セルリアンタワー東急ホテル Sky View Deluxe Room
Cerulean Tower Tokyu Hotel
2009.01.12(月)
東京都渋谷区
哀-3

ロビーの花が甘い香りを放っている
 
めだかの学校 終わりよければすべてよしという言葉があるが、ホテルステイの場合には、到着時の対応が滞在全体の印象に大きく影響する。舞台も儀式も宴会も、参加する人の集中力が冴えているスタート時にこそ、最も神経を使うものだ。

出だしで波に乗ることができれば、その後のことはよい方向に転がっていくことが多い。逆に、出だしでしくじると、そのダメージを最後まで引きずることになりかねない。

初っ端で大きくつまずいても後から奮起すれば、言葉通り「終わりよければ〜」となるだろうが、それにはかなり振るった努力が必要だ。やはり、ものごとは最初が肝心。「終わりよければ〜」は、出だしで転んだ人への気休めなのかもしれない。

セルリアンでの出だしは感心しなかった。まずは入口に立つドアマンふたり。今年も始まったばかりだというのに、その表情に笑顔はなく、ひどくかったるそうにしていた。まるで放課後に居残り清掃を命じられた悪戯っ子のように、何かが不満で納得がいかないとでも言いたげな顔である。肩を落として力ない姿は、実際は若いのだろうか、随分と高齢に見えた。

静寂がよく似合うロビーは、期待に反して大いに賑やかだった。人が多数いることによる活気というより、何か気の乱れがあるような落ち着かない雰囲気だった。そこに多数構えている若いスタッフたちは、それなりによく目が行き届くようになってきたが、何をやっても洗練が感じられない。ここで心の奥から聞こえてくるのは「めだかの学校」だ。

高級ホテルのサービスは、すべきことをするだけでは不十分である。利休の表現を借りれば、重きを軽く、軽きをば重く、その美意識と丁重さが伴ってこそ、高級ホテルの名が光る。チェックインは手馴れた感じでスムーズだった。

用意された部屋はビューバスが魅力のデラックスルーム。何だかデ・ジャ・ビーだなぁと思って記憶を辿ってみたら、ちょうど1年前の同じ時期にも、同じようなプランで同じような部屋に泊まっていた。そして、同じようにワンフロアだけアップグレードされた。

そうそう、段々と思い出してきた。確か、昨年も清掃状況が悪く、室内の電球切れがあった。今年もまた電球切れがあり、ベッドのピローやクッションがひん曲がってセットされていたり、引き出しに用意されているグラスが手跡だらけだったり、出るわ出るわ、不行き届きのオンパレードではないか。

昨年は電球切れを無視して過ごしたが、今回はデスクのランプなので、点かないと困る。そこで客室係に交換を頼んだ。やってきた係のふてぶてしいこと。「おくつろぎのところ申し訳ございません」とか「大変失礼致しました」とか、詫びの言葉のひとつくらいあって当然だと思うが、まるで直してやっているというような態度だった。部屋を去る際にも、大層特別なサービスを提供したと言わんばかりの得意顔を残して行った。

ああ、ここ最近で比較すれば、グランドハイアットが目指す質と此処のとでは、なんという格差だろう。いくら建物が立派でも、東急インの高級版でしかないようだ。早く端整な仕事を覚えて欲しい。

 
窓側から入口方向を見る ベッドから窓方向を見る ベッド

窓際からバスルーム入口を見る オットマン付アームチェア 冷蔵庫内

ベイシンとトイレ バスタブとシャワーブース バスタブとベイシン

バスルームから居室を見る 六本木方面の眺め 新宿方面の眺め

ホテル敷地内の歩道 月とタワー 正面玄関車寄せ

ロビーのシッティングエリア フロントカウンター前 フロントカウンター脇

 セルリアンタワー東急ホテル(公式サイト)
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