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2002年6月7日

セルリアンタワー東急ホテル 「クーカーニョ」
哀-4 ドレスコード
店先ではマネージャーの出迎えを受けたが、彼は連れの身なりを見るなり、これは困ったと言わんばかりに慌てて入店する行く手をさえぎった。そして安物のジャケットを取り出し、それを着用しなくてもよいから持って歩くように言われた。

連れは同じミュージシャン仲間で、普段から奇抜な服装で驚かせてくれるユニークなセンスの持ち主であり、この日もこういった食事の場にしてはやや軽快な服装だったのは事実だが、決してだらしないというものではなく、ファッションとして説得力のある着こなしであったと思う。

しかし、店がジャケットを要求するのなら仕方ない。店の格式と威厳を守るためなら、それこそコーディネートを台無しにするジャケットでも、拝借して着用するのが礼儀というもの。

ところが、店のスタッフはコックコートでサービスに当たっている。ジャケットを着用しているのはマネージャー以下ほんのわずかな人数だけだ。コックコートでサービスするのはアイデアとして結構なことだが、その身なりでゲストにジャケットを要求するのは筋違いだと思う。そもそもこの店にそのような格式など、微塵も感じられはしないだけに、店の思い込みによる尊大なリクエストに感じた。

インテリアといい、渋谷という場所柄といい、従来の堅苦しい枠にとらわれない、新しいスタイルの店というイメージが似合うのだから、思い思いのファッションで楽しめる都会的な空間を目指したほうがいいように思うのだが。

コースはプリフィクススタイルの他、シェフのおすすめ料理で構成されたものがある。この日はアラカルトにある仔羊の岩塩包み焼きが食べてみたかったので、メインディッシュを魚料理一品だけにするコースを選び、仔羊を追加する形でオーダーした。料理は基本的な技術に裏打ちされたよいものが提供されるが、その中継役を担う盛り付けやサービスがよろしくない。スープなど、人をバカにしているのかと思うほど少量で、スーパーの試食品レベル。

仔羊のゲリトンサービスにいたっては、せっかく見栄えよく仕上げた料理を、毒見でもするかのような素人くさいさばき方で、見るも無残な状態にして提供する。そんなことなら、初めから皿に盛り付けて出してくれた方が、よほど気が利いているというもの。デザートは各人違うものが出されるのは面白い趣向だが、自分の皿には好みでないものばかりが載っていると、逆効果としか言いようがない。コーラのソルベなど、まるで駄菓子屋の味だった。

ここは店の中にトイレを持っているが、そこに飾られたバカラのベースは、ひどく埃まみれに汚れていた。総じてサービスには洗練が見られず、単なる動作の域を出ていないのが甚だ残念。値段も手ごろだし、何といっても眺めが素晴らしく、環境は抜群なだけにもったいない。奮起してほしい。

[セルリアンタワー東急ホテル] 010429 010517 010523 010720 010912 010921 020103 020305 020328

Y.K.