老舗コーヒーショップの味
2007.12.30(日)
ホテルニューグランド Tower Standard Twin Room
Hotel New Grand
喜-2

カモメ飛び交う山下公園 ニューグランドのロビーは多くの人でごった返していた。高い天井からはシャンデリアが下がり、中央には生花が飾ってあるが、ロビー空間そのものはとても狭い。そこに人が溢れているものだから、余計混み合ったように感じられるのだろう。

客は次々とチェックインしている。フロントも手馴れたもので、滞ることなく手続きを進め、後ろに控えているベルがそれぞれの客をきちんと部屋まで案内する。効率がいいのだろうが、それだけでなく運も味方しなければ、こうもスムーズには進まないものだ。

チェックインの際、チェックアウト時間の説明はなかった。通常、ニューグランドのチェックアウトタイムは正午である。だが、自前の高額プラン以外は、基本的に11時アウトとなっている。一休.comで扱っているプランは、すべて11時アウトだ。

今回は一休.comで予約したので、11時には出発しなければならないはずだが、印刷物はすべて正午アウトと記載されている。これでは誤解を招きやすい。それでいて、もし11時になって「ご出発のお時間ですが」と部屋に電話でも掛かって来ようものなら気分が悪い。やはり、先に説明すべきだ。いずれにしても、今回は早い時間に出発する予定なので、何も心配はいらないのだが。

用意された客室はタワーのスタンダードツインルーム。禁煙室かつLANが使える部屋というのは非常に数が少ないのだが、その条件を満たすタイプをアサインしてもらえた。面積は32平米。それほど広くもないのだが、つい数時間前までいたグランドハイアット東京と、居室部分の広さの体感は大差ない。むしろ、窓が大きくて、窓際付近にゆとりがある分、こちらの方が開放的だ。やはり、ホテル客室は窓付近のゆとりをどう演出するかで、イメージが大きく変わってくるということだろう。閉塞感のある部屋というのは高級ホテルでは嫌われるのだ。

このタワーが完成したのは91年。ちょうどフォーシーズンズホテル椿山荘東京が開業した年である。バブル期に計画されたホテルが次々と開業した年代で、内装はホテルのクラス以上に贅沢に出来ているのが特徴だ。ここニューグランドは、横浜のみならず日本を代表するクラシックホテルとして有名だが、タワーが出来るまでは、窮屈な本館しかなかった。本館には深い歴史が刻まれているが、ホテルは博物館ではない。快適な最新設備が不可欠である。タワーが完成したことで、やっと国際水準を満たすだけの体裁が整ったのである。

室内は見た目以上にコストが掛かっている。今なら無駄と一蹴されてしまうような装飾手法が多数用いられており興味深い。角を丸くした壁や天井、複雑で立体的な壁のデザイン、ぶ厚い大理石のベイシントップなど、エレガントな中に重厚感を漂わせる。

ベッドボード上のベロアの壁紙も一部客室では張り替えられてしまったが、この部屋は健在だ。アームチェアにもベロア地を使い、壁紙のストライプやベッドスプレッドのチェック柄も、絶妙なバランス感を生み出している。クローゼットの扉はミラー張りで、照明にはハロゲンのダウンライトを多用。見た目にはとても魅力たっぷりの客室だ。

だが、マイナス面も少なくない。まずはベッドの寝心地。厚さ15センチのマットレスは硬く、スプリングがきしむ音がするし、寝具はむき出しのデュベにシーツ一枚というスタイルだ。空調の調子も悪いようで、どう設定しても室内が灼熱地獄。午前中になると部屋に日が差し込むので一層暑かった。テレビは91年製の21型ブラウン管テレビのままなので、そろそろ大型液晶テレビが欲しいところだ。

バスルームはアウトベイシンで、160×160センチの仕切られた空間にバスタブとトイレを設置してるのだが、その中がひどく下水臭かった。アメニティは一部アイテムが変わり、壁掛け式のドライヤーは取り外され、ハンドドライヤーが備わるようになった。部屋の天井高は260センチあり、窓は床から梁までの全面だ。バルコニーがあるが、それは避難用のため通常出ることは出来ないようになっている。

今回の部屋はマリンタワー側。目の前にはライトアップされたマリンタワーがそびえるが、周辺の生活感漂うものが目に付いてしまう。マンションばかりが建ち並び、観光スポットとしての価値は著しく低下しつつあるのは残念だ。

夕食には「ザ・カフェ」を利用した。ニューグランドではイチオシの店である。中でも洋食メニュー的なクラシック料理がいい。この店が発祥だというシーフードドリアに、ポタージュスープ、デザート、コーヒーの付くセットが3,234円。丁寧な下ごしらえから生まれるホテルクオリティの味わいは、ホテルレストランの王道を感じさせる。ホワイトソースやホイップクリームがなんとも美味。

残念なのは、店内が分煙になっているのに、天井が狭く空気が滞るために、店中がタバコ臭いことだ。この際、全席禁煙にすべきだろう。

本館の一角では、ニューグランドの歴史を語る写真展が開催されていた。貴重な写真資料とともに、様々なエピソードが紹介されており、非常に興味深かった。特に昔の客室内風景や料金表などは、なかなか目にすることができない。現在中庭になっているところがプールだったとか、以前は本館にメゾネットルームがあったとか、新しい発見もたくさんあった。

 
大きな窓が開放的な室内 インテリアはハイセンス 壁のデザインも凝っている

アウトベイシン シンプルなバスルーム内 入口付近

アメニティ 客室階廊下 伝統の味シーフードドリア

本館のロビー クラシカルな空間が広がる 柱もニスが塗られて輝いている

ロビーは狭いが豪華 昔はプールだったという中庭 太陽がちょうどマリンタワー食になった

部屋から見るベイブリッジ 山下公園から見る外観 海上から見る外観

 
ホテルニューグランド 950430 991001 010428 020223 040326 040420 040601 050529 051120 060916


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