増改築を繰り返した本館と、その本館から一本の路地を隔てた別館とを合わせると、382の客室を持っている他、6店舗のレストラン・バー、7箇所の宴会場を備える。特にフランス料理「タテル ヨシノ」は都内でも最高レベルの料理が味わえるホテル内レストランの隠れた名店であり、また、バー「フィフティーン」で金曜の夜に行なわれるジャズライブも演奏の質が高くファンが多い。

本館と別館のロビーにはそれぞれに違った趣きがあり、本館の落ち着いたリビング風の雰囲気、別館の噴水を配したパーク風の雰囲気と、ひとつのホテルでふたつのテイストを感じられるのも面白い。両方のロビーにそれぞれ異なった設備のビジネスコーナーを設置してあるのも、このホテルの利用客層を反映している。チェックイン・チェックアウトが両方とも正午に設定されているというのも、今では珍しい。

だが、このホテルのネックは、標準客室がとても狭いこと。ビジネスホテルでもゆとりが重視される時代、シティホテルはその上を行っていなければならないが、かといって面積の問題は簡単に解決できないため、それに代わる魅力を提案する以外ないだろう。ひとつは料金。その点、芝パークホテルは健闘していると思う。

今回利用した客室は、別館最上階のスーペリアルーム。6年前にも同じタイプを利用したことがあるが、客室内の様子は当時とほとんど変わっていない。エレベータホールや廊下が、他のフロアよりワンランク立派に造られており、目立った劣化も感じなかった。この階は、全8室。エレベータ裏のスイート1室を除いて、7室のスーペリアルームが廊下の片側に配置されている。

やや横広いカタチをした約40平米の客室は、リビングとベッドスペースのあるジュニアスイートタイプ。リビングにはソファベッドとアームチェア、ドレッサーを兼ねたデスクが置かれている。デスクにはLANの口が備わっているので、早速PCを接続してみたが、インターネットに繋がらない。

ケーブルの問題なのか、設定が間違っているか、考えられる対策をしてみたがお手上げだった。フロントに助けを求めると、「現在工事をしているところで、まだ使えない」とのこと。全館LAN完備と宣伝しているのにそりゃないだろうと思ったけれど、工事中では仕方がない。1階にあるインターネットコーナーで使うようにとのアドバイスもあったが、それも面倒だったので諦めることにした。

ベッドは110×190センチサイズが2台並ぶ。高さは52センチあるが、ベッドリネンの感触は今ひとつだった。ワイドな窓はリビングの方だけに設けられていて、ベッドルームの方は完全に壁になっている。せっかくならば、窓をベッドルームの方にも設ければ、もっと明るくて開放的な部屋になっただろう。窓はハーフミラーのようになっているが、清掃時にガラスクリーナーを使うせいか、夜になると油膜が反射して汚らしく見えるのが気になった。

天井はアーチ状で、最高部は310センチ。蛍光灯の間接照明を埋め込んでいる。ベッドスペース前には円柱と装飾カーテンを設け、アラビアンナイトのような雰囲気。バスルームはアウトベイシンで、ベイシン部分までがカーペット敷きだ。約4平米のバスルーム内は大理石とタイルで仕上げられており、茶色の大型バスタブを設置している。以前はバスローブがあったと記憶しているが、それはなくなった。

チェックアウト後、次の予定まで少し時間があったので、コーヒーショップ「プリムラ」で食事をすることにした。休日用のランチメニューは、平日用よりも若干高い。選べるライトミールに、スープ、サラダ、コーヒーが付いて2,079円。肉料理か魚料理、あるいはステーキ丼のセットは2,541円。料理もサービスも並である。これならちょっと奮発して「タテルヨシノ」に行く方が満足できるかもしれない。