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ホテル西洋銀座 Sakura Suite | |
Hotel Seiyo Ginza | 2010.09.23(木) |
東京都中央区 | 哀-3 |
ARCHIVES ・ 1992 |
高級ホテルのプライドは捨て去られたのか 1987年にホテル西洋銀座が開業してしばらくの間、このホテルは孤高の存在だった。ホテルが掲げたコンセプト、サービス内容、内装のセンス、料金、それら一切がこの国には時期尚早であったが、スモールラグジュアリーホテルのなんたるかをあえて示そうとした勇気は讃えなければなるまい。 しかし時代は流れ、西洋銀座が担った役割は、パークハイアットなどの外資系高級ホテルへと移って行った。その時、西洋銀座もパイオニアの意地を見せ、ローズウッドの傘下として再びエンジンを掛けたまではいいが、中途半端で悪趣味な改装をし、スタッフに素人を多く加えたことで、むしろ評判を落とした。 以来、本来の持ち味とは違った方向へ進み出し、かつてなら、あらゆるエキスパートの手配に精通していたコンシェルジュも、今では誕生日ケーキの手配程度がお似合いのレベルになってしまった。 進む道は、幕張のマンハッタンを手本にしているのだろうか。国際的に活動するトラベラーよりも、銀座でヒマを潰す中流層を引き寄せようとしているように感じられる。 ユニークな外観は、江戸東京博物館と同じ菊竹清訓氏による設計。複雑な外観をしており、同じ建物にホテルと劇場が同居している。 ホテルエントランスは、銀座通りから1本横道に入ったところにあり、車寄せは周囲の壁と歩道を大理石で仕上げた立派なデザインが施されている。 車で到着すれば、手慣れた係がすぐに近寄って来て、荷物を扱い、車を預かってくれる。見上げれば2層吹き抜けになっており、角を多用した複雑なデザインが見てとれるだろう。エレガントな格子窓や間接照明も印象的だが、スタッフたちのキリッとした身のこなしこそが、高級ホテルの風格を醸している・・・ というのは昔の話。今は不慣れなアルバイト風の係しかおらず、何から何まで様になっていない。これから、いったいどうなってしまうのだろう。 エントランスを入ると、2階ロビー階へと通じる大階段がある。片側にはエスカレータを設け、それは3階の宴会場まで続いている。階段の上は3階まで吹き抜け。階段自体、本来ならダイナミックな存在になるはずだが、エントランスホワイエが狭いため、その壮大さを実感できる場所がないのが残念。 宿泊の場合は、この階段を使わずに、エントランス脇にあるエレベータへと案内されることが多い。そして、2階でエレベータを降り、レセプションデスクへと向かう。 階段の上にはフラワーアレンジメントが載った大テーブルがあり、シャンデリアが下がっている。今は、全体的に西洋のクラシカルな内装だが、以前はもっとスッキリと洗練されていた。 現在のレセプションは、テーブルの奥の方にある。レセプションデスクがふたつ並び、座ったままチェックインできるのだが、以前のエクスクルーシブなレセプションルームと比べると、まるで通路で手続きしているような感覚だ。 以前のレセプションルームは、ちょうどエントランスホワイエの真上、車寄せと大階段を見下ろす位置にあった。現在はラウンジ「プレリュード」の一部となっている。 ラウンジ「プレリュード」には、重厚感のある家具が並び、優雅な雰囲気。だが、これでも以前に比べたら、たくさんのイスを詰め込んで窮屈になったものだ。 客室階へと通じるエレベータは2基。内部はアメリカンなテイストだ。客室階エレベータホールは、大理石の枠組みが施され、ハロゲンの鋭い光により陰影が浮かび上がる。脇のコンソールがクラシカルなイメージを強調する。 客室階廊下にも独特の雰囲気が漂う。壁が段々になっており、進むにつれ幅も異なってくる。ブラケットや羽目板が華やかさを感じさせる。 今回利用した客室は、SAKURAスイート。建物の裏側に並ぶ、西洋銀座を代表するタイプの客室だ。面積は60平米で、リビング、ベッドルーム、バスルームから構成される。 エントランスを入ると、リビングまでの間に長い廊下があり、そこに隣室へのコネクトドアと、大型のクローゼットが設置されている。ホワイエとリビングの間に内扉はない。 リビングには、ふたり掛けソファとテーブル、両脇のサイドテーブルとスタンド、窓を向いたデスクとイス、壁に取り付けられたテレビとオーディオがあるが、これらでもうスペースはいっぱいだ。 家具はそれぞれが大型で、ナチュラルな風合いを活かした立派な品々で構成されている。壁紙は、やや鬱陶しい色になったが、額の絵は以前のままのような気がする。 ソファはどっしりとした存在感。添えられたクッションが優しい雰囲気を、スタンドのゴールドが華やかさを醸す。テーブルはカラストップで、縁は金属製だ。 デスクはあまり大きくはないが、ワークスペースとしての環境は整っている。LANは24時間で1,500円と有料。しかも、こちらサイドの客室は、WiFiが入りにくい。 カーテンは大きな花柄の完全遮光型で、天井のカーテンボックスから下がっている。照明はスタンドとダウンライトだけで、やや薄暗く感じた。 昼間もあまり明るくならない。というのは、窓の外にテラス状の空間があり、屋根も出ているため、日光が遠いのだ。しかも、周囲をビルに囲まれているので、日光が直接入ることはほとんどない。また、眺めもまったくよくない。 ミニバーは、ホワイエのクローゼットに隣接している。シャンパングラス、ワイングラス、ブランデーグラス、ロックグラスの4種類を備え、ボックスに整理して入れられたリカーのミニボトルも魅力的に見える。 冷蔵庫には飲み物が用意されているが、少々乱雑な入れ方に見えた。客室に日本茶セットは備わっていない。したがって、湯沸かしポットもない。必要ならばバトラーに言えば持ってくるが、面倒。また、リビングルームはタバコくさかった。 リビングとベッドルームの間は、2か所ある格子ガラスのフレンチドアでつながっている。ドアの間には、テレビとオーディオがある。 ベッドは幅160センチが1台。ドレープと、枕カバー、ベッドボードのファブリックは同じ柄だ。夜には落ち着いたムードを感じさせるが、日中は少々鬱陶しい。ベッド左右にサイドテーブルがあるが、それぞれスタンドポールのデザインが異なる。 ベッドには枕とクッションがセットしてある。手前のクッションは中に枕が入っており、ターンダウンの時に取り出される。寝具は都度替えしないデュベカバーを使っている。つまり、使いまわし。これほどの高級ホテルで、しわくちゃのデュベカバーというのは感じが悪い。 ベッド脇にはクローゼットやバスルームに通じる扉がある。その上に空調の吹き出し口があって、風がベッドに直接当たるため、就寝時には空調を停止しなければならなかった。 クローゼットのエリアはとても広く取られている。入口のクローゼットと合わせて、かなりの長期滞在にも対応できる収納力だ。 ドレッシングカウンターもここにあり、メイクアップに便利な明るい照明が設置されている。スツールのデザインもなかなか洒落ている。 クローゼット内には、多数のハンガーとともに、バスローブとルームウエアが備わっている。また、この空間は扉で仕切ることができるので、着替えや支度に好都合だ。 そして、便利なのがハンガーを吊るすための突起。これを引き出すと、ドレスやスーツを向き合うように吊るすことができ、服を手入れする際にも重宝する。 また、引き出しも多数用意され、収納に関してはたいへん模範的な客室だ。引き出しの上には金庫が載っているが、せっかく空間があるのなら、もう少し大型のものでもよかったように思う。 バスルームは総大理石仕上げ。重厚感がありながらも、白が基調となっているため、明るくて心地よい雰囲気が漂う。ベイシンの脇に置かれたスタンドライトが効果的だ。 バスタブは大型で深いもの。金具の一部は金メッキが施されており、華やかな印象だ。給湯の勢いも申し分ない。 シャワーブースは全室に備わっており、スイートのものはスチームサウナを兼ねているため、中にサウナチェアが置かれている。 シャワーブース内には、固定式、ハンド式のシャワーがあり、特に固定式のものは勢いがあっていい。バスアメニティを置くためのラックも大きくて使いやすい。 バスアメニティは、オーガニックコスメティックのパンピューリをメインに揃えている。甘い花の香りが印象的だ。タオルは十分に揃っているが、バスルーム内ではなく納戸に置かれているので、使う前に用意をするのが面倒だった。 夕食と朝食にルームサービスを利用した。値段の割には面白みのない料理。かといって、オーセンティックな上質さに感心することもなかった。演出力不足。 |
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