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シーサイドホテル

丸亀は、うちわと美術館で知られる瀬戸内に面した城下町。丸亀港から北へ飛び出た巨大な突堤のような場所には丸亀ボートレース場があり、オークラホテル丸亀はその目の前に建っている。ボートレース場以外、周囲にこれといった施設はなく、レース開催日でなければひっそりと静かな環境だ。

正面玄関から建物に入ると、明るく広いロビーがある。中央には桜をメインとしたフラワーアレンジメントが飾られ、大きなドーナッツ状のベンチシートや、ブライダルをアピールするウェディングドレス姿のマネキンなどが置かれているが、午後11時近いロビーに人影はない。

正面奥にはレストラン、その傍らにはソファーをたくさん並べたシッティングエリアがあり、丸亀の名産品を展示したコーナーもある。

フロントカウンターはロビーの脇、わかりやすい位置に設けられている。係は夜モードなのか、テンションが低かったが、律儀。レジストレーションカードに記入している間に、熱いおしぼりが用意された。部屋への案内はない。

エレベータは3基。客室は3階から11階までにあり、12階は高層階宴会場とバーがある。3階には客室のほか、和風宴会場と大浴場があり、客室フロアというよりもパブリックスペースに近い雰囲気。また、低層階の一部客室は、眺めが遮られることを理由に、格安で販売されていることが多い。

客室のうち、10階と11階は改装が済んでいるが、客室階廊下は全フロアとも昔のままのデザインを残している。

今回利用したのは10階にあるリニューアルツインルーム。広さはスタンダードツインと同じ約30平米で、オーソドックスなレイアウトをしている。ファブリックだけでなく、家具もすべて一新しているが、20年以上経つ建物という感じは変わらない。

家具は子ども用学習机のように極めてシンプルだが、スタイリッシュではなく退屈で、実際のクオリティよりも安普請に見えるほどだ。新しいからいいものの、これで傷みが目立ち始めたら、みすぼらしくなってしまうだろう。

デスクはカウンタースタイル。イスは真四角なスツールだけで、落ち着いてデスクワークに臨める環境ではない。デスク前には円形のミラーがあり、デスクライトが載っている。テレビは20インチの液晶と、これまたもの足りない。

デスク脇のバゲージ台は大きくて便利だった。引き出しも4段分設けられており、収納にも困らない。一方、デスクには引き出しがない。

窓際の椅子は変わったデザインだが、結局、座りにくいだけ。ふたつを別々に置くよりも、ぴったり並べてラブソファ風にした方が使いやすい。このように、置き方でスタイルをアレンジできるという意味では面白いのかもしれない。傍らには空気清浄機を備えている。

ベッドにはカバーと一体化した寝具を使っている。マットレスはサータ製でなかなか快適だ。中央のナイトテーブルは簡単に移動できるので、都合によってはハリウッドツインにアレンジすることも可能。両サイドに離れて設置されたナイトランプはオン・オフのみで調光はできない。

居室内の照明は、デスクとベッドのライトを除けば、あとは天井のダウンライトのみ。いずれも電球型蛍光灯なので、色合いが微妙に寒々しい。また、ソファセットのあたりに十分な光が当たらないので、フロアスタンドを設けるべきだったように思う。

窓は横広で昔の特急電車のような感じ。せっかく海沿いの景色を望めるのに、窓が高い位置にあるため、座ったままでは景色がじゅうぶんに見えないのが残念。

客室のバスルームは以前の内装を残している。壁は石柄のビニールクロス。バスアメニティもビジネスホテル的な品揃えだ。シャンプーはリンスインシャンプー。タオルは大小2枚ずつ置いてあった。

宿泊客は、3階の展望大浴場を無料で利用できる。小さいタオルはたくさん置いてあるが、バスタオルは客室から持参する。脱衣場やドレッシングカウンターはとても広く、手入れも行き届いている。浴室には、石の湯船とサウナルーム、12か所のカランなどが設けられ、快適。温泉ではないが、瀬戸内の風景を眺めながら、さっぱりと汗を流すことができる。

朝になって、周辺を歩いてみた。ほとんど人と会うことがなく、静かな環境である。ランニングには打ってつけだ。ホテル外観は、この近辺ではとても立派で目立っている。

裏手の海岸側に回ると、松が並んで立っており、海辺の雰囲気が色濃くなる。ホテル外観も、よりホテルらしく見えるのだが、残念ながらこちらからの姿を眺めてくれる人の数はとても少ないだろう。

チェックアウトは気持ちがよかった。今風の若い女性が担当だったが、細やかに気の付く人だった。特に何かがあったわけではないが、ちょっとした仕草にその細やかさが表れていた。

OFFICIAL WEBSITE

オークラホテル丸亀

このホテルに関する過去のレビュー

初登場のため、過去のレビューはありません。