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2003年7月18日

ロイヤルパーク汐留タワー Standard Twin Room
楽-2 新鮮さと違和感のボーダーライン
外観
開業初日に利用した際には、新しいコンセプトと客室の機能に次世代のホテル像を垣間見た気がしたが、改めて滞在してみて、既存の殻を打ち破ることや進化を続けることの難しさを感じさせられた。開業までの期間、ゲストのメリットや不要なコストの削減を考え、さまざまに工夫を凝らしたホテル造りを目指してきたことは十分に感じ取れるが、実際に開業してみれば、便利だと思って用意したものが不評だったり、ゲストのニーズとはかけ離れていたりした部分もあったはずなのに、開業後の進化の形跡は見ることが出来なかった。とはいっても、まだ開業後3週間も経たないうちなので、今後に期待を持って見守りたい。

ホテルに到着したのは20時近かった。チェックイン時、フロントデスクでは数組が手続きをしており、カウンターはふさがっていた。さて、何処で順番を待ったらいいのか。後ろにはベルアテンダントが控えているのだから、何かしら案内すべく声を掛けてきたらいいものだが、そのまま放っておかれた。順番がやってきて手続きを担当したのは、おそらく新人だろう、初々しい感じの若い女性だった。やさしい笑顔を向けられると、疲れが癒される。しかし、少々頼りなかった。教わったことは教わったとおりにこなしているが、慣れた係に頼めば何ということはないリクエストにもうろたえてしまうので、異国で言葉が通じない時と同様のもどかしさを感じた。

荷物は少なかったので、客室への案内は辞退して自ら部屋へ向かった。地上とロビーフロアを結ぶエレベータは3基しかなく、いつも待たされる上に混雑しているが、ロビーから客室へのエレベータは5基あってスムーズだ。どう考えても地上とロビー間の交通量の方が多いはずなので、この設計はいただけない。エレベータホールにはチェックアウトが混雑する旨の案内が掲示されている。出発時に行列というのも興ざめしてしまうが、こうしてワンクッションあるとないとでは印象は大違いだ。

今回利用した客室はスタンダードフロアのスタンダードツイン。このホテルで最も標準的な客室だ。客室の仕様は前回利用したタワーダブルとほぼ同等で、目新しい点は特になかった。タワーフロアと比較すると、マッサージイス、バスローブ、アユーラの洗顔セット、多機能プリンタが削られ、天井高が若干低くなっている。それでも2.8メートルもの天井高は狭い面積の客室に、ゆとりを感じさせるに十分役立っている。早速デスクにあるコンピュータを起動し、ホテルの情報収集を開始。通常ならホテルディレクトリーをぱらぱらとめくることろだが、ここではコンピュータがガイド役を兼ねている。

しかし、この案内は情報が充実していない。ルームサービスがどうなっているのかと、そのページを表示させれば、「ただいまお取り扱いしておりません」と出てきて、一体何時から何時までやっているのかなど、肝心な情報は出てこない。ルームサービスでの朝食は、前日の23時までに予約しなくてはならないのも不便である上に、まるで新幹線のお弁当のような、せいぜい800円程度の価値しかなさげな朝食が2,200円とは驚きだ。また、このコンピュータ、そもそも客室の向きによっては、まるで左利き仕様のように、チェアの左にマウス、さらにその左にディスプレイという配置になっていて、大変使いにくかった。この部屋とは対称の位置にある、すなわち入口を入って左側にデスクのあるレイアウトなら、デスクトップの配置はしっくり来るはずだ。

窓際にはちょっとしたカウチソファ風のイスが置いてある。カウチソファと呼ぶにはいささか短すぎるようだ。このイスに掛ければ、大きな窓からベイサイドの夜景を楽しめる特等席。回りにテーブルはないが、すぐそばのチェストからテーブルが引き出せるようになっているので、グラスなどはそこに載せられる。

さて、いざ夜景でも見ようかと思って腰掛けたら、窓は子供が汚れた手で触りまくった跡がそのままで、夜景どころか気分が悪くなった。ちょっとした汚れなら、自分でティシューを濡らしたりして拭き取ってしまうが、小さなタオルでは拭ききれないほどだったので、客室係に頼んでキレイにしてもらった。その際、ついでに固形せっけんを持ってきて欲しいと頼むと、用意がないと断られた。バスルームには、リキッドタイプのソープしか備わっていないが、リキッドのぬるっとした感触や、香りが残るのが好きになれない。好奇心で、開業から今日まで固形せっけんのリクエストは一回もなかったかどうか尋ねてみると、これが初めてだという。しかし、結局、500円玉程度の大きさの洗顔用ソープを持ってきてくれた。

夜は快適なベッドでぐっすりと休めるはずだったが、この界隈では昼夜を問わず工事が行われており、夜間は道路工事の騒音が室内まで随分と聞こえ騒々しかった。また、セントレジスのビルもかなり高くなってきたので、このホテルからの眺望も、刻々と制限されてきている。景観を楽しみたいなら、早い機会に滞在してみたほうがいいだろう。浜離宮側の景観が約束されているのは、スイートとスタンダードツイン、スタンダードダブルのいずれかだ。コーナーツインの一部も浜離宮に面しているが、裏側にもあるので確実ではない。タワーフロアなら必ず最上階なので、眺め重視の場合はそちらを選ぶといいと思う。(ただし、タワーフロアにはスタンダードツインはない)

この夜は熱を出してしまい、係に頼んで氷枕を借りた。持ってきてくれた若いベルアテンダントは、「他にご用意するものはありませんか」と気遣いを見せてくれた。解熱剤をいただければ大変ありがたいと頼むと、「おなかが痛いんですか?」と聞き返された。どうやら下剤と間違えたらしいが、その親切な雰囲気には心が和んだ。

翌朝、朝食を食べに行って部屋に戻る途中、廊下にはすでに多数の清掃用ワゴンが出ていた。狭い廊下に我が物顔で場所をとっているワゴンは、大変邪魔くさいだけでなく、とてもだらしない印象だった。せっかくスタイリッシュな空間を作り上げても、これでは台無し。開業からしばらくが経過して、ゲストからもさまざまな意見が寄せられたことだろう。実際にサービスをしてみて、イメージしていたのと現実とのギャップも浮き上がってきたはずだ。コンセプトを貫きながらも、これらをよりニーズにマッチしたスタイルに進化させてゆくには、これからが大切な時期だと思う。ここでダレてしまっては、風変わりなビジネスホテルで終わってしまうだろう。心なしかそんな気配も感じられて心配になってきた。

110cm幅のベッドが2台並ぶ ベッドとチェストとソファ

ライティングデスク クローゼットの中

バスルーム アメニティ

通るにも困るほど 閑散とした正面車寄せ

外観 ビルがひしめき合う

2003年7月19日 朝
ロイヤルパーク汐留タワー 日本料理「厨・車屋」
哀-3 ロボット
午前8時に入店した時は、混雑もなく窓際の席に案内された。従業員は朝から元気よく「いらっしゃいませ!」と大声を張り上げている。よくファミレスやデパートなとであたり構わず、どちらを向いていようとも、こうして声を掛け合っている光景を見るが、こんな習慣がある国も珍しいのではないだろうか。魚屋や八百屋なら威勢がいいと感心するが、ホテルで朝っぱらからこうでは、下品にしか感じない。

席についてからも、こちらは同席のものたちと会話を楽しんでいるというのに、そこに割り込んで来て、コレは何だとかいちいち説明をする。とにかくうるさくて仕方がない。こうした説明が親切になるケースももちろんあるわけだが、それはゲストの状況を見て判断をしなくてはならない。ゲストの都合を考えずに、店の都合でやりたいことを一方的に押し付けられては、配慮のかけらも感じることはできない。

済んだ皿を下げる際にも、「お済でございますか?」と誤った日本語を使う。店を後にしようとすれば、「ありがとうございました。いってらっしゃいませ」と一同、口をそろえる。これからまた客室に戻ってくつろごうというのに、「いってらっしゃいませ」は不似合いだ。すべてがマニュアル化され、誰一人自分の頭や心を使って仕事をしていない。いくら愛想がよくても、これではロボットだ。味も見た目だけだった。だしなどの基本が出来ていないと感じられた。

[ロイヤルパーク汐留タワー] 030701

Y.K.