはリクエスト制だが、実に丁寧にサービスを行うので、宿泊したらぜひ依頼したい。
スタッフはとても親しみがあり、目が合うと積極的に「何かお探しですか?」とか「こんにちは」といった具合に声を掛けてくれる。身近なリゾートとして、とても満足度の高い滞在だった。ディズニーリゾートを楽しんだ後にステイする場合にも、舞浜地区ではもっとも夢の続きが見られそうなホテルだ。
夕食は軽く済ませるつもりで、日本料理店に入り、手頃なステーキ定食3,500円を注文した。週末の混雑時に申し訳ないとも思ったが、悠長に懐石などを味わうだけの時間もなく、一度に運ばれてくるものが良かった。値段が手頃なので、内容にもさほど期待していなかったが、漬物ひとつ取っても料理屋ならではの味わいがあり、その盛り方にも板前の仕事を感じることができた。ステーキはやわらかくジューシーだし、何よりご飯がおいしいのがうれしい。
1,000円で5種類の日本酒が楽しめる「利き酒セット」は、日本酒ビギナーのぼくにはピッタリ。ただ、膝に敷くナプキンがなく、卓上にも口を拭う紙ナプキンさえ置かれていないのには、やや不自由した。オシボリが2回サービスされたが、それではナプキンの代わりはつとまらない。また、店の外の眺望は、小さく殺風景な庭越しに上下するシェラトングランデのけばけばしいエレベータが目に付き、あまり上品な感じではなかった。サービスは安定しており、若いマネージャーにも好感がもてた。
この店はかつてオールデイダイニングとして営業していたが、テラスラウンジが改装され、ティーラウンジとしてのみでなく軽食もとれるコーヒーショップ的な役割を果たせるようになったことから、休憩時間のあるフレンチダイニングに変わった。しかし、朝食はいままでどおりに営業しているので、朝食ブッフェを利用してみることにした。ファミリーが多いなか、奥のコーナーは子供を連れていないゲストだけを案内するコーナーになっているのか、たまたまそうなったのか、定かではないが、その一角で静かに食事を楽しむことができた。ブッフェカウンターにはカレーライスなど子供も喜ぶアイテムがずらっと並んでいる。料理の補充もこまめになされ、想像していたよりも充実していた。席の回転も速く、それほど混雑を呈することもなかった。回廊越しにコートヤードを望め、すがすがしい雰囲気だ。
2001.08.19
シングル仕様のハリウッドツイン
第一ホテル東京 Superior Room
哀-3日曜日の第一ホテル東京は、とてもひっそりとしている。夜も更ければ一層のことだ。ひとりチェックインを済ませ、案内された客室はハリウッドツインタイプだった。ベッドはふたり分セットしてあるが、タオルやバスローブは1枚ずつ、歯ブラシなどのアメニティもひとつだけしか用意のない、シングル仕様だ。アメニティは一人分で足りないことはないが、ツインのシングルユースという利用の仕方をする場合、タオルも1枚ずつしかないとなると、なんだか肩身の狭いような気分になる。もちろん、客室係に電話をすれば、すぐに届けてくれることはわかっているが、フシギとそんな元気もどこかへ飛んでいってしまう。
アメニティも以前に比べて随分と絞り込まれた。以前は洒落たデザインのボトルに入っていたシャンプー類は、このバスルームには似つかわしくない色合いのボトル替わり、小さなボトルに入った女性用/男性用両方の化粧品と一緒に並んでいる。いずれも「ノエビア」の品で、それなりにコストが掛かっていそうに見える。一見以前と同じように見える歯ブラシやカミソリも、コストダウンが図られたようだ。
また、他の客室には備わっているはずのコットンが入った陶器がこのバスルームにはなく、何かの都合で壊れたり無くなったりしてしまった備品でも、特に必要なものでない限り補充はしないという考え方なのだろうかと、勝手な想像をめぐらせてしまった。バスタブは大きく、シャワーブースも広くゆったりととられた快適なバスルームなだけに、妥協は似合わないのだが、そうも言っていられない現状もよく理解できる。
このホテルにはレストランには充実したレストランやバーがあるが、コーヒーショップがない。オールディダイニングでも軽食を取り扱っているようだが、気軽に入店するには勇気がいる。ひとりでフラッと気軽に入って、軽い食事を楽しめる店がほしいものだ。
2001.09.29
ミステリアスな気分
第一ホテル東京 Superior Room
哀-223時少し前、ロビーにはほとんど人の姿はなく、すっかりとミッドナイトモードになっていた。静かなのはそれはそれで結構なのだが、どういうわけか陰気でひっそりとしすぎており、おおらかな時間が流れる雰囲気とは趣きが違う。翌日のロビーウエディングの為に、ロビーラウンジでは配置転換などの準備が進められていたが、まるで活気がなく、劇中の悲しみに打ちひしがれた場面のように見えるのは、ただ夜が遅いからなのだろうか。
そんな中でも、フロントスタッフの生き生きとしたサービスぶりには救われた。砂漠のオアシスとはまさにこのことだ。そして、高層階客室からの眺めにも、随分と癒される。しかし、ちょっと絨毯に目を落とせば、血しぶきのような染みにゾッとさせられる。窓は、閉じ込められた人が激しく助けを求めたかのような夥しい手の跡で曇っているし、同様に鏡も汚れていたため、自分自身で拭き上げるのに苦労した。人の手跡は脂がのっているので、簡単には落ちてくれない。
洒落たデザインで気に入っていたショッピングバッグはサイズが急に小さくなってしまった。また、通常どのホテルでも常備しているサービスディレクトリーがこのホテルにはない。なんともミステリアスなホテルだ。翌日、ホテルから新橋駅方面へと向かう地下道を歩いた。広く立派な地下道だが、日中にもかかわらず誰とも出会うことはなかった。
2001.10.05
秋日陽
日本料理「むさしの」第一ホテル光が丘
楽-3贅沢なパブリックスペースやスケールの大きな宴会場を持ち、アップグレードなコミュニティホテルとして、地域のランドマーク的な役割を果たしているこのホテルらしく、日本料理店は接待などにも十分対応できる実力を備えている。シティホテル並みの高いレベルでありながら、料金は低くおさえられているので、親族での集まりにも、利用価値が高い店だ。
この日は、手頃な秋のスペシャルメニューを注文した。「秋日陽」と書いて「あきびより」と読ませるこのメニューは、先付けに続き、松茸の土瓶蒸し、握り寿司の盛り合わせ、季節の天婦羅の盛り合わせ、そして、最後に巻物寿司と、ボリューム満点の内容だ。ひとり3,800円で、2名以上からの注文となるが、器も凝っていて、お値打ち感があった。
窓の外には池が設えてあり、ライトアップされて雰囲気がある。その向こうには幹線道路が走っているのだが、その喧騒は全く気にならず、ゆったりとした時間を過ごすことができる。サービスもフレンドリーだが節度があり良好だった。
第一ホテル東京の地下駐車場に車を入れて、アネックスまで歩いてチェックイン。23時過ぎのフロントデスクには、アルバイトと思しきちょっと頼りなさそうな若い男の子がひとりきりで構えていた。ホテルエントランスも小ぢんまりとしており、注意していなければホテルだとは気付かないかもしれない。それでも、ソファが置かれていて、宿泊客との待ち合わせなどに利用できるようになっているが、外からふとやってきてパブリックスペースだけを利用するような雰囲気にはなっていない。
今回利用した客室は12階。かつてはミニスイートと称した客室が10室並んでいたフロアだが、そのスイートをすべて分割してツインルームとシングルルームそれぞれ10室に改装した。ツインルームは、もともとスイートの寝室だった部分をほぼそのまま使っているため、家具などがとてもしっかりとしており高級感がある。シングルルームの方は、大きなライティングデスクとソファセットが設えてあったスイートのリビングを改装して用いている。
窓は天井に向かってとても大きく、見上げると空が広く感じる。カーテンは電動だ。窓の外には道路を一本隔ててすぐにJRが通っている。電車の音が僅かに聞こえてくるものの遮音性は高く、喧騒からは遮断された印象を持った。ベッドは110センチ幅で、羽毛布団を採用している。ライティングデスクは窓に向かって設置されているが、とても小さなサイズなので、仕事を持ち込んでの作業には物足りないかもしれない。
バスルームは3.52平米のユニットだが、天井高が230センチあるのでより広いように感じられる。ベイシンの天板は石を使い、その他はタイルで仕上げてある。アメニティは男性用化粧品が充実しており、タオルは3サイズが各2枚ずつ、バスローブも用意されている。シャワーヘッドは可動式と固定式が別々に設置されており、固定式の方はかなり高い位置にあった。
全体的に男性向きな設えになっており、過剰な華やかさや無駄な設備が一切ないところは、ビジネスユースに適しているという印象を受けた。あまりホテルから干渉されることを好まない人でも、このホテルならマイペースで過ごせるかもしれない。
2001.11.23
アトリウム
吉祥寺第一ホテル Single Room
楽-1吉祥寺駅北口から繁華街をしばらく歩くと、サーモンピンクの外観をした吉祥寺第一ホテルが見えてくる。1階の正面入り口から、2階フロントへと続くエスカレータを上がると、吹き抜けのアトリウムが目を奪う。フロントは小ぢんまりとしているが、コーヒーショップとラウンジを中央に配したアトリウムはスケール感があり、ざわめきや食器の触れ合う音などが響いて独特の雰囲気を醸し出している。客室の中には、このアトリウムに面しているものもあり、普段とは違った空間を楽しむことができそうだ。
今回利用したシングルルームは外を向いており、景観からはこのホテルが住宅街にも隣接していることがわかる。室内の設備はとてもオーソドックスで、とりわけ驚くようなことはなかったが、スタンドのデザインが共通していて、なんだかかわいかった。バスルームはタイル張り。タオルが3サイズ揃っていることが、このクラスのホテルにしては、新鮮な印象として記憶している。
2001.12.08
エキゾチック
銀座第一ホテル Standard Room
哀-2この老舗ホテルも近い将来、歴史に幕を閉じることが決まっている。銀座と新橋の境にあって、ビジネス客にも観光客にも便利なホテルだった。改装を繰り返しているものの、館内のあちこちに長い歴史を感じることができる。新しくもなく、かといって古すぎもしないところが、このホテルらしさであった。これからが味わいの時代だと思うと惜しい気がする。
1階正面玄関にはドアマンがおり、駐車場係の姿もあった。駐車場は満車だったために、正面玄関前のスペースに駐車することになった。フロントは2階にあり、エスカレータで通じている。フロントはユニークな形をしており、多くの中国系旅行客で賑わっていた。手続きを済ませると、ベルマンによって客室まで案内された。
客室は思ったよりも天井が高い。265センチだが、客室が狭いのでより高く感じられる。インテリアはどことなく中国風で、なかなか個性的だった。家具類は意外にしっかりとした造りで、見ようによっては存在感が大きい。ベッドは110×200センチの大きさで、今では珍しいトップシーツのない毛布掛けだ。しかも、枕はそば殻入りのがひとつだけ。持込みスペースがまったくない引き抜き式冷蔵庫や、薄汚れた二重窓なども、このホテルにおいては異国情緒に結びつく。モジュラージャックはなく、電話も旧式。コンセントが床から高い位置にあったのが印象的だった。また、扉は二重ロックにならないし、遮音性にも乏しく、夜中に廊下から聞こえてくる話し声のリアルさに、もしや扉が開いたままなのではと不安に思うことがしばしばあった。
バスルームは2.24平米。かなり狭い。バスタブは長さが120センチしかなく、ひざを抱えて浸かる感じだ。トイレの洗浄機能は備わっていない。バスルームでひときわ目をひくのは、オレンジと白のストライプ柄の薄いシャワーカーテンだ。このセンスも日本離れしていて、何ともいえない味。リンスインシャンプーとボディソープはディスペンサースタイル。固形石鹸は20グラムの小さなものがひとつ用意されている。タオルは3サイズ備わっていた。
サービススタッフはアルバイトが多いせいか、今時の学生風でいまひとつ感じがよくないし、気持ちが通じない。コンビニエンスストアのレベルだった。チェックアウトの際、会計のカウンターには誰も係がいなかった。仕方なく、チェックインカウンターの方へ行きチェックアウトがしたいと言うと、「チェックアウトはあちらです」と誰もいない場所を指し示し、それ以上のことを進んでしようとはしなかった。これがこのホテルとの永遠の別れのシーンとなった。
Y.K.