2003年9月15日 |
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第一ホテル東京 Design Suite | |
喜-2 The Coolest Room | |
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第一ホテル東京では、ジュニアスイートを1室だけ改装し、デザインスイートと銘打って期間限定で販売している。当初の限定期日は過ぎてしまったが、改めて期間を延長しているので、利用するチャンスに恵まれた。第一ホテルのイメージからはまったく想像もつかない現代的でクールなインテリアは、ホテルファンでなくとも一見の価値があり、一度利用するとクセになってしまうかもしれない。
デザインスイートがあるのは、特別階プルミエールフロアだ。レギュラーフロアよりも天井が高く、廊下などのインテリアも異なっている。第一ホテル東京は、ヨーロピアンエレガンスをモチーフにデザインされたホテルなので、随所に華やかな装飾が見られるが、デザインスイートのエントランスを一歩入れば、そこは別世界。とても同じホテルの中とは思えないシンプルでクールな空間が広がる。全体が完全にモノトーンでコーディネートされており、白、黒、メタリック以外の家具は見事に存在しない。備品は一部を除いて、とことん選び抜いて揃えられたことをうかがわせる、個性的でデザイン性に優れたものばかりだ。 エントランスから入って、まず気を引かれるのが、ワークスペースだ。アルミカラーの壁やデスクに囲まれ、自由に使えるVAIOがデスクトップに鎮座している。アームチェア、ライト、ペンスタンド、ドキュメントトレーなど、どれも思わず欲しくなるものばかりだ。もし欲しくなったら、ほとんどの備品は、室内にあるカタログに価格つきで紹介されているので、購入することも可能。ワークスペースからは、カウンターを兼ねたパーテーション越しにリビングスペースを見ることができる。 リビングには白いソファ、四角いテーブルがあって、間接照明が埋め込まれた後ろの棚には、カラフルな洋書が並び、小物で室内を彩っている。そして、42インチプラズマディスプレイを中心に、ホームシアターの設備が整っているので、DVDを美しい映像と迫力のサウンドで楽しむことができる。廊下や隣室への音漏れが気になるところだが、やや大きめの音にして廊下で聞いてみたところ、何か聞こえてはくるが、うるさいというレベルではなかった。 リビングスペースからベッドスペースへの間には、インテリアの一部として重要な役割を果たす冷蔵庫が置かれている。バーなどでよく目にする、中身の見える観音開きの扉を持ったタイプで、中にはコカコーラ、エビアン、バドワイザーが多数ディスプレイされている。有料だが、もちろん飲むこともできる。ベッドも真っ白で統一したが、見た目は他の部分とよく調和しているものの、実際の寝心地はあまり落ち着かないベッドだった。こちらにも、リビングとは別に42型プラズマディスプレイが装備されている他、枕元にはMDプレイヤーを備えて、眠りのBGM用の演出も万全だ。 照明は、個々にスイッチが付いているものは別として、照明コントロールシステムで、さまざまなシーンに調整することが可能。これがあるだけで、室内の雰囲気がぐっとよくなるし、ブラインドを下げた窓や、効果的にレイアウトされたデザイン小物など、どこを見てもかっこよく決まった客室だ。しかし、完成の域に達したコーディネートを、壊している備品もいくつか見つかった。湯沸しポット、茶碗、浴衣、くつべら、ホテルディレクトリー、電話機、ボールペンなどで、それらは皆、第一ホテル仕様のアイテムであった。 バスルームも快適だった。まず、バスルームの手前には独立したドレッサー、その後ろにはクローゼットが設けられている。床は大理石張りで、白い家具と鏡の世界だ。ガラスで仕切られたバスルームは、ベイシン、バスタブ、シャワーブース、トイレからなり、3種類の照明スイッチを使って、照度や雰囲気を自在にコントロールできるのがいい。 ハロゲン光のスポットは、バスタブなど各所に効果的なハイライトを作っている。ベイシンの引き出しの前面は鏡面仕上げで、造りも然ることながら、清掃にも手間が掛かりそう。そして、シャワーヘッド、ソープディッシュ、タオルハンガーなど、どれもがスタイリッシュなデザインが施されている。正直、使い勝手という意味では、いまひとつな物も少なくないが、バスルーム全体の雰囲気は素晴らしい。 室内の天井高はもっとも高いところで290センチ、バスルームは250センチと非常に高いことも、この空間をカッコよく見せている要因だろう。長く過ごすには、いささかシャープ過ぎて、やわらかいものや温かいものに回帰したくなりそうだが、緊張感を求めたいとき、都会の暮らしを味わいたいときにはピッタリのスイートだ。 ところが、サービスは第一ホテル東京。まったくもって期待できないどころか、ひたすら我慢が必要だ。新人スタッフたちのひたむきな努力だけが救いだが、中堅からそれ以上の破壊力はそれを上回っている。特別階プルミエールフロアには、開業当時にはライブラリがあった。それはいつのまにか客室に改装されてしまった。プルミエールラウンジでは、チェックイン、チェックアウト、ウェルカムドリンク、朝食、カクテルアワーと、フルサービスを提供していたが、今では単なる休憩室。こちらも、客室にしてしまったらどうだろう。といっても、埋まりはしないだろうが。 |
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2003年9月15日 昼 | |
第一ホテル東京 オールデイダイニング「アンシャンテ」 | |
怒-5 閑古鳥の理由 | |
非礼に満ちたサービスは、レストランでも同じだった。「アンシャンテ」で遅いランチをとろうと店に入ったが、数ある空席のなかで、最も狭く落ち着かないテーブルに案内された。店は大きくふたつのセクションに分かれており、左側のメインホールはクローズした状態で、右側にある、個室としても使えるサロンだけで営業している。それだけ利用客に恵まれず、スタッフを最低限しか配置していないために、この狭いサロンにしか目が行き届かない状態なのだろう。店の事情を察しはしたが、その席はコース料理を楽しむには適さない環境だったので、チェンジしてくれるように頼んだ。 すると、ケチを付けられたことを不満に思ったのか、ふてぶてしい態度で、条件に大差のないふたつのテーブルから選択してくれと言う。この広い店には、他にアフタヌーンティを楽しんでいるゲストが一組いるだけだ。にもかかわらず、そのゲストと30センチくらいしか離れていないテーブル以外、用意がないと言い切るのはどういうことだろう。それで、ゲストは納得させられると思っているのだろうか。ゲストから求められれば、多少サービスに不便があったとしても、その要望には素直に応えるべきだ。 埒があかないので、この店での食事はやめ、アシスタントマネージャーに苦情を言った。立ち話は好まないので、座れる場所はないかと聞くと、ロビーラウンジに案内された。アシスタントマネージャーがレストランマネージャーを呼びに行く間、ラウンジの席に座って待っていたが、ラウンジの係はメニューを差し出し、注文をとりに来た。彼女は、注文を取って伝票を切る構えだった。苦情をホテルに伝えるゲストからも、喫茶代をせしめようとしていると捉えられても、仕方のない行為だった。 マネージャーたちが揃ってからも、苦情を聞こうという態度ではなかった。反省の様子もまったくない。ゲストを〜さん呼ばわりし、何が悪いのかと言わんばかり。ホテルに限らず、ゲストを納得させるには、態度や物腰が非常に大切なことすら、彼らは知らないらしい。周辺のホテルは盛ってるのに、ここだけガラガラな理由が、この中にあるような気がした。 |
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[第一ホテル東京] 930626 990704 990804 000716 010103 010819 010929 020331 021027 021110 030721 |
Y.K.