タクシーで車寄せに到着するとドアマンが出迎え、エントランスから2階ロビーまではロビーアテンダントが、そこからベルに引き継がれてチェックインをし、その間にまたベルが交代するという目まぐるしい連携プレイで、わずか数分の間に4人の選手交代があった。4人目の係に案内された客室は15階のプレミアツインルーム。31平米のライトな色調の客室は、やや細長い構造をしており、縦長の窓がその形状を一層強調している。天井高は250センチで、少々圧迫感がある。

室内の家具は東京の都ホテルのものと極めてよく似ているが、色が明るい分、こちらの方が存在感も軽やかだ。壁の額、カーペット、バスルームの壁紙、イサムノグチの行灯風ライトなど、まったく同じものも数多く見られる。アーモアには21インチのブラウン管テレビをはじめ、ミニバー冷蔵庫や湯沸しポット、引き出しなどが集約されている。アーモアの扉を閉めれば、余計なものが見えずにスッキリするという点ではいいが、やはりこの部屋に置くにはいささか大きすぎる感は否めない。LANは完備しているが、テレビプログラムは退屈で、ムービープラスでさえ有料だ。

アーモアと窓の間には、楕円形のデスクがあり、違ったイスがふたつ添えられている。この部分だけを切り取ったら、東京か大阪か見分けがつきにくいほどよく似ている。窓は若干の出窓になっているが、両サイドの部分をカーテンが覆い隠しているのが残念。窓は少しでも大きい方が嬉しい。窓の前にはくつろぎのスペースとして、1人掛けのソファが置かれている。ベッドはシェラトンになった際にスイート・スリーパーベッドに新調された。120センチ幅で高さは55センチ。寝心地は快適だ。間接照明を埋め込んだベッドボードもアクセントになっている。家具類は大型サイズだが、クローゼットは片開き扉の小さなスペースしかない。

バスルームは約4平米の面積があるが、シャワーブースは設けていない。ドアのすぐ脇が便器というレイアウトは珍しく、この部屋で一番個性を感じる空間だ。バスタブとベイシンの上にはハロゲンのダウンライト、そこに蛍光灯も加わって、かなり明るいバスルーム。アメニティはシェラトン共通のものを豊富に揃えてあり、それに入浴剤も加わる。タオルは3サイズあるがややくたびれ気味。バスローブはなかった。

現在16階は改装中だが、18階エグゼクティブフロアは改装が済んでいる。エレベータホールを降りるとラウンジがあり、エグゼクティブフロア滞在客とSPGプラチナメンバーは、11時から19時半までの間、セルフサービスで飲み物とちょっとした菓子を楽しめる。17時からはアルコールのサービスも加わるが、あまり腰を据えてくつろぐ雰囲気ではないように感じた。60平米程度の狭いラウンジながら係が常駐しており、なんとなく互いに意識してしまうのだ。手持ち無沙汰ならば、積極的にサービスをしてくれた方が、気詰まり感は薄れると思うのだが。

このホテルで一番魅力的なのは、なんといってもヘルスクラブだ。全国的に見てもトップクラスの充実した設備が整っており、活気があり、インストラクターの礼儀正しさや指導の仕方も模範的である。ゴージャス感やスタイリッシュさはないが、これほど健康的な気分になれるホテル内ヘルスクラブは他にない。プールは25メートルで6コースあり、ジムでは常に数人のインストラクターが丁寧にアドバイスをしてくれる。ロッカールームも広々しているし、何といっても清潔なのがありがたい。

この日は夕食をとり損ねたので、22時近くなってからレストラン＆ラウンジ「eu」に入った。一応オールデイダイニングの役割を持った店なのに、21時からのナイトメニューは極めて貧弱で、ピラフ、カレー、サンドイッチしかないのだ。仕方なくピラフを頼んだが、すでに翌朝のためのセッティングに気を取られた従業員たちに囲まれて、ひとり寂しくピラフを頬張るのは、あまり心地よくなかった。

翌朝も、同じ「eu」で和洋ブッフェの朝食を。2,310円だが、内容は貧弱に感じられた。なんでもこの次の日からリニューアルされて充実するのだとか。ハズレの日に来てしまったらしい。残念。