ハイアット リージェンシー 京都 Deluxe Balcony  
Hyatt Regency Kyoto
2008.12.08(月)
京都市東山区
喜-5

ホテルの外壁の瓦屋根
 
心地よい距離感 淀屋橋から京阪電車に乗って京都へ向かった。京阪のダブルデッカー特急は、特別料金不要の車両としては立派に出来ているが、手入れが行き届かないのか、汚れや傷みが目立っている。それでも、ゆったりした座席と、大きな窓からの景色は、ちょっとした旅情をも感じさせてくれる。ただぼんやりと車窓を眺めていたら、枚方を出た辺りから雰囲気が一変した。大阪から京都の文化圏へと移ったことが、街並からも容易に理解出来る。それほど大阪と京都では世界が違う。

ハイアットリージェンシー京都の最寄り駅は京阪の七条駅。駅は地下にあり、案内表示に従って地上に出たまではいいが、どちらの方向に向かって歩けばいいのかわからず、しばらく考え込んでしまった。誰かに尋ねようかとも思ったが、直感で歩くことにした。橋を渡り、山を目指して歩けと本能が言っていた。しばらく歩くと三十三間堂が見えた。ホテルはこの先すぐだ。

ホテルのアプローチから正面玄関を目指すと、そこには見覚えのある男性が立っていた。かつてはパークハイアット東京にいた人で、当時からその仕事ぶりには信頼を置いていた。最初に彼の顔が見られるとは幸先がいい。誰かを見送るとか出迎えるとかしている最中だろうと思ったが、そうではなかった。このヨタヨタと歩いてくる1泊しかしないケチな客を待っていてくれたのだ。

恭しく迎えられると、まずはロビーのソファを勧められ、そこでちょっとした雑談をした。だが、彼がソファを勧めた理由は雑談ではなく、用意している部屋タイプの確認であった。予約はベッド1台の部屋で入れてあったが、ツインでよければよりよい部屋を用意できるというのである。

気軽な一人旅なので、ベッドタイプはどうでも構わないと答えると、フロントの係に合図をしてキーを持ってこさせた。そして、出迎えた彼とフロントの責任者とが揃って部屋まで案内してくれ、そこでサインのみのインルームチェックインを済ませた。館内についての説明を詳しく聞かせてくれるだけでなく、館内外での過ごし方のアドバイスも手馴れている印象だった。

ホテルの敷地に入った瞬間から始まった、この上ないスムーズなサービスは、このホテルのサービス水準の高さを示している。それは、パークハイアット東京が一番輝いていた頃のサービスを思い起こさせるが、総支配人以下、その頃パークハイアットにいた逸材が実際ここに集結している。この洗練は、世界のハイアットでも最高のレベルにあると言えるだろう。

係が退室して、部屋をしみじみと見渡してみる。60平米あるというバルコニー付きのデラックスルームは、ワンルームタイプのジュニアスイート的な雰囲気だ。エントランスを入るとすぐに居室になっており、ホワイエはない。それが少々落ち着かない印象を残しているが、扉を開けると扉そのものが目隠しになる向きに開くので、丸見えになるという心配はなさそう。客室全体の形状は長方形だが、居室とバスルームの壁を斜めに切って、そのグリット線上にデスクやソファを配置することで、シンプルな中にも動きのあるインテリアを実現している。

ベッドは140×200センチサイズが2台。マットレスの厚さは8インチで、ハイアットらしい固めのもの。真っ白でピンと張ったベッドリネンが清潔感を醸しており、ベッドボードの古い和布と間接照明も効果的だ。ベッドの前にはL字型のソファセットと四角いローテーブルがあり、42インチのディスプレイの方を向いている。テレビの下にはDVDプレイヤー、YAMAHAサラウンドシステムも備えているが、テレビをベッドから見るにはやや遠い。

デスクは独立した大型のもので、イスは対面して添えられている。LANは有料で、レターセットはあるが絵葉書はない。エントランス脇にあるミニバーキャビネットには、多数の引き出しが備わり、収納も兼ねている。京都らしく、素敵な茶器セットが用意されているが、コーヒーはない。

照明は、フロアスタンド、ナイトスタンド、リーディングライト、ベッドボード間接、柱裏の間接照明の他、14箇所ものダウンライト設置されており、照明効果は極めて高いが、調光が可能なのはナイトスタンドとフロアスタンドのみしかない。この部屋のカラースキームは、ダークウッドと彩度の低いファブリックを使用し、渋くまとまっており、どちらかというと男性的な印象だ。

窓はバスルームも含め、部屋の横幅一杯に広がるが、天井から梁が60センチ以上も迫っているので、窓際にはやや圧迫感がある。バルコニーは居室側の2箇所から出入り出来る陽になっており、隣室との境は簡単な垣で仕切られている。居室の窓にはハーフミラーシールが貼られているので、日中でもなんとなく薄暗いが、むしろ覗かれちゃまずいバスルームの窓は加工されていない。

そのバスルームにも贅沢な面積を割いている。居室からバスルームへの扉を抜けると、オープンクローゼットと個室になったトイレがあるが、トイレの中は空調が届かず、この季節は寒く感じた。バスエリアには2段のステップを上がる。床、壁ともに天然石で仕上がっており、ドラマチックな雰囲気さえ漂う。

窓際に置かれたフリースタンディングバスタブは、160×100センチサイズ。厚さ4センチのヒバ材で出来ており、乾燥を防ぐために、少し水が張られている。バスタブの深さは50センチで、上から5センチのところに排水口が設けられている。カランのj給湯は超強力。また、天然木のバスタブは湯が冷めるのが遅い。

バスタブの脇にはシャワーのエリアがあるが、仕切りは一切なく、開放感抜群だ。アメニティはちどりやのプロダクツを使用。タオルは3サイズが4枚ずつ備わっている。バスルームの照明は一括のON/OFFのみで、調光は出来ないが、不便は感じなかった。

ホテル内にはスパとフィットネスジムがあり、宿泊客ならジムの利用は無料だが、ロッカーやサウナのエリアを利用する場合は、別途料金が掛かる。スパは2階の連絡通路から別館を延々と行った先にあり、やや遠いのが面倒だったが、レセプションスタッフの対応はとても丁寧で好感度が高かった。

レセプションとロッカーは1階にあるが、トリートメントルームやジムは地下2階にあって、1基しかないエレベータで往復する。男性用の場合、ロッカーの奥には、3つのシャワーブースと6〜7名が利用できるドライサウナが設けられている。ジムは広く、マシンも充実している。

午後、中途半端な時間に腹が減って、「トラットリア セッテ」に入った。表通りからも直接気軽に入れるようになっており、ロックミュージックが流れるカジュアルな雰囲気ながら、古木のぬくもりのある空間だ。ランチタイムは終わっていたので、アラカルトのメニューが差し出された。

オープンキッチンでは、すでにディナータイムの準備が始まっている。ピッツァのかまどが目に入ったので、4種チーズピッツァとスープを注文。すると、「ピッツァは30センチサイズで、結構大きいです。スープはハーフサイズでもご用意できますが」とのアドバイス。その助言に従ってみた。サービスに気取った風はなく、自然体だった。

夕食は「ザ・グリル」を利用してみようかと考えていたが、店の前まで行った際に、激しいジャズのBGMが流れて落ち着かない雰囲気に感じられたので中止。ルームサービスで軽く済ませることにし、ペンネアラビアータとパンナコッタを注文。ペンネは辛めにと頼んだら、後にワゴンを下げに来た際に「辛さはお口に合いましたか?」と尋ねてくるなど、客と積極的にコミュニケーションを取ろうという姿勢が伺える。

朝食は「ザ・グリル」にて6:30より提供している。定食もあるがブッフェもまた充実しており、工夫された盛り付けを見るだけでも楽しく、シェフによるポークハムのカットサービスや卵料理のオーダーも行われている。サービスはよく気が付くので安心だが、カトラリーをテーブルに直置きするスタイルにはやや抵抗がある。

チェックアウトはフロントで行った。「ご滞在はいかがでしたでしょうか」と質問されたので、「京都まで足を延ばした甲斐がありました」と答えた。そして、京都まで来て激しいジャズのBGMは疲れるという印象も伝えた。こうした感想を伝えやすい雰囲気があるというのがいい。総じて快適な滞在だった。

 
エントランスアプローチ 外観 正面玄関前

ロビー ロビー ロビー

デスクからリビング全体を見る ベッドから入口方向を見る テレビからベッド方向を見る

デスク ソファ ティーセット

ミラー張り扉のクローゼット トイレは寒かった バスルームへの階段

ダブルベイシン バスタブからベイシン方向を見る アメニティ

シャワーエリア バスタブ脇の窓を見る ヒバ材のバスタブは湯が冷めにくい

バルコニーからバスルームを見る バルコニー リビングの窓はハーフミラー

ジム ジム スパのシャワーエリア

トラットリアへのアプローチブリッジ トラットリア店内 大きなピザ

ロビー クリスマス装飾 クリスマスツリー

リースをまとったホテルサイン チャペル ルームサービスの夕食

グリル店内 グリルからの眺め 朝食

駐車場へのスロープ前 近所の神社 もみじ

 ハイアット リージェンシー 京都(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 060911


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