ということで、チェックインをしたら、真っ先に屋外プールへ向かった。新潟からの電車移動の疲れなどなんのその。曇り空だろうと、多少風が冷たかろうと気にしない。今日を逃したら、またいつ入れるかわからないのだから。

大きなプールを取り囲むように設置されたデッキチェアは、ほとんどが空いている。やっぱり寒いからか、それともまだオープンが知れ渡っていないのか、プールに来てる客はほんの数名だった。だが、この少なさが、考えようによってはインド洋にでも浮かぶ隠れ家リゾートを独占しているような感じでもあり、まんざら悪い気はしない。周囲を見ると、パラソルの下でシャンパンを傾ける夫婦や、思い切りはしゃいでいる子供たちなど、皆思い思いに過ごしている。早速水に入ってみたが、やっぱり冷たい。これはマジで泳がなければ、カラダが冷え切ってしまうと思い、ホテルプールとしては最大の50メートルラインを、ひたすら往復した。

夕食には「アチェンド」を予約してあった。ブッフェオンリーの「フォレストガーデン」と同じく「スクエア」内にある店だが、こちらはイタリアンを中心にフルサービスを提供するレストランだ。できるだけ静かな環境をリクエストしたので、奥の方の席が用意されたまではよかったが、その後のサービスも料理もまったく好みに合わなかった。

テーブルを担当した若い男性は、とにかく軽い。軽すぎる。まるでチェーンの居酒屋かパチンコ屋だ。一皿数百円の料理を出すような巷の店ならそれもいいだろう。だが、ここは特殊なロケーションとは言え、インターナショナルホテルのダイニングなのだ。客が来る度に「いらっしゃませぇ〜！こんばんはぁ〜！」と叫び声を上げるのも騒々しい。空いた皿を下げる際に、いちいち確認するのもやめてほしいし、この料理はまずかったと露骨に意思表示しているのに、「お味、どうでした？」なんて馴れ馴れしく聞かないでほしい。そのくせ、ちょっと味がよかった料理をほめても、喜びもしない。

まず出て来たのは「そら豆のスープ」。クズみたいな車えびと湿気たガーリックトーストが添えられていた。次の「シーフードのアラビアータスパゲッティ」は、麺の茹で具合やソースの味もなかなか。メインディッシュの「和牛サーロインステーキ」はキッズメニューかと思うような小ささの肉に、にんにくのローストやハラペーニョ、キノコのソテーが添えられていた。

デザートには、絵画で使うパレットを模した皿に、なにやらドロッとしたクリームが乱雑に盛られ、適当にソースを振りかけたものが出て来た。それはまるで、真夏の炎天下で放置したチョコレートパフェのように見えた。スプーンで一口すくって食べてみたが、ぬるくて、ただ甘ったるいだけで、口に合わない。甘いものも結構いける口だし、アメリカのアイスクリームだって平気だけど、これはダメ。

で、そもそもこれは何？ってことで尋ねてみると、「クレームブリュレです」とのこと。「ブリュレ」とは「焦がし」の意味だ。焼いていないクリームをブリュレだなんて、焼いていないパンをトーストというのと同じではないか。都心なら、口直しに寿司でもつまみに行くところだが、このホテルではそうもいかない。仕方なく、部屋でフレッシュフルーツを食べて、気分を変えることにした。

翌朝は、8時のオープンと同時に屋外プールに繰り出した。太陽も顔を出し、夏のムードになってきた。少しは人が多くなるかと思ったが、午前中一杯いてもガラガラのままだった。そして、昼前になると段々曇ってきて、また寒くなってしまった。プールの底を見ると、蜘蛛やゲジゲジの死骸がたくさん沈んでるし、葉っぱや鳥のフンも多い。いくら客が少ないと言っても、手入れはきちんとしてほしい。また、オムツが取れていない乳児を水に入れている光景を目にしたが、それは遠慮してもらいたいものだ。

昼食は「フォレストガーデン」でインドフェアのブッフェを。タンドリーチキンやサモサ、インドカレーなど、本格的な味の料理が並ぶ。さわやかな酸味とスパイシーな風味のトマトスープが印象的だった。デザートも普段の品物に加えて、独特のスパイスを効かせたエキゾチックな6品が並び、興味深かった。サービスも楽しい雰囲気で親切。いつもこうであればいいのだけれど。