公演のため延べ3泊を都ホテル大阪で過ごした。本来は5泊の予定だったが、途中1日は東京に戻らなくてはならないスケジュールになったので、大阪に3泊、東京に1泊、再度大阪に1泊というブッキングをした。公演で利用する際は、ホテルのクラスも客室のクラスも様々だ。多くの場合、クライアントが用意するのだが、予算内で自分で予約することもある。その方が、追加料金を払って好みのグレードのホテルや客室を選べるので好都合だが、共演者が多くいる場合、自分だけいい部屋に泊まるわけにもいかず、与えられた条件に合わせて我慢することも少なくない。
今回も与えられた条件の部屋をそのまま利用した。都ホテル大阪のエコノミーシングルルームは、各フロアに3室づつあって、それぞれにレイアウトなどが微妙に異なっているが、スタンダードシングルよりも条件の悪い部分を必ず持っている。アサインされたのは、村野藤吾のデザインテイストが残っている16階の部屋。客室係用バックエリアのすぐ隣に位置する、フロアで最も狭い18平米のタイプだった。入口付近の壁が室内側に迫り出しており、バスルームも廊下より奥まっているので、居室スペースがかなり圧縮された印象の部屋だ。
ベッドは120センチ幅で、壁に寄り添っているが、羽毛の寝具は軽やかだった。室内の廊下部分が狭いので、本来廊下に面してあるべきクローゼットは、ベッドの前あたりに位置している。ベッドと窓の間にはアームチェアとテーブルがあり、デスクユニットは、柱に挟まれてきっちりと収まっている。テレビはフラット画面のブラウン管で、こうした狭い部屋にこそ、液晶テレビが欲しいところ。リクライニングする回転デスクチェアは便利だし、冷蔵庫に用意された無料のミネラルウォーターも気が利いている。
窓はわずかに開けることができるが、眺めはそれほど面白いものではない。むしろ、西日が直接入ってくるので、カーテンを閉じていたとしても、狭い室内はたちまち温度が上昇してしまうことに困惑した。涼しくしようにも、すでにこの季節は空調が暖房モードだ。また、客室係はみなゴテゴテの大阪のオバちゃん。おとなしく黙って仕事をするわけがない。オバちゃん同士のおしゃべりも、かなりのものだった。
バスルームは居室の狭さを考えると、広々と感じられる。アメニティはリンスインシャンプーなど、あまりパッとしない品揃え。タオルは3サイズ揃っていた。いずれにしても、この部屋で長時間を過ごすのは、かなりしんどい。
部屋が窮屈なので、息抜きや食事にと、レストラン「eu」を何度となく利用した。ランチには、3種の料理を盛り合わせたプレートにスープとコーヒーが付く手頃なセットがあって、多くの客で賑わう。だが、公演が終わって戻った時間には、すでにナイトメニューになっていて、品揃えが限られてしまい寂しい。ランチとは対照的にガラガラなのも、このメニューでは仕方がないだろう。料理はそれなりの値段だが、ワインはちょっと値が張る。
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