かつては200平米弱の広いスペースに、わずか38席という破格のゆとりを誇っていたラウンジだが、改装で一転して窮屈になってしまった。
しかしすべてが窮屈になったわけではない。大きなソファをゆったりと配したコーナーと、肘掛け椅子が小さなテーブルを囲むコーナーとでは、占有面積に倍以上の差がある。
この日は昼食をとる時間がなかったので、夕食までのつなぎにアフタヌーンティでもと思い、ラウンジに入った。しかし、ちょうどブライダルフェアのようなことを行なっている日にぶつかり、店内は混雑していた。案内されたのは、小さなテーブルの席。ポットの紅茶をふたりで注文したら、たちまち一杯になってしまいそうなテーブルだった。そこに3人を押し込んだ時点で、ここはもはやラグジュアリーホテルではなくなったんだと感じた。
アフタヌーンティセットを注文した。2,600円だった。フォーシーズンズより高い。メニューにはさまざまな紅茶やハーブティ、フレーバーティが載っているが、アフタヌーンティセットの場合は、ブレンドティのみしか用意しないという。アフタヌーンティといえば、紅茶が第一ではないだろうか。選べないのなら仕方がないとコーヒーを付けてもらうことにした。
まず、カトラリーのセッティングが行なわれた。テーブルクロスを敷かないのはいいとしても、ナプキンがケーキの箱に付いてくるような薄っぺらいもので、おしぼりが新幹線のカフェテリアで配ってるようなものだったことにはあきれてしまった。しばらくしてまず飲物が運ばれてきた。もうその時点で、カップがテーブルのふちからはみ出している。そこにアフタヌーンティのワゴンを持ってきたが、窮屈なテーブルに無理して載せようとするばかり。見かねて、別のテーブルに空きはないのかと尋ねると、「今日は混み合っておりますので」と言って済まそうとする。それではと、別の場所からテーブルを持ってきてもらうことにして、なんとかアフタヌーンティを楽しめる状態にすることができた。
アフタヌーンティの内容は、ひどいものだった。サンドイッチの具はキュウリなどのシンプルなものの方がいいと、イギリスにいた時にはうるさく言われたものだが、ここでは、キャビアなどの高級食材を使い、見栄えばかりを追求しているようだ。パンもパサパサだった。フィンガーケーキは数多く載っていたが、肝心のスコーンは最悪。せっかくのヘレンドの器が泣いている。
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