今年初めてチェックインしたホテルでは、とても感じのよい出迎えを受け、幸先のよいスタートを切ることができた。
このホテルに来る前には東京ヒルトンにいたというドアマンは、溌剌としたサービスで、訪れる人々の気分を明るく盛り上げてくれる。フロントに向かえば、キャピトル東急から顔なじみのベテランが、スムーズに手続きしてくれ、滞ることなく客室へ向かうことができた。チェックインがいかにスムーズに行なわれ、荷物がいかにスピーディかつ丁寧な扱いで届けられるかは、そのホテルで過ごす時間の質に大きな影響を及ぼす。チェックインでまごついたり、手違いがあると、後々まで苦い気分を引きずるものだ。その点、今回は満足だった。
エレベータに乗って、客室階に着くまでに、気になったことがある。それはハロゲン光のスポット照明が狙う場所に埃が付いており、まるで汚れを照らし出しているようになってしまっていること。確かに手の届きにくい高い位置ではあるが、毎日の清掃の際に、化学モップで軽く拭う作業を加えれば、簡単に解決できるはず。
そしてもうひとつ。足元に近い壁の部分は、木板が張られているのだが、それがもうめくれ上がってしまっていること。全体にコストを抑えた内装にしているため、容易に損壊しやすいのも理由のひとつかもしれないが、むしろ、ワゴンの扱いの粗雑さとメンテナンスの不行届きに原因があるような気がした。
エントランスやロビーは然ることながら、エレベータもまたホテルの顔として、重要な場所である。短い時間だとはいえ、ゲストはそこでしばらくじっと立ち止まり、周囲に視線を廻らせるには十分な時間を過ごす。ホテルのクラスに恥じない内装と手入れを貫いてもらいたいものだ。
客室は期待通りだった。清掃は十分に行き届き、空調の状態も到着時から心地よかった。最初に客室に入った時には、まだ窓が結露して濡れていたところを見ると、まだ清掃が済んで間もなかったようだ。
この日は冬晴れの夜空が素晴らしく、見事な夜景を楽しむことができた。特に明け方の眺めは印象的で、空の色が刻々と変化して日が昇るまでの間、思わずうっとりと見入ってしまったほどだった。せっかくだし小腹が空いたので、ルームサービスでもと思い、メニューを見るが、この時間帯は特にさみしい品揃えだ。比べるのもなんだが、パークハイアットやフォーシーズンズのメニューを思い浮かべると急に哀しくなった。
総合的に見て、若いスタッフたちがよく頑張っており、熱意が伝わり好感を持てるが、サービスも設備もどうにも薄味で、質感や本質に欠けている。それらが熟して実際にゲストの要求を満たすようになるには、まだしばらく時間が必要だろう。
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