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プルマン張家界ホテル Superior Room | |
Hotel Pullman Zhangjiajie | 2011.09.09(金) |
Hunan, China | 楽-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
景勝地のリゾートホテル 中国湖南省張家界市を訪ねた。カルスト地形の奇岩が幾重にも連なる景勝地として知られ、周辺は武陵源自然風景区として世界遺産に登録されている。中国国内でも、九塞溝と並ぶほど人気の高い観光地であり、一度は訪れたい憧れの場所だという。 張家界市へは上海から飛行機を利用した。鉄道という選択肢もあるようだが、よほどの好奇心と時間を持ち合わせていない限りおススメできないとのこと。張家界荷花空港は、それなりに設備が整った空港だが、いかにも中国の地方という雰囲気が漂い、はるばるやって来たという気分を盛り上げてくれる。 飛行機は遅れに遅れて到着。にもかかわらず、迎えのガイドは辛抱強く待ち構えてくれていた。手配された車両に乗り込み1時間ほど。道が悪いのか、車が悪いのか、あるいは両方か、とにかくよく揺れた。しかし、車窓からは何ひとつ見えない。雨が降っていることだけはわかるが、それ以外は完ぺきな暗闇が続く。 ホテルが近づくに連れ、街並みらしきものが見えて来た。太く立派な道路、花がいっぱいのロータリー、オレンジ色が連なる街灯。インフラ整備は進みつつあると見える。途中、寄り道があって、ホテルにチェックインしたのは深夜1時近かった。 滞在するのはプルマン張家界ホテル。この地域ではまだ数少ないファイブスターホテルである。隣りには民族伝統芸能を披露する劇場、反対隣りには新しいファイブスターホテルが建築中だ。プルマン張家界ホテルは、山岳ロッジのイメージだろうか。山小屋がいくつも連なったような外観をしている。 ロビーの天井も山小屋風。艶やかな木目が自然風景区の趣きとマッチしている。吹き抜けのロビー中央に、楕円形のフロントカウンターがる。このカウンターは360度どこからでもアクセスできる造り。かつてリージェントホテルでよく見られたスタイルだ。 この時は、張家界国際郷村音楽祭の会期中。参加者のベースキャンプとなっているため、まるでタイムズスクエアのように賑やかで国際色豊かだ。おそらくふだんの様相とは大きく異なっていることだろう。 メインロビーの脇にはロビーラウンジがある。ラウンジの天井には中国風の漢字アート。音楽祭参加者の交流の場として、朝から深夜まで常に活気に溢れていた。いつしか始まる民族音楽の生演奏、ダンス、歌などなど、祭のようだ。通常のホテル営業では考えられない賑わいだが、たまたま居合わせた客があったとしても、きっと珍しい光景に興奮したに違いない。 ラウンジの奥にはレストランは3か所。ふだんどのような営業をしているのかわからないが、会期中は関係者のフードコートとして、朝から夜までブッフェ形式で食事を提供している。初日はあれこれ珍しいと思ってワクワクしたものだが、滞在中毎日同じ品揃えだったため、だんだんと飽きてしまった。 ホテルはいくつかの棟に分かれており、慣れるまでは複雑な構造に迷うことしばしば。特にエレベータの場所が分かりにくい。また、館内の案内表示が不足しており、どこに何があるのかは、自分で歩いて確かめるしかない。それなりに立派な造りではあるが、日中は照明も消されており、なんとなく寂しい雰囲気だ。 中庭には広々とした屋外プールがある。この時期、気温は低く、とても泳ごうという気候ではないのだが、水があれば入らにゃ損とばかりに、若い外国人たちは陽気にはしゃいでいた。とりわけ南米やアフリカの連中たちは、見事なプロポーションもあらわに、通りがかる人々の目を釘づけにしていた。 プール以外にも中庭には見どころがある。ホテル裏手にはすぐ森が迫っており、そこの風景と庭の石組とが溶け合い、ミニ張家界の景観ができている。本来は滝のように水が流れるのだろうが、残念ながらそれは停止していた。オープンエアの渡り廊下を歩く時に感じる風も、リゾート地らしい肌触りだ。 客室フロアはゆとりあるレイアウト。廊下も太く、窮屈さがまったくない。あまりスタッフを見かけないが、客室清掃は迅速だし、パブリックスペースもよく整えられている。ただ、廊下の壁は中国らしく山水画をモチーフにしているのかと思いきや、単なるカビの染みだった。 利用した客室は標準タイプだと思われる。広さは約40平米程度だろうか。温かみのある木目を基調に、自然なカラースキームでまとまっている。設備的には確かにファイブスターホテル。だが、建物の造りそのものは粗雑で、すでに調子が悪くなっている部分も散見された。 また、外観や敷地のリゾート的要素と比較して、室内は至ってふつうのシティホテルタイプ。窓の外を見さえしなければ、都市にいるよう。照明は白熱灯スタンドとハロゲンのダウンライト。ほどよくムードのある照明プランだ。 まず驚いたのがベッドのサイズ。横幅は270センチ程度あるだろうか。縦よりも横幅の方がはるかに長いのは確か。その横幅いっぱいを覆ってあまりあるほどのシーツやデュベにも目を丸くした。ベッドボードは更に幅があり、ベッドの隅からナイトテーブルまで手が届かない。本来はツインにするつもりだったのではないだろうか。 カーペットはマスタード色で、ホワイエの床は大理石張り。レースカーテンは少し色が付いており、エレガントな雰囲気。ドレープは遮光性が高いことになっているが、実際はそれほどでもなかった。天井梁周りの木目ラインや、ホワイエと居室の間の枠組みがアクセントになっている。 デスクは窓際。楕円形のガラスデスクがカウンターから張り出しているスタイル。脇にはミラーがある。高速インターネットは無料。こんな山奥でもネット通信は安定していた。 窓際には長いカウチソファがある。丸いテーブルには灰皿とマッチ。どうやら喫煙可能室のようだが、タバコのにおいはまったくしない。サイレントバトラー付きだが、その前にあるフロアスタンドが邪魔して使いにくい。 テレビは今どきブラウン管式。どっしりと重そうなテレビを久しぶりに見た。興味本位で電源を入れてみたが、中国のテレビは意外と面白い。とりわけご当地湖南省の湖南テレビがいい。 テレビの下はミニバーキャビネット。ティー&コーヒーセットや、グラスが用意されている。冷蔵庫は空。 クローゼットはバスルーム入口脇。あまり広くないが、金庫もあるし、バスローブやスリッパ、傘も備えている。無料のシューシャインサービスもある。ランドリー袋はひとつ30元で販売されている。3元でも高いと思う品物だが。 バスルームは大理石造り。大型のバスタブ脇にはガラスウィンドウがあり、バスタブから室内やテレビが見える。カランからの湯はやや茶色。しかも、あまり温度が上がらず、じっくりと湯に浸かることはできなかった。 ベイシンはひとつ。脇に棚があるのが便利。反対の壁には、バニティミラーが設置されている。ちょっとしたグリーンが気分を和ませる。 ベイシンはボウル型。無料のミネラルウォーター2本付き。バスアメニティは質素だ。 ガラス張りの独立したシャワーブースがある。シャンプー兼リンス兼ボディーソープ、つまり何でもかんでもオールインワンという洗浄剤は初めて見たが、恐ろしくて使う気にはなれなかった。シャワーは固定式のみ。 滞在中に中秋の名月を迎えた。ホテルからは月餅の差し入れ。風情のあるサービスだ。 両開きのスライドウィンドウの外には小さいながらバルコニーが設けられている。 バルコニーから見えるのは隣りの民族伝統芸能の劇場。この劇場の入場料は物価に対してかなり高額だ。 ホテルの前からも張家界特有の風景が見える。 だが、実際に近くまで行って眺めれば、その圧倒的な迫力に息を呑む。こうした絶景を求めての旅であれば、プルマン張家界ホテルはじゅうぶんに快適だ。 |
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