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セントレジス・シンガポール Grand Deluxe Room | |
St.Regis Singapore | 2011.06.23(木) |
Singapore, Singapore | 楽-5 |
ARCHIVES ・ 1992 |
気品あふれる優雅なホテル 大阪に開業したばかりのセントレジスでは、残念なことにあまりいい印象がなかった。ましてカペラでパーフェクトな休日を過ごした直後だけに、ガッカリしなければいいのだがという不安を持っての到着だった。 セントレジスシンガポールはアジア初進出のセントレジス。オーチャードロードの賑わいが落ち着いた辺り、タングリンロードへと差し掛かった好立地に建ち、ガラスで覆われた近代的な建築がひときわ目を引く。すぐ近くには老舗リージェントシンガポールがある。 ホテルの内外には、ユニークな現代アートが多数展示されており、ちょっとしたミュージアムのよう。ホテル内に足を踏み入れなくても、外周にある池に配されたオブジェや正面玄関前の巨大オブジェが、街ゆく人の目を楽しませている。 正面玄関車寄せは、ラグジュアリーホテルらしい広さとスケール感。ショーファー付きリムジンサービスに利用される高級車が、よく玄関先に列をなして停車している。 カペラのリムジンで到着すると、ドアマンは一段と恭しく出迎えてくれた。彼はまず自分の名前を名乗り、恐縮ですがと付け加えて名前を尋ねて来た。それに答えると、すぐさまベルアテンダントに引き継がれ、フロントレセプションでイスを勧められる頃には、他の係からも名前で呼びかけられていた。日本のホテルと比較すると、シンガポールのホテルの方が、はるかに客を喜ばせるコツを心得ているようだ。 ロビーは外観とは打って変わって華やかでゴージャスな雰囲気。かといってゴテゴテの装飾ではなく、豪華な中にも軽やかさや新しさが感じられる。好みは別としても、誰もが上質だと認めるクオリティだ。 大理石の床に華麗なシャンデリア、エレガントな家具に大きな絵画。全体のまとまりがよく、違和感のあるアイテムがまったくない。ロビー中央は吹き抜けになっており、傍らに2階へと続く優雅な階段がある。その上のクリスタル照明器具はひときわ立派。壁面のガラス装飾もユニークで印象深い。 レセプションデスクは3つ。それぞれにレッドカーペットが敷かれ、レセプショニストが丁寧に対応する。予約内容の確認や、滞在中の特典の説明なども細かくおこなわれ、初めての滞在時にありがちな疑問は、ほとんどチェックイン時に解決できた。 日中のロビーは、ほとんど人影がなく、美術館のような落ち着きが感じられる。だが、美術館と大きく異なるのは、美しい花々がふんだんに飾ってあることだ。それらは手入れもよく、いつも目を楽しませてくれる。 夕刻になると、ロビーの照明が落とされ、あちこちにキャンドルが灯される。その頃には、外出から戻った滞在客たちで賑わうが、心地よい雰囲気が乱れるようなことはない。 2階には、ちょうど正面玄関ホールを見下ろす位置にソファを置いたコーナーがある。目線の高さにシャンデリア。テーブルには生花。バーの一角のようだが、そこもパブリックスペースだ。 2階からロビーを見下ろすと、大理石がエレガントな草の模様を描いていることがわかる。フロアは艶やかに磨き上げられ、ちりひとつ落ちていない。当然のことながら、余計な案内物や看板なども置いていない。 客室は299室。贅を尽くした調度と洗練されたデザインによる快適な客室が揃っており、標準ルームで50平米の広さがある。海外の建築物は日本のものに比べると施工が粗雑と相場が決まっているが、ここは日本の建築会社によって施工されたので、ディテールに至るまでしっかり丁寧に仕上げられている。 今回利用したのは52平米のグランドデラックスルーム。高層階を希望していたが、まさかの低層階。部屋に行ってみて気に入らなかったらルームチェンジを希望するつもりだったが、大きな窓からの景色を見て納得。ちょうど目線の高さに森が見え、まるで熱帯のジャングルの中にいるよう。高層階から見るシンガポールの街もいいが、こちらの方がより魅力的だ。 客室デザインはエレガンスの極み。白い塗り壁と淡い色のカーペットが家具や調度を見事に引き立たせている。ベッドボードの上には、シルクサテンを使った手描きの壁紙をあしらい、シノワズリーの図柄がクラシカルで可憐。マットレスやベッドリネンの質もよく、ベッドメイクも丁寧。眠ってしわにしてしまうのがもったいないほどだ。 落ち着いた黄を基調としたベッド周辺に対し、窓際の飾りドレープやラウンドソファには、鮮やかな赤を使っている。ソファに添えられた小さなコーヒーテーブルはアクリル製、ソファ後ろのスタンドは銀色のシェードと、クラシカルなテイストをベースに、モダンなアクセントを随所にあしらっている。 テレビは壁に埋め込まれており、40インチサイズの液晶。スピーカーは天井に設置されており、臨場感のある音響を楽しめるBOSE製。テレビ下のキャビネットにはCD/DVDプレイヤーもある。 ワークデスクは大型のカウンタースタイル。大きさの赤いオーブがあしらわれたデスクスタンドも印象的だ。イスはキャスター付きを用いず、しっかりとした木材のものを置いている。 クローゼットはベッド脇の壁面に設けられている。両開きの扉がダブルで設置され、内部は大理石製のバゲージ台やハンガーレールが効率的にレイアウトされている。また、居室とホワイエの間にも収納スペースがあり、客室全体の収納力はかなりのものだ。 居室とホワイエの間は、木目のゲートのようになっている。ホワイエは大理石の床。居室、ホワイエともに洒落たシャンデリアが下がり、ムードが感じられる。 ミニバーキャビネットは、ホワイエに置かれている。艶やかな木製の筒型で、それ自体が存在感のある調度の役を担っているようだ。キャビネットのトップはオニキス。 引き出しの中にはミニサイズのリカー類やお菓子。それと一緒に救急セットや避妊具まであるが、あんがい高額だ。背に腹は代えられないということか。 冷蔵庫の中には高級なシャンパンやワインを始め、ソフトドリンクなどが揃っている。こちらもかなり高額。シンガポールは総じて酒が高い。余談だが、アイスクリームも高い。 バスルームもまた、ホテル全体のイメージとマッチした、ゴージャスで洗練された内装を施している。全体をフランス産の大理石で仕上げ、天井にはシャンデリアが輝く。 ベイシンはふたつ。それぞれにミラーがあり、3つのブラケットがエレガントさを醸す。カランのデザインも洒落ている。 バスタブはフリースタンディング型。周りを木目で覆っており、落ち着いて見える。バスタブの正面には、ミラーに埋め込まれた液晶テレビがある。外光は入らないが、なかなか居心地のいいバスルームだ。 シャワーブースとトイレはそれぞれ独立しており、曇りガラスで仕切られている。シャワーブースには、多機能型シャワータワーを設けているが、日本で見かけるのとは、ハンドシャワーのデザインが異なっており、こちらの方が使いやすい。 トイレ内はシンプル。ハロゲンのダウンライトが大理石の空間を照らしている。洗浄機能付き便座は備わっていない。バスアメニティはスパで使われているブランドのもの。タオル類も豊富に揃い、バスローブの心地よさは格別だった。 夕刻のターンダウン後は、明るい日中とはまた趣きが変わり、落ち着いた雰囲気に。ナイトテーブルにはミネラルウォーターとチョコレート、コーヒーテーブルにはフルーツが用意される。また、コーヒーなどのリフレッシュメントはバトラーに頼めばいつでも運んでくれる。もちろん無料。日本人バトラーもいるので、何かと安心だ。 館内には設備の充実したジムやスパの他、ルーフトップを利用したトロピカルスパプールがある。ビルに囲まれたロケーションなので、日差しを感じられる時間帯は限られるが、とても広々としており、変化に富んだ楽しいプールだ。 大きなタオルが置かれたデッキチェアが多数並んでいる割には、あまり利用客が多くなく、のんびりと過ごせるのがいい。場所によっては、浅い水の上にチェアが置かれており、水上の涼しさを味わえる。 またプールそのものも大きいので、本格的に泳ぎたい人でも満足できるだろう。ただ水はかなり冷たい。プールサイドにはレストランがあり、そこから軽食や飲み物を注文することも可能。プールのスタッフもとても親切。時折ミストスプレーやフルーツスティックなどを配って歩いている。 館内のレストランも魅力的。朝食はロビー階にあるダイニングでのブッフェ。ダイナミックながらも可憐なデザインが施された店内からは、隣接するレジデンスのプールを望み、都会にいることを忘れさせてくれる。インターナショナルブッフェには、プラナカン料理も並ぶ。 2泊だけの短い滞在だったが、機能性と豪華さが共存する新時代のラグジュアリーホテルを満喫することができた。設備の素晴らしさはもちろん、細やかなサービスにも心を奪われた。豪華なリムジンでチャンギ空港に向かいながら、また訪れたいものだと強く思った。 |
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