ヒルトン成田 Princess Suite
Hilton Narita
2009.08.09(日)
千葉県成田市
喜-2

中庭の滝
 
ミントグリーンの制服 成田でのコンサートを終え、いつも通りヒルトン成田にチェックインした。コンサートは昼間だったが、終演後の食事会に付き合ってからの到着だったため、遅い時間になった。今回利用したのは東京エスケープと名付けられた宿泊プラン。夕食、朝食、ヘルスクラブの利用が付いて、スイートの素泊まりよりも格安だったので、迷わず予約してあった。

夕食は済ませてきたので無駄になってしまったが、それでも十分に割安感がある値段設定である。それはそれでラッキーだと思えばいいのだが、これより高い料金で、ずっと窮屈な部屋をあてがわれ、しかも朝食すらつかない客がたくさんいることを考えると、いつもの料金は一体何なのかと不要な疑問すら湧き上がり、この先普通に泊まることがバカらしくなりはしないかと心配になった。

チェックインはスムーズだった。インターコンチネンタル東京ベイで長年世話になり、気心知れたスタッフがひとり今はここにいる。気遣いの行き届く彼の存在があるとないとでは快適さも安心もケタ違いである。チェックイン後、成田に住む友人と会った。夕食チケットは無駄にしてもいいと思っていたが、友人が夕食を済ませていないというので、そのチケット使ってディナーブッフェを食べてもらった。

もうブッフェは片付けモード。健康志向の高さでもお互い張り合う仲だが、そんな友人がブッフェ台から取り分けてきたのは、サラダとチーズだけだった。まともに料金を払っていたらとても損した気分になるだろうが、無駄になる予定だったチケットの活用としては上出来である。ワインをあけ、運転代行を呼んだ友人を正面玄関で見送り、部屋に戻ったのは零時近かった。

エレベータホールから近い場所にあるプリンセススイートは50平米。デラックスルーム2室分の横幅があるが、奥行きが少ないため、かなり横広い印象がある。入口にはコンソールすらない殺風景なホワイエがあり、内扉もなくリビングに通じている。リビングには壁に沿って32インチテレビの載ったデスクユニットがあり、中央にソファセットが置いてある。

ソファの背後にクローゼットと棚が設置されているが、本来ならスイートのリビングに堂々とクローゼットを配することはないので、どうも落ち着かなかった。

ベッドルームとの間に壁はなく、寝室用20インチテレビが載ったコンソールが仕切りの役割も果たしているが、細長いワンルームタイプという印象。ベッドはキングサイズで、窓の方を向けて置かれているが、マットレスの寝心地はデラックスプラスルームの方がはるかに勝っているし、デュベは薄っぺらでビジネスホテル以下だった。窓際にはふたつのアームチェアがテーブルを挟んで置かれている。

バスルームは広い。ダブルベイシンのカーペット敷きベイシン室を挟んで、個室トイレとシャワーブース付きバスがある。ベイシンにはスツールが添えられているが、布地が染みだらけで気持ち悪かった。シャワーブースのガラスは、水質の問題なのか、水垢が重なってまるで曇りガラスのようになっている。

床は大理石で壁はタイル張りだが、あまり立派に見えないのはガラスの不透明さと、一部分に使っている人造石のせいだろう。バスタブに張った湯も、まるで中国の水のように黄ばんでいる。一方、ドアノブには天然石が使われ、とても立派。アメニティはスイート仕様の大型ボトルで揃えられている。

室内は改装が済んでいるのだが、おそらく以前の方がはるかに質感が高かっただろう。改装後のファブリックは柄こそモダンで華やかだが、質が伴わず、郊外の安っぽい結婚式場のような感じ。既存の家具が元来高級品であるだけに、後からのチープな素材が浮き上がっている。照明もリビングのシャンデリアは立派だが、寝室のシーリングは蛍光灯で明るすぎるし品がない。やはりインテリアデザインで見る限り、イシンホテルはただのビジネスホテルチェーンでしかないようだ。

朝食は超満員だった。下げものは追いつかず、スタッフの目もどこかにイッちゃってる感じ。とにかく作業が雑。片付けた皿を投げるように重ねているので、がちゃがちゃと騒々しい音が響いている。この混雑では仕方がないと思いたいところだが、このような厳しいシフトを組んでまで利益を優先する体制には腹が立つ。客に必要最低限のことすら提供できないようなホテルに金を取る資格などない。

そんな環境の中、店の一角だけエレガントな香気が立ち上っていた。そこではミントグリーンの制服をまとった大韓航空のクルーたちが朝食をとっていた。全員美人。そして振舞いは上品である。ああ、CMのイメージは嘘ではなかったと、そう思える瞬間であった。どこまでが演出なのかはわからないが、人が見ているところで、企業のイメージを崩すことがないというのは見事である。

チェックアウトは昼過ぎ。フロントの対応はクールというより冷淡だった。しかもベルガールはもっとよくない。タクシーに乗ると告げても荷物を手伝おうとはせず、ただ先導するだけ。大分のオアシスタワーみたいだ。だが、ここはヒルトン。そんな生ぬるいサービスでは困る。

この日は台風が接近し、成田周辺は豪雨だ。いざタクシー乗り場に着いても、ベルガールは手伝わず、タクシーの運転手に荷物を扱わせた。その運転手の荷の扱いが乱暴だったので、この車には乗りたくないと申し出て、次のタクシーに乗り換えると同時に、ベルガールに対しては、女だからといって給料半分ということはないのだから、すべき仕事はきちんとするようにと苦情を伝えた。

そのやり取りを一部始終見ていた次の運転手は、かなり緊張していたようだが、それもあってか運転も丁寧でよかった。「まったくヒルトンのスタッフは役立たずばかりで困る」と、半ば笑い話のようにして持ちかけたところ、ヒルトンは係によって対応が大きく違うのだという。運転手の間で評判がいいのは、ANAクラウンプラザ。他はどこも似たようなものらしい。ヒルトンは料金的にも成田では最高級なのだから、サービス面でも他を引き離す存在であってもらいたいものだ。

 
リビングのソファに座ると目の前にクローゼット デスクユニット ソファセット

ソファは窓を背にしている ソファからデスクを見る ベッド前のソファ

ベッド前からリビング方向を見る 窓に向いたソファ ベッドから窓方向を見る

窓は二重構造 部屋はかなり横に長い ベッドは真っ白で寂しい

殺風景なホワイエ ダブルベイシン 汚れたスツール

立派なドアノブ ベイシンからバスルームを見る バスタブとシャワーブース

バスルームからベイシンを見る 独立したトイレ 本日のフルーツタルト

立派なエレベータホール ロビー フロント前

 ヒルトン成田(公式サイト)
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