2003年7月21日 |
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第一ホテル東京 Moderate Twin Room | |
哀-4 ミスマッチ | |
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正面玄関で出迎えたドアマンは、かなりの年配だった。横浜のニューグランドでも年老いたドアマンに出会ったことがあるが、こちらの場合は体が小柄なためか、荷物を運ばせるのが申し訳ないような気持ちになった。とてもフレンドリーで対応は悪くないが、入口に立つドアマンには多少なりともキリッとした印象を持っていてもらいたいだけに、やや配置ミスではないかと感じられた。ドアマンに引き継がれた若いベルボーイは、明るく熱心で懸命だった。これからの人材が、あまり手本になるものが存在しないホテルで働いているのは不幸なことかもしれない。
そんな予感を決定的にしたのが、フロントの対応だった。フロントに近づいていく時から、カウンターに立つ係には、いやな空気を感じていた。なにやら勘違いしているような尊大な態度がにおいたっている。案の定、さばくような物腰で手続きを始め、こちらが禁煙ルームを希望すると、面倒臭そうな態度を顕わにしつつ、「禁煙室は満室に近い状態でして・・・・」と、諦めるように目で訴えていた。満室に「近い」ということは空きがあるという意味でもある。こちらも負けずに黙って聞こえない振りをしていると、しぶしぶ禁煙ルームを探し始めた。 待つ間、どこかに腰掛けようとイスを探したが、あるのは荷物用の台と、コンピュータコーナーに、コンシェルジュデスクだけ。コンシェルジュに「この辺にはイスがないんですね」と、「この辺にもイスを置いたほうがいい」という意味を込めて言ったが、正面玄関の反対側を指して「あちら側に用意していますのでどうぞ」と20メートルくらい離れた場所を案内された。その口調も事務的で感じが悪かった。しかも、その離れた席はフロントからは見えず、実際にその時はブライダルフェアの受付が半分のスペース陣取っていて、残りの半分は混んでいて座れなかった。 待つ間、ロビーをしみじみ見回したが、数箇所の電球が切れている。高い吹き抜け天井の天球を取り替えるのは大変だろうけれど、切れたまま放置するのは大層みっともない。スタッフの士気が低く、中年以上の歳のスタッフは皆暗い。メインロビーであるにもかかわらず、まるで営業しているのかしていないのかわからないくらいに空気がよどんで感じが悪い。また、エントランスやレストランの前には、B2ポスター大の案内があちこちに出されていて、ごちゃごちゃとした印象。とても都心の一等地に建つホテルとは思えないセンスだ。 客室へ向かうエレベータは3基。エレベータホールの前にはアロマテラピーの店があり、通りかかる度にいい香りが感じられる。エレベータはダークブラウンの木目と大理石と真鍮とデザインされているが、蛍光灯の照明とはマッチしていない。ロビーもまたしかりで、インテリアのテイストと照明との関係がちぐはくなのだ。 そもそも、このホテルをデザインしたメディアファイブは、ハワイのデザイン会社で、曲線とオフホワイトやアッシュピンクを用いたリゾート色の強いデザインを得意としており、こういった濃い色調のクラシカルなインテリアとは路線が違う。詳しいいきさつは知らないが、少なくともデザイナーとホテルとが意気投合していたとは思えない。暗い雰囲気で気が滅入りそうなエレベータは、階数表示などの真鍮部分が、ルームキーによって傷つけられてしまっている。エレベータを降りると、今度はエレベータホールのスタンドが電球切れ。そちこちにメンテナンスの悪さが目立ち、なんとも哀れである。 客室は廊下のほぼ先端。エレベータホールからとても遠かった。各フロアに2室しかないシャワーブースのないモデレートルームだった。スーペリアが32平米、モデレートは31平米だから、たった1平米しか違わない。ちょうどシャワーブース分くらいしか差がないわけだ。しかし、レイアウトがやや違うので、部屋の印象も微妙に異なっていた。特に入口付近はモデレートの方が広々としているし、室内も心なしか広いような気がする。 その分、バスルームがコンパクトだが、あくまでスーペリアに比べてのことで、一般的に言えば十分に広々としたバスルームだ。アメニティは今なお十分に豊富な品揃え。シャンプーとコンディショナーはモルトンブラウンを備える。客室内の清掃状況については、以前よりも随分とよくなって清潔感があった。この感覚が館内全体に行き渡って欲しい。そして、働くもの全員が、このホテルを愛し、磨いてゆこうという気持ちで溢れるようになってほしい。 |
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[第一ホテル東京] 930626 990704 990804 000716 010103 010819 010929 020331 021027 021110 |
Y.K.