ラグジュアリーホテル未満
2007.07.15(日)
コンラッド東京 Executive Garden Classic Room
Conrad Tokyo
哀-3

部屋の番号表示 ロイヤルパーク汐留タワーからコンラッド東京までは、地下道を経由して雨に濡れずに移動することができる。コンラッドに到着したのは、ちょうどお昼の少し前だった。28階のフロントはチェックアウトで混雑していたが、それを横目に37階のエグゼクティブラウンジへ直行。ラウンジはゆったりとした雰囲気が保たれており、チェックインもスムーズに済んだ。まだ午前中なのに、すでに部屋の用意は整っており、すぐにルームキーが渡されたが、ラウンジで雨を見ながらひと時を過ごしてから部屋へと向かった。

いつもと同じ客室は清掃が行き届いており、リクエスト通りの備品も整えられている。だが、何となくこれまでとは印象が違っていた。しみじみと部屋を見ると、染みの残ったカーペット、磨り減り始めたフローリングの床、深い傷がついた家具、熱により塗装が焼けてしまったデスクなど、徐々に劣化が目立つようになってきた。開業2年目であることを考えると、傷み方が早いと言わざるを得ない状態だ。そして、テーブルに用意されたウェルカムアメニティを見て、コンラッドに対する気持ちはすっかり冷めてしまった。

これまで季節のフルーツやマカロンなど、量は少なくても、ちょっと気の利いた品物が用意されていたのに、今回は紙箱に入った質素なチョコレート4粒になってしまった。更に言えば、これまでは連泊中、毎日違う品物を用意してくれていたのに、それも到着日だけになった。

これをどう受け止めるか。第一にコストダウン(つまりケチ化)したという印象。第二に歓迎の意が薄らいだという印象。その果てに、アメニティを簡素にしなければならないほどに経営が苦しいのかという、よからぬ想像が沸いてくる。これでは、せっかくケチってわずかな額を浮かせても、逆効果だ。滅多に顔を見せない支配人らの気持ちは、この4粒のチョコから推し量るしかないわけで、以前よりも歓迎の度合いがダウンしたということであれば、こちらも財布の紐を締め直さなければならない。

コンラッド東京が開業して以来、ここはラグジュアリーホテルだと思っていた。料金設定は今でも最高レベルだし、これからしばらくは下がることもないだろう。だが、リッツ・カールトンやペニンシュラと同レベルで勝負するつもりなら、考えを改めてもらわなければならない。ラグジュアリーホテルとは、「まさかそこまでするか」と驚くレベルでちょうどいいのだ。デスクスタンドに電球型蛍光灯を使うという一点を見るだけでも、ラグジュアリーホテルの枠からは外れている。地デジも見られないし、LANも高額。これではダメだ。

そして、その実力のなさは、朝食のサービスにも露呈していた。「セリーズ」でのイングリッシュブレックファストは豊富な種類のパンや、コールドミートやサラダ、フルーツなどが並ぶブッフェとは別に、メニューからチョイスするメインディッシュが提供される。テーブルに案内され、最初にコーヒーとトマトジュースを運んでくれるよう頼み、そしてエッグベネディクトを注文。その後、サラダをブッフェ台から取り分けてテーブルに戻ったが、最初に運ばれてきたのはエッグベネディクトだった。

最初にコーヒーを飲みたかったので、サラダにも手をつけずに待っているのに、順番を取り違えられては困る。一度エッグベネディクトを下げさせたが、その直後にコーヒーが来て、またその直後に再びエッグベネディクトが運ばれてきた。あまりに直ぐだったので、作り直さずそのまま出したのかと思って尋ねると、最優先で調理したと答えたものの、卵は冷たく、かなり疑わしかった。

いずれにしても、コーヒーとジュースを先に用意するよう頼んで、それに15分も要するようでは話にならない。その他にも、サービススタッフの振る舞いが荒々しかったり、多くがふてくされたような表情をしていることが気になった。客から常に見られているという意識を持ってもらいたいものだ。

食事をしていると、向かいの席に杖をついた年老いた女性が案内されて来た。そこは店内の一番奥に近い席。見れば、一番ブッフェ台に近い手前の席も、テーブルセッティングこそ整っていないが空いている。そこなら、狭いテーブルの合間を縫って、ブッフェ台を往復する必要がない。なぜ、その席を用意してあげられないのだろう。実際、その女性客は、困難そうにブッフェ台を往復しており、気の毒でならなかった。

真のラグジュアリーホテルなら、客に指摘される以前に、自ら洗練を極めたサービスを提供しなければならない。残念ながら今のコンラッドはそこには及ばないが、救いもある。指摘したことには対応を見せてくれるのだ。ウェルカムアメニティの件も、貧弱で気に入らないと言うと、次回からはこれまで同様に準備するとのことだった。朝食時のサービスについても、翌日からは同じ店とは思えないぼど打って変わって快適になった。やればできるのだ。ならば、躊躇せず思い切りやればいい。ラグジュアリーホテルには、微塵の妥協も見たくはない。

 

夕方の室内 ベッド ショボくなったウェルカムアメニティ

台風が去った後の夜景 ベッドからの眺め バスルーム越しに室内を見る

バスルームのブラインドをおろしたところ バスルームの床は鏡面のように反射する バスタブ

アメニティ 客室階廊下 ホテルの前の道

オードブル メインディッシュ デザート

 
コンラッド東京 050710 050724 050904 051128 051213 060212 060501 070104


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