コンサートで会いましょう喜怒哀楽トップページへ2004200320022001200019991998199719961995199419931992ホテル別インデックスレストラン別インデックス

2004.12.02.(木)

丸ノ内ホテル Comfort Single
Marunouchi Hotel Tokyo
哀-4 世界の中心で湯が出ない
客室窓から東京駅を望む
午前中の約束が早く片付いたこともあって、ホテルに到着したのは予定より1時間早い午後1時頃だった。とりあえずフロントに向かったが、予約が見つからずに長いこと待たされた。ようやく予約は見つかったが、部屋の用意はまだできていないという。チェックインタイムは午後2時なので、それは仕方のないことだ。「あとどのくらいで用意できますか?」と尋ねると、「お調べいたしますので、お掛けになってお待ちください」と、係は中庭を望むソファの方を指し示した。緑が美しい庭を眺めて待つこと10分。係がやってきて、シングルはまだ用意ができないが、ツインならすぐ案内できると説明した。

シングルをツインに。ホテルが親切で言ってくれていることは理解できる。だが、スタンダードツインは裏側に面していて眺めがよくない。前回もタタミコーナー付きルームで眺めに恵まれず残念だったから、今回は東京駅の眺めを楽しみたかった。眺めを重視しているのでシングルの用意ができるまで待ちたいと言うと、係は今一度調べに戻った後、10分以内に用意すると返答した。ロビーには、過去に長い話をしたことのあるマネージャーが立っていたが、こちらのことはすっかり忘れている様子。少々寂しいやら情けないやら。

それから10分後には予約通りのコンフォートフロアにあるシングルルームに案内された。コンフォートフロアは16階、17階の客室で、レギュラーフロアよりもグレードアップした客室アメニティを用意し、丸ノ内メンバーズクラブラウンジが利用できる特典がある。寝具を心地よいデュベスタイルに仕上げ、バスローブとウォッシュクロスが加わるが、バスアメニティそのものは変わりない。湯のみが高級になり、冷蔵庫の中身がシャンパン中心(有料)となり、ランドリー袋が布製になるというのが実質的な差。室内のインテリアはまったく同等だ。

シングルルームは約25平米の面積があり、一人利用には十分な広さがある。半分がアーチ状になった天井には間接照明が埋め込まれ、大きな窓はわずかながら三角形に張り出しているなど、凝った意匠が雰囲気を一層よくしている。140センチ幅のベッドはコーナーに置かれているが、ヘッド部分とサイドを木目で覆い、寝心地のよい環境を整えた。オットマン付きのソファに腰掛ければ、東京駅周辺の景観を独り占めでき、自分だけのリラックスタイムを過ごせる。

まずはさっぱりしたいと思い、バスタブに湯を張ってゆっくり浸かることにした。バスルームは広くはないが、バスタブの形が体を包むようにデザインされていて快適だ。シャワーカーテンも二重で、クラスを感じさせる。温まったところでシャワーをと思い、カランをひねって湯温を調節。適温になったらシャワーに切り替える。ところがシャワーに切り替えたとたんに、適温だった湯が冷水になってしまった。湯のカランを更にひねっても、水を止めてもう一度やり直しても、結局冷水のまま。しばらく出し続けていると温かくなってくるが、安定しないので客室係とエンジニアを呼んだ。

エンジニアたちが、どのように現場検証するのか興味があったので、彼らの作業を黙って見ていることにした。エンジニアは靴のままバスルームに入ると、湯のカランだけをひねってシャワーに切り替えた。しばらく湯を出し続けてから、「正常ですね。」と言い、早々に調査を締めくくった。そんな簡単に見ただけでもう結論が出たのかと問いかけると、構造上3分は待ってもらわないと湯が出ないのだと言う。湯が出るまで3分待たなくてはならない状態が、フツウだなどというホテルは聞いたことがない。

そもそも、客がシャワーを浴びる時、湯だけを出す人などまずいない。一緒に来た客室係の青年に、自分がシャワーを浴びるとしたら、どのような手順で湯をだすのか、それを再現して試してみて欲しいと頼んだ。すると、先ほどと同じように冷水になってしまうことが、やっと彼らにも理解された。客の視点で物事を考えずに、このような無責任な調査で済ませ、これまでも客の意見を退けてきたのではないかと指摘すると、客室係は「実はこれまでにも17階はシャワーが弱いとかぬるいといった苦情をたくさんいただいておりました。」と認めた。

結局ルームチェンジをすることになった。案内されたのはレギュラーフロアの同タイプの客室。コンフォートフロアで予約しているのにどうしてかと尋ねると、「料金の差額は訂正させていただきます」との返事。こちらの意向を確かめもせずにグレードの低い客室を用意して、料金差に関しては聞かれて初めて説明するとはお粗末だ。担当した若い係の姿勢や努力は評価できるものだったが、ケーススタディができていない。マネージャーを呼ぶように伝えたが、現れたのは30分後だった。

乱暴にチャイムを鳴らし、タバコの臭いをプンプンさせてやってきたマネージャーは、10月に苦情を言った人とは別の人だったが、ボケッとした感じや、マナーの悪さは同レベルだった。こちらの話は静かに聞いているが、それがどれほど頭に残っているのかは疑問。せっかく立派な設備をこしらえても、マネージャーがこの調子では、このホテルは育たない。出発時はフロントの女性から丁寧な侘びがあり、東京駅改札まで見送ってくれた。

東京駅を望むシングルルームは、このホテルで最も快適で価値のある客室だ。若いスタッフの仕事ぶりも先が楽しみ。だが、たかだか17階の高さなのに、東京駅前、世界の中心で湯すら出ないとはまったく情けない。

凝った意匠が見られるシングルルーム ベッドは木目に囲まれている

デスクとテレビ 冷蔵庫

バスルーム ベイシンの下

[丸ノ内ホテル] 041016 041129

Y.K.