コンサートで会いましょう
喜怒哀楽トップページへ
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
1996年
1995年
1994年
1993年
1992年
ホテル別インデックス
レストラン別インデックス

2002年1月14日

ホテル西洋銀座 Superior Room
楽-3 パーソナルセクレタリーからバトラーへ
エントランスのサイン
ホテル西洋銀座は、ローズウッドの傘下に入り、2001年の末に大規模な改装を終え、リニュアルグランドオープンした。1987年3月2日に開業した際には、日本初の本格的スモールラグジュアリーホテルとして、夕方のニュースでも話題になったほど、鳴り物入りのオープンだった。その後は卓越したサービスと、まさに都会の隠れ家と言うべきプライバシーを兼ね備えた、エグゼクティブやセレブリティ愛用のホテルとして、高い信頼を築き上げてきた。経営的にはさまざまな苦渋があったようだが、迂闊には近寄りがたいホテルとして別格視されるだけのサービスが、ここにはあった。

その孤高のホテルが、外資の参入と改装でどのように生まれ変わったのかは、新しいホテルがオープンするに匹敵するほど興味深かった。エントランスでの出迎えのスタイルは以前とまったく同様であった。係は荷物を運ぶ姿さえ絵になるほど洗練されている。車は当然のように係が回してくれる。

エントランスの扉が颯爽と開かれ、館内へと足を踏み入れると、3層吹き抜けの空間があり、2階ロビーへと続く大理石の階段とエスカレータがある。案内されたレセプションデスクは、以前と場所が変わっていた。かつての優雅でゆったりとしたレセプションルームを知るものにとっては、廊下に面したフロントデスクが露店のような印象をもたらすかもしれない。このように環境が変わっても、フロントで受けたサービスは、以前の西洋銀座のテイストを色濃く残すものだった。決して大げさな表情や動作は見せないが、それがかえって知的で信頼がおける。

かつては、パーソナルセクレタリーがすべてのサービスの窓口となっていたが、ローズウッドになってから、バトラーサービスを導入し、滞在中の面倒はバトラーが見てくれることになった。それらの正確な違いや、彼らの組織的なポジションがどのような仕組みになっているのかは知らないが、今回バトラーたちのサービスを受けてみての印象は、それほどよいものではなかった。比較すれば、パーソナルセクレタリーたちのサービスの方がはるかに優れていた。今回の滞在で、かつてのパーソナルセクレタリーのタッチを感じさせたのは、フロントレセプションのみだった。

バトラーは、サービスに消極的で、単に燕尾服を着た客室係という感じだった。しかし、バトラーの実力は一晩程度ではわからない。もしかすると、何泊か過ごす予定のゲストには、自己紹介をして積極的にサービスするのかもしれない。ロングステイをしてこそ、その価値が発揮されるセクションだから、実力がどの程度なのかこそ確認したわけではないのだが、第一印象は優秀に見えなかった。

裏からホテルを見上げる 正面玄関前

新しいフロントレセプション エントランスから階段を上がったところ

レペトワのウエイティングバー ウェイティングバーの椅子

客室廊下 スイートを改装したフィットネスルーム

客室を含め、館内のインテリアのテイストは、大幅に変化した。これまでのオフホワイトを基調として、色の主張が強いものを一切排除した、やわらかくシンプルな内装が、濃い色調を多用した邸宅風のものに一新された。さすがに改装直前と比べれば、改装後の方が格段にキレイになったが、開業当時と現在とを比較すると、むしろ開業当時の方が洗練されていたように思う。それでも、最近は質感のない低級な素材の家具を、デザインだけでごまかして配するホテルが多い中、しっかりとよくできた家具を採用したことは、実に素晴らしい。

今回利用したスーペリアルームは、約50平米の面積がある。ベッドやリビングスペースを配したメインとなる部分のほか、ドレッサーとふたつのクロゼットとミニバーのあるコーナーと、10平米に迫る広さを持つバスルームによって構成されている。ベッドや家具は一新され、すっかりと雰囲気が変わった。スーペリアタイプのツインルームでさえ、150×195センチの大きなダブルベッドを入れ、アーモアやソファも欧米サイズのゆったりとしたものを揃えた。ふたつのベッドの間も十分に取られている。

しかし、もともと細長く幅が狭い客室に、以前より色の濃い大きな家具類を置いてしまったため、随分と息苦しくなってしまった。天井高が265センチあっても、隣接するビルから覗かれるのを防ぐためにカーテンを閉じておくことが多いので、客室に長くいると鬱陶しくなってくる。椅子もデスクのものとソファが、それぞれひとつずつしかない。アーモアには、CDやMDが楽しめるコンポが置かれており、好きな音楽を聴きながら過ごすことができる

。収納スペースは十分に用意されているので、長い滞在でも困らないだろう。コンセントも、室内のあちこちに豊富に備わっている。温度と湿度の両方をコントロールできる空調も便利だ。ミニバーのソフトドリンクは無料。バトラーに氷を頼めば、透明のロックアイスを持ってきてくれる。室内には湯沸しポットやお茶の用意がないが、あらかじめ頼んでおけば、モーニングコールの直後に、バトラーがコーヒーや紅茶を運んできてくれる。

バスルームは、昔同様にとても快適だ。アメニティもほとんど以前のままだった。タオルはカゴに豊富な数が用意されている。それで十分というつもりだろうか、18時15分に客室に来たバトラーは、3分掛けてベッドのターンダウンを行なったが、使用済みのタオルは交換しなかった。

昼間の雰囲気 夜の雰囲気

アーモアにはオーディオセットも 枕のカバーが印象的

シャワーブースとバスタブ 幅広いベイシン

昔ながらのアメニティ 温度と湿度の調節盤

ミニバー ルームサービスのコーヒーと氷

2002年1月14日 午後
ホテル西洋銀座 ラウンジ「プレリュード」
怒-4 紅茶を選べないアフタヌーンティ
かつては200平米弱の広いスペースに、わずか38席という破格のゆとりを誇っていたラウンジだが、改装で一転して窮屈になってしまった。

しかしすべてが窮屈になったわけではない。大きなソファをゆったりと配したコーナーと、肘掛け椅子が小さなテーブルを囲むコーナーとでは、占有面積に倍以上の差がある。

この日は昼食をとる時間がなかったので、夕食までのつなぎにアフタヌーンティでもと思い、ラウンジに入った。しかし、ちょうどブライダルフェアのようなことを行なっている日にぶつかり、店内は混雑していた。案内されたのは、小さなテーブルの席。ポットの紅茶をふたりで注文したら、たちまち一杯になってしまいそうなテーブルだった。そこに3人を押し込んだ時点で、ここはもはやラグジュアリーホテルではなくなったんだと感じた。

アフタヌーンティセットを注文した。2,600円だった。フォーシーズンズより高い。メニューにはさまざまな紅茶やハーブティ、フレーバーティが載っているが、アフタヌーンティセットの場合は、ブレンドティのみしか用意しないという。アフタヌーンティといえば、紅茶が第一ではないだろうか。選べないのなら仕方がないとコーヒーを付けてもらうことにした。

まず、カトラリーのセッティングが行なわれた。テーブルクロスを敷かないのはいいとしても、ナプキンがケーキの箱に付いてくるような薄っぺらいもので、おしぼりが新幹線のカフェテリアで配ってるようなものだったことにはあきれてしまった。しばらくしてまず飲物が運ばれてきた。もうその時点で、カップがテーブルのふちからはみ出している。そこにアフタヌーンティのワゴンを持ってきたが、窮屈なテーブルに無理して載せようとするばかり。見かねて、別のテーブルに空きはないのかと尋ねると、「今日は混み合っておりますので」と言って済まそうとする。それではと、別の場所からテーブルを持ってきてもらうことにして、なんとかアフタヌーンティを楽しめる状態にすることができた。

アフタヌーンティの内容は、ひどいものだった。サンドイッチの具はキュウリなどのシンプルなものの方がいいと、イギリスにいた時にはうるさく言われたものだが、ここでは、キャビアなどの高級食材を使い、見栄えばかりを追求しているようだ。パンもパサパサだった。フィンガーケーキは数多く載っていたが、肝心のスコーンは最悪。せっかくのヘレンドの器が泣いている。

2002年1月15日 朝
ホテル西洋銀座 ダイニングルーム「レペトワ」
楽-2 固いサービス
以前「パストラル」だった時は、ラウンジ「プレリュード」の中を通り、コの字に回り込むアプローチだったが、改装後は、元レセプションルーム側から、ダイレクトに入れるようになった。

昼と夜には独創的なコンテンポラリーフレンチを提供している「レペトワ」では、朝の時間帯も営業し、朝食を提供している。サービスに当たる若い給仕は、テーブルをよく見ており、ジュースのおかわり、パンのおかわり、コーヒーのおかわりと、こまめにテーブルにやってくる。しかし、注文を受ける時もそうだが、サービスが全体に固い。

きっとフランス人が同じことをすれば、カッコよく見えるのだろうが、まだサービススタイルが完成していない若い日本人がそれをやると、無愛想で暗い印象になる。おそらく、明るく快活に振舞った方が、何倍も見栄えがするだろう。料理は実に申し分なかった。東京で最高の朝食のひとつ。

[ホテル西洋銀座] 960317

Y.K.