第一ホテル東京シーフォート Superior Twin Room
Dai-ichi Hotel Tokyo Seafort
2008.07.22(火)
東京都品川区
怒-2

照明を落とした室内
 
キャッシャーでの受難 ホテルに着いたのは21時頃。巨大なアトリウムは閑散としており、人のいない波止場のような侘しさが漂っている。ダイナミックな空間には曲線と直線を巧みに組み合わせた立体的なデザインが施されており、2層分のパノラマウィンドウがとりわけ印象的。

2階にあるフロントロビーもこのアトリウムに面しており、贅沢に使った大理石がエレガントだ。美術館のホワイエのように、何もなくても空間美が感じられるようデザインされているが、家具の配置を変えたり、レストランなどの立て看板をあちこちに置くなどして、全体のバランスを大きく損ねているのが残念だ。

チェックインのため、フロントへと向かった。今日はお部屋お任せの格安プラン。係に嫌われて悪条件の部屋をあてがわれないよう、こちらも精一杯感じのよい客を装うつもりだったが、係の健康的な明るさの前に下手な芝居は不要だった。そのイヤミやトゲのないサービス振りからは、ほどよいフレンドリーさが感じられ、接する誰もが笑顔になるような雰囲気があった。

プランでは喫煙・禁煙の選択も不可となっていたが、チェックイン時にはダメ元で尋ねてみよう思っていた。しかし、そうするまでもなく係から聞いてくれ、禁煙のスーペリアツインが用意された。喫煙のシングルになることを覚悟していたので、当たりクジを引いた気分だった。

客室へと通じるエレベータは2基。これが宴会場や高層階レストランへも通じているので、稼動は高い。客室は23階から27階までの5フロアに127室が配置されており、今回は27階がアサインされ、部屋はエレベータホールからすぐだった。

扉を開けようとした時、ちょうど隣の部屋から客が出てきた。見ると、母親と10歳くらいの男女兄弟と思われる3人のファミリーで、ドイツ語を話している。その子供のはしゃぎ様から、こりゃ騒がしくなるかもと不安になったが、後に騒々しさが我慢の限界を超える事態には至らなかった。

それよりも、ここは客室最上階なので、すぐ上に飲食施設があり、その床から響く音の方が気になった。それがピークに達したのは23時ごろ。閉店後の片付けの際、従業員が発する騒音だったと思われるが、その後は上階も隣室も静かだった。

客室は最近改装されたらしく、インテリアが一新している。でも、大部分において、以前の方がよかった。それは質感が数ランク落ちたからである。このホテルは、第一ホテルが高級ホテル展開に最も意欲的だった時期に建てられたので、以前の内装はこのロケーションには不釣合いなほど立派だった。

その名残りはロビーなどで見られるが、改装後の客室でそれを実感できるのはいくつかのディテールだけになってしまった。最初からこの程度のクオリティで丁度よかったのではないかと思わないでもないが、やや崩れているとはいえ、それなりにインパクトとクオリティのあるロビーから来ると、部屋がなんともチープに感じられる。

内装のテイストは、これまでのパステル調と存在感のある明るい木目から、深くクールな色調へと様変わりした。オーソドックスなレイアウト自体に大きな変更はなく、ベッド、デスクユニット、シッティングスペースが無駄なく配置されており、窮屈さは感じない。

ベッドにはシーリー社の7.5インチマットレスを採用し、寝具も都度替えするデュベカバーで仕上げている。彩度の低い内装の中で、スローケットとクッションの赤が鮮やかなアクセントになっており、退屈で寒々しい雰囲気になるのを防いだ。

以前はドレッサー兼デスクとアーモアがそれぞれ独立していたが、一体化したデスクユニットが新調された。32インチの液晶ディスプレイを備え、デジタル放送を美しい画像で観ることができる。窓際にはグレーのストライプ柄のアームチェアとデスクを設置。窓の上にある間接照明とパワーカーテンは以前のものが残っている。

他に、居室とホワイエを仕切る内扉と、この広さの客室にしては幅の広いクローゼットも健在だ。一方、内扉脇に設けられていた、飾り棚の意味もあったミニバーキャビネットは撤去された。居室の照明はナイトスタンド、デスクスタンド、窓の間接照明の他に、4つの電球型蛍光灯ダウンライトが設置されているが、全体を平板に照らしているので、ムードに欠ける。

また、デスクライトは接触が悪いらしく、気まぐれに突然消えてしまうし、それどころか在室センサーが機能しているのか、デスクでおとなしく作業をしていると、突然すべての電源が落ちるという現象に何度か見舞われた。加えて、4つのダウンライトと間接照明はひとつのスイッチで連動しているので、明るさの微調整が出来ずに不便だった。

160×240センチサイズのバスルームにはほとんど手を加えていない。シャワーヘッドが新しくなったのと、以前より明るくなったような印象がある程度だろうか。明るさも、単に蛍光灯を新しくしただけなのかもしれない。タオルは3サイズが2枚ずつで、アメニティは以前同様に充実している部類だが、バスローブは備えなくなった。

チェックアウトもまた、昨晩のように気持ちのよいものだろうと期待したのだが、それは幻想だった。夜にはフレンドリーな女性ふたりが立っていたが、昼間は無表情な3人の男性。客は他にいなかったので、すぐさま手続きは出来たのだが、提示された料金が間違っていた。

その間違いはすぐに確認されたにもかかわらず、係はコンピュータ上での修正方法が分からないらしく、おし黙ったまま画面と格闘していた。「お待たせして申し訳ございません」の一言くらい、コンビニのバイトだって掛けられるだろうに、ここではそういう気遣いは出来ないらしい。5分、10分と待たされるうちに、イライラして来た。

やっと係が顔を上げたので、何かお詫びでも聞けるかと思いきや、「明細、なくてもいいですかね。」と来た。料金を間違えるなどという失態がありながら、こめんなさいの一言も出てこないとは困ったもの。それについて文句をつけると、脇で暇そうにしていたマネジャーらしき人が代わって詫びを言い、パパッと端末を操作して、正しい明細書がプリントアウトされた。

マネジャーは最初からそこにいたわけでなかったので、何のトラブルなのか把握していなかったのだろうが、もっと早い機会に手を差し伸べるべきだったのではないか。こういう気の利かない連中が、前夜の気持ちのよいサービスを台無しにしている。

チェックアウトに30分も掛かってしまい、気が付けばランチの時間になった。ちょうどアトリウムの「グランカフェ」でランチタイムが始まったので、そこでステーキランチ2,000円を注文した。内容や味はここに書くほどのものではなく、ファミレスのランチと何ら違いない印象。最初はガラガラだったが、正午を回るころにはほぼ満席の賑わいとなった。ビジネスマンたちのランチは食べるのも早い。後から来た人たちが、次々と先に席を立っていく。

そろそろ出発しようと、伝票を持ってキャッシャーへ向かうと、そこではマネジャーらしき人と、近くの大手一流旅行会社の社員がいた。どうも馴染みで顔見知りの様子。お得意様とコミュニケーションを取るのは大切だが、他の客を待たせてまで話し込むのはいかがなものか。

伝票を持って待っていたら、後ろには4〜5人の列まで出来てしまった。やっと事態に気が付いた旅行会社社員が代金を支払うと、今度は領収証を書いてくれと言い、その間もまだ無駄話に花を咲かせていた。これで本当に二人ともサービス業に従事している者なのだろうか。まったくあきれ果てる。

 
内扉を開いて室内を見る デスク脇から室内を見渡す 赤いクッションとスローケットをあしらったベッドはなかなかの寝心地

デスクユニットはコンパクトにまとまっている 窓際のイスは地味だ 窓枠の間接照明は健在

扉の正面にトイレがあるバスルーム バスタブにはハンドシャワーと固定シャワーを備える 石のベイシントップ

クローゼットはワイド 客室はすべて高層階 「グランカフェ」の大空間

フロント前 ロビーの一角 ロビー階エレベータホール

ロビーの一角 ロビーからフロントを見る フロントカウンター

 第一ホテル東京シーフォート(公式サイト)
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