パークホテル東京の同店でも見事な料理に感嘆したが、芝の店の方がよりグランメゾン的で、スケール感の中に深い落ち着きがある。2日連続で訪れたが、とりわけ初日には五感を震わす価値ある時間を過ごすことができた。
昼のコースは3,500円、5,000円、6,500円の3種類。31日には3,500円のコースは用意されなかった。2日間とも6,500円のコースを注文したが、料理はチョイスが可能で、メートルドテルがその日のスペシャリテなども勧めてくれるので、イメージを膨らませながらコースを仕立てられる。汐留のシェフは福岡出身で、芝のシェフは北海道出身とのこと。それぞれに得意とする素材にも違いがあり、個性が出るようだ。
料理はいずれも素晴らしいが、特に喜界島のこやぎのカルパッチョ、栗のポタージュが印象的だった。盛り付けはシンプルだが、素材の存在感をダイレクトに伝えるもの。デセールは手が込んで美しい。
サービスは役割分担がきちんとできた正統派。スタッフの数も十分で、行き届いている。初日には実に快適で心地よいサービスだったが、翌日は若干違っていた。サービスの内容に不行き届きがあったわけではないが、スタッフが違うため、前日に見事だった緊張感とやわらかさの調和がまったく見られなかった。この日に訪れたゲストは、不幸かもしれない。しかし、店はガラガラだった。
更に、この店では朝食も提供している。しかし、パンはタテルヨシノで焼いているが、そのほかはスタッフもホテルがやっているそうだ。アルバイトらしき女性スタッフは、フローリングをカツカツと音を立てて歩くし、私語が多く落ち着かない。同じ空間で、素晴らしい調和があったり、たるんだ醜い振る舞いがあったりと、まるでコンサートホールのよう。
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