2000.07.16
月食
第一ホテル東京 Deluxe Corner Twin
楽-4

窓際の大きなバスタブ

エレベータを降りてから広い廊下をてくてくと一番奥まで進むと、デラックスルームの入り口がある。ちょうど客室の反対側にサービスエレベータとステーションがあるので従業員の往来は多いが、ゲストが入ってくることの少ない奥の部屋は静かでしかも安全である場合が多い。このデラックスコーナールームは以前から気になってはいたものの利用したのは今回が初めてだった。スーペリアに対して1万円程度の料金差があるが、これほど違いがあるとは実際に内装を見るまで知らなかった。

まず、かわいそうなくらいメンテナンスがお粗末でボロボロのスーペリアルームに比べると、汚れや傷が少なく良い状態が保たれていた。あまり稼働率は高くないのかもしれない。入り口を入るとまずウエットのミニバーが目に入り、ガラスの棚や真鍮のシンクにハロゲン光が反射してきれいだ。ミニバーの右手がバスルーム、左手がベッドルームになっている。入り口に近いほうに大きなソファがあり、反対の壁に面してライティングデスクとアーモアが置かれている。

ソファはやけにやわらかく、座るとお尻が深く沈みこむほど。アーモアはスイッチひとつでテレビが昇降する仕掛けだったようだが、とうの昔に壊れて動かなくなってしまったらしい。隣のライティングデスクは卓上に囲いがあるせいで随分と狭く感じるのだが、そこにランプや電話機が置いてあるので一層窮屈で仕事には向かない。デスク脇の鏡張りのフレンチドアがウォークインクロゼットの扉で、中にはひきだしや金庫も備わっており、これとは別にバスルーム脇にもワードロープがあるので長い滞在でも収納スペースは十分だ。

ベッドは105センチ幅のハリウッドツインで、チェックインしたときにはすでにターンダウンされた状態だった。ベッドカバーもインテリアの一部として計算してデザインされているのだから、カバーのかかった状態で部屋を見ればまた違った印象になったはずだと思うともったいない。ベッド付近には2面の窓があり、特にベッド正面の窓はちいさいながら眺めがいいが、すぐ下を走る高速道路からの騒音を防ぐためなのか、3重窓になっている。壁紙や壁・天井に施されたレリーフ装飾などのほか、効果的で調節自在の照明などにより、とてもゴージャスな雰囲気に仕上がっている。

そして、この客室で一番の魅力はバスルームだ。大理石でできた2段のステップを上がり扉を開ければ、大理石で市松模様をあしらった明るくて広いバスルームがある。243センチの高い天井に10平米近い面積があり、まさにもうひとつの部屋という感じ。シャワーブースも広く取られており、ベイシンはシングルながら幅が2メートルとワイド。アメニティはガラッとチープになってしまったスーペリアに対して、デラックスではスイート仕様のフルラインナップ。窓際に設置されたバスタブも大型で内径が160センチ×70センチある。バスタブ脇の窓は、建物の外から見上げるとよくわかるが、上層階にいくにしたがって幅が広くなるデザインになっている。

この日はちょうど月食にあたり、バスタブに横たわると、ちょうど見上げた視線の先に月が見える絶好のポジションだった。バスルームの照明を暗くして、欠けて次第に色を変えてゆく月を眺めながらゆっくりと疲れを癒すことができた。

ベッド奥から入り口方向を見る アーモア、ライティングデスク、その右側がウォークインクロゼット

ソファ付近から見たバスルーム入り口 3重の窓とちいさなドレッサー

ウエットのミニバー ベイシンとシャワーブース

会席料理「三田」

今日もお気に入りのお弁当を目当てに「三田」を利用した。予約無しで訪れたところ、いささか混みあっている様子だったがすぐに案内してくれた。いきなり来たのでテーブル席だろうと思っていたら、一番奥にある小さな座敷に案内された。そこはちょうど窓に面しており、4人用のテーブルと掘りごたつが仕切りをはさんで2組しつらえてあった。隣にお客がいなかったので、仕切りのない状態で広々と使えた。

いつもながら手の込んだ料亭ならではのお弁当を味わって、そろそろデザートをと思っても奥の座敷にはなかなか目が行き届かないようだ。とはいえ頻繁に覗いては急かせているように感じられるかもしれないと、サービス側にも遠慮があるのだろう。それを解決してくれるのが卓上の呼び出しボタンだった。「ガスト」などに置いてあるピンポンボタンなのだが、声を張り上げなくとも、席を立たずとも、必要なときにサービスを頼めるので、気兼ねがなくていいように思った。

2000.09.17
ウィークエンドプラン
第一ホテル海老名 Twin Room
喜-2

落ち着いた室内

第一ホテル海老名ではバラエティ豊かな宿泊プランを用意しているが、もっとも注目度が高いのがこの「ウィークエンドプラン」だ。2名1室利用で1名7800円なのだが、朝食の他に近くにあるワーナーマイカルシネマの鑑賞券がついてくる。映画鑑賞券は有効期限にゆとりがあるので、滞在時に見れなくてもまたの機会に利用したり誰かに譲ったりもできる。このプランが使えるのは金・土・日祝日で、映画と朝食の料金を差し引いて考えると室料は1万円程度と手頃だ。

もし女性のみで利用するのなら同じ内容で平日でも利用できるプランもある。利用できる客室はツインかダブルとなっているが、ダブルルームはシングルルームとまったく同じなので、より広く造られたツインルームを利用する方がオトクだ。以前は同じ価格でラウンジで使えるウェルカムドリンク券が付いていたが、残念ながらそれは削除されてしまった。

第一ホテル海老名は辺鄙なところにある割には、平日はエリア内にある工場や研究所を訪れる外国人を含んだビジネスマン利用が多く、週末ともなれば結婚披露宴に列席するお客でごった返し、いつもそれなりに賑わっている印象がある。全体的にデザインにはこだわった造りをしており、特にパブリックスペースは幾種類かの大理石をふんだんに使った上に、効果の高い照明を採用して上質な空間を実現している。

エントランスの正面に位置するコロニアルスタイルのロビーラウンジも、オープン当初はなかなかよい雰囲気だったが、席を増やすために無粋な宴会場椅子とテーブルを無理やり導入したり、せっかくのバーコーナーを単なる従業員用のステーションにしてしまったりと、センスの無さが丸見えの状態。客室内もつぎつぎとサービスが削減されて、最近の風潮にピッタリ沿っている。アメニティが簡素になってゆくばかりか、ベッドメイクが簡略化され、いつぞや冷蔵庫がカラになったかと思えば、今度はポットに水を張っておくことすらやめてしまった。しかもその言い訳が「衛生面を考慮して」と大義名分を押し付けているところがどうも感じ悪い。

フロントは若いスタッフが中心で、和気あいあいの雰囲気。たまに1個所にかたまってしゃべっていたり、比較的早い時間なのに全員ウラに引っ込んでフロントが無人状態になったりするが、気さくで頼んだことには積極的に応じてくれる好印象だ。こういうサービススタイルも、変に気取っているより、肩が凝らない感じでいいのかもしれない。実際、値段を考えればまったく文句のない内容だ。

デスクの前にミラーがない シンプルだが広いバスルーム

Y.K.