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2004.01.06.(火)

ロイヤルパーク汐留タワー Corner Deluxe Room
Royal Park Shiodome Tower
喜-2 殺された窓
窓から見下ろす汐留地区
ロイヤルパーク汐留タワーの標準客室は、コンパクトな面積を有効に活用したレイアウトが特長だが、各フロアにはより広い面積を確保したモデレート以上の客室も数多くある。それぞれに個性にのあるレイアウトをしており、広さだけでなく雰囲気も異なるので、いろいろなタイプを試したくなるホテルだ。今回も魅力あふれる客室だけに、たくさんの疑問が浮き彫りになった。

スイートに次いで広いスペースを持つデラックスコーナーツインは57平米。広さは同じでも、方向によってレイアウトが大きく異なる2タイプがあるが、今回は仕切りのないワンルームタイプを利用した。ワンルームタイプと言っても、ヘッドボードとパーテーションにより、客室は大きくふたつのエリアに分かれている。家具がひしめく居室と、すっきりとした踏み込みやドレッシングスペースでは、ややバランスに欠ける気もするが、広いスペースを惜しげもなく使い、大胆なインテリアに仕上がっている。

居室に仕切りはないが、リビングスペースとベッドスペースに大別される。リビングにはアクセントとなる衝立とソファを据え、窓に向けてデスクを設置した。それぞれサイズが大きく存在感があるので、調和というよりも主張のせめぎあいを感じる。衝立の後ろは完全にデッドスペースになっているので、ソファのために随分と空間を割いて演出を凝らしたという印象。その結果、デスクは眺めのいい窓際に敢えて置いたというより、追いやられたかとさえ思えてしまう。壁の大きな鏡が、やもすれば窮屈な室内を広く見せていた。

ベッドは120センチ幅が2台。いずれも赤いベッドカバーがビビッドだ。高いヘッドボードは、ドレッサーや収納スペースとの仕切りの役目も果たしている。ベッドの脇には唯一床から生きている窓があるが、その横の壁は照明も当たらず、絵も掛かっていないので、特に夜は暗くて寂しい。ベッドの正面にはチェストとテレビがあるが、窓を背にして置かれているので、逆光となり見にくかった。カーテンをいちいち動かすのも面倒。

窓はベイシン部分も含めて4面が取られている。数多い窓と異なる眺望はコーナールームの大きな魅力だ。だが、4面のうち3面までもが、窓の前に家具を設置し、半分またはそれ以上が殺されている。隣のビルと近接しているため、敢えて窓を殺して目隠しにしているのかもしれないが、せっかく腰の低い窓も開放感に繋げられないのは残念でならない。

窓はかなり汚れていた。子供の手跡が多数見られ、それは夜になると余計に目だった。タオルでふき取ろうにも、油っぽくてなかなか落ちない。更には窓に細かい傷がついており、新しいホテルなのに気の毒だった。また、シーツのプレスが非常に下手だ。端の方が縮んだまま機械プレスをしているのでヨレヨレ。これはホテルから業者にきちんとクレームを付けるべき点だと思う。

ビジネスサポートのためにと、プリンタやファックスも装備しているが、携帯電話は不安定で時々圏外になってしまうし、発信できる電話機はベッドサイドにしかないなど、基本的なことがおさえられていない。

ヘッドボードの裏には、大きな鏡と広いドレッサーが設えられているが、なぜかあまり魅力のある空間に見えなかった。ドレッサーの後ろにはウェットのベイシンや電子レンジ、コーヒーメーカーなどが入ったユニットと、置き家具のクローゼットがある。これではなんだか、納戸かキッチンで化粧をするような気になりはしないだろうか。やはり化粧をする場所は、人が輝ける空間であるべきだ。それから、ミニバーに用意されたドリップコーヒーとコーヒーマシーンは見るからに無料サービスのように見えるが、ミニバーの伝票を見るとどうやら有料らしい。

バスルームは外光が入り、魅力的な空間だった。窓に面したベイシンには、照明付きの丸いミラーが据えられ、これが大きなアクセントになっている。窓にはブラインドが下がっているが、一枚一枚に埃がたっぷりと積もっている。ところが、ベイシンの裏に回って清掃しようにも、そう簡単にはアプローチできない位置関係だ。これは設計に問題がある。

トイレは完全に独立している。バスルームはバスタブとシャワースペースが一体化した、いわゆる洗い場付き。全体にグレーの石を使い、シックながら快適な空間だが、バスルーム内の照明が平板なのが残念。タオルは標準客室と同じ枚数だが、バスローブを備えている。アメニティもほぼ同等ながら、アユーラの洗顔キットやリステリンなど、若干アイテムが増える。

今回の客室は、無駄な空間が多いからか、57平米という広さを実感できるものではなかった。同じくらいの広さなら、パークハイアットや西洋銀座の方が完成度が高い。しかし、個性のあるインテリアという点では、どこにも負けてはいないし、背伸びをしたような緊張感がないという点も気軽に使えていい。時折、一休.comなどに出現するお得なレートを見逃さずに利用したもの。

夜になって、窓からの夜景を楽しんでいると、ふと不思議なことに気が付いた。目の前のビルはパークホテル東京なはずなのに、客室にはたったひとつも電気が点いていない。よほど稼働率が低いようだ。おそらく、こちら側の向きは眺めが悪いため、他の向きを中心にアサインしているのだろうが、なんとも気の毒。しかし、汐留のホテルは高すぎる。もう少し現実的な価格を考えてほしい。

ソファ後ろの衝立てが印象的 室内には様々なものが置かれている

ベッドボードで室内を仕切っている ベッド前のテレビは逆光でみにくい

大型ソファ デスク周辺

ウェットのミニバー クロゼットとミニバーに挟まれたところがバスルーム入口

ベッドボードの裏側が幅の広いドレッサー ベイシン前には照明付きの丸いミラー

バスタブとシャワースペースが並んだ石張りのバスルーム ベイシンのあるコーナーの床

東京タワーと真っ暗なパークホテル東京(左) 夜明け前の景色

[ロイヤルパーク汐留タワー] 030701 030718 040102

Y.K.