2003年7月27日 |
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セルリアンタワー東急ホテル Sky View Standard Room | |
楽-3 熟成中 | |
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2003年になって初めて、セルリアンタワー東急ホテルに滞在した。渋谷ではリハーサルやミーティングがよく行われるので、その前後にこのホテルのレストランやラウンジを利用する機会は少なくない。開業以来、つっけんどんなサービス姿勢にうんざりさせられ続けてきたが、立地条件がいいので、ついつい立ち寄ってしまう。
しかし、今年になってそのサービススタイルにも徐々に変化が見られ始めた。かつてのぶっきらぼうで感じの悪い態度よりも、ゲストには感じよく接しようという意欲が前に出てくるようになった。ラウンジの席が埋まっていても、以前なら待つのは当たり前という態度で、謙虚さなどまったく見られず、そのくせ注文は取りに来ない、何か頼もうにも誰も気付かないなど、散々だった。それが「お待たせいたしました」という言葉を覚え、やっと使えるようになってきただけでもたいした進歩というものだ。 その向上心は宿泊のセクションにも多大に見受けられた。以前のフロントは人間と見紛うほどによくできたロボットが立っているかのようだったが、すっかり人間らしい対応ができるようになった。ポーターと呼ばれるいわゆるベルアテンダントたちは、以前から快活でフレッシュな感じだったが、より生き生きとしたように見受けられる。同じ渋谷に建つ同系列のエクセルホテル東急よりも格段にグレード感があり、すべての点でより成熟した印象だ。また、当然意識しているであろうグランドハイアットよりも、宿泊サービス的には安定している。総じて「頑張っているな」と感心することが多かった。 客室はシングルルームを予約したが、ツインルームにアップグレードされた。フロントでは「少し広めのお部屋をご用意させていただきました」とさりげなく言葉を添えてくれたので、にっこりと礼を述べてポーターとともに部屋へ向かった。客室は西側を向いた37平米のスタンダードルーム。こちら側は窓が一重なので、クリアな夜景が楽しめる。その反面、窓際に近づくと道路の騒音が結構気になった。 いつもながらシンプルさを極めた客室には、失意の果てに引越して来たばかりの部屋のような空虚さを感じる。このシンプルさは、決して嫌いではないが、ファニチャーやファブリックのクオリティの低さが、寂しさを強調している。また、サービスにいささか温かみが出てきただけに、そのコントラストを一層強く感じるのかもしれない。しかし、室内の清掃状況は良好だった。石張りの広くて快適なバスルームもいい。バスローブやフェイスタオルを標準で置くようになったり、カゴを用意するなど、新たな工夫を見られる。 このカゴだが、宿泊客はどんな目的で使用しているのだろうかと、ふと疑問に思った。脱衣用として、入浴時などに自分の着衣をまとめておくものだろうか。はたまた、使用済みのタオルを片付けるためだろうか。ホテルとしてはお好みでどうぞといったところだろうが、前のゲストが湿った使用済みタオルを片付けていたカゴに、自分の着衣を入れる気にはなれない。かといって使用済みタオル入れとして使うと、カゴにカビが生えたりしないだろうかと心配になる。というわけで、結局使わず仕舞いになってしまった。 ルームサービスメニューも一新された。品数がかなり増えて、「陳」や「草」からの料理も注文できるようになった。写真はなく値段は高いが、選択肢が増えるのは歓迎だ。 開業以来、全体的に乾いた印象のセルリアンタワー東急ホテルであったが、ここに来て、サービスにも室内の雰囲気にも適度な湿度を感じるようになった。これは総支配人の交代によるところが大きいが、このままの向上心を保って、熟成を続けていって欲しい。 |
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[セルリアンタワー東急ホテル] 010429 010517 010523 010720 010912 010921 020103 020305 020328 |
Y.K.