ザ・プリンス軽井沢 Executive Twin Room | |
The Prince Karuizawa |
2009.09.26(土)
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長野県北佐久郡 |
哀-3
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濃霧 | 大賀ホールでのリサイタルに関連して、軽井沢で2泊することになり、これまでで一番印象のよかったザ・プリンス軽井沢への滞在を決めた。だが、秋の週末は混雑しており、2泊連続で同じタイプを予約することができなかった。1泊ずつ部屋を移る必要があったが、それはそれで異なる部屋を体験できるので、むしろ楽しみでもあった。 新幹線で軽井沢駅に着き、そこからプリンスまではタクシーで向かう予定になっていた。駅前のタクシー乗り場へと歩いてると、ちょうどプリンスのミニ送迎バスが目にとまった。 ザ・プリンスにも行くのかと運転手に尋ねたところ、このバスは途中止まりだが、乗り継げば行けないことはないとのこと。この場合20分程度かかるが、ザ・プリンスに電話を掛ければ迎えが来るので、その方がいいのではないかとアドバイスされた。しかし、待つのも面倒だったので、そのままタクシーを利用して向かうことにした。 正面玄関で出迎えたのは若い女性のベルアテンダントだった。続いてフロントでも、若い女性が担当した。まだ経験が浅いからか、あるいはそもそも手厚いサービスを提供するつもりがないからか、若い女性たちに好印象な点は見られず、人の気分をよくする要素はまったく持ち合わせていないようだった。 チェックインは、単なる手続きだけで終わった。客を歓迎するでもなく、笑顔のひとつを見せるでもない。いつからこれほど落ちぶれたのだろう。到着早々ガッカリした。ルームキーが渡される前に、レストランなど館内についての説明があった。 部屋への案内も行われたが、終始暗い雰囲気が付きまとって、だんだん気が滅入っていく。よいホテルとは、客の気分を高めてくれると同時に、上品で洗練されたサービスを提供するものだ。ここには今のところそのどちらもなく、無味そのものだった。 部屋に入ってからは、室内設備の説明があったが、それは主に通気口の扱い方について。入口がオートロックでないこと、LANケーブルはデスクの裏から引っ張り出さなければならないこと、ウェルカムお菓子が冷蔵庫に入っていることなど、説明を要することは他にもあるのだが、それらは割愛された。 夕食は、リサイタルに向けて気分を高める目的も含め、「ボーセジュール」で大盤振る舞いをする覚悟でいたのだが、一連のサービスで意気消沈したので、来店そのものを取りやめることにした。 1泊目に利用する部屋は、改装が済んでいるエグゼクティブルーム。ふれ込みでは大々的に改装したような鼻息だったが、実際、部屋に入ってみての印象は、さして変わり映えしないという程度のものだった。壁紙やカーペットはかなりの安物を使ったために、かえって陳腐になったようにも感じられる。 一番の改良点はベッドだろう。厚いマットレスやテネリータのベッドリネンを使い、一見清潔で心地よさそうな環境を整えている。他の家具は、レザー張りのイスを含め、以前とまったく変わらない姿で活用されており、それはそれで風情があっていいという見方もできるが、改装済みをアピールするには物足りない。 テレビは32インチの液晶を導入したが、まだアナログ放送のまま。DVDプレイヤーも備えるようになった。ベイシン脇に置かれたティーセットには、ローズヒップティー、カモミールティー、ドリップコーヒーの無料サービス。ミネラルウォーターも2本が無料で用意されている。 バスルームは以前のままで、シャワーカーテンを引くと、バスタブが非常に暗いのも変わっていない。バスアメニティはシャンプー類がアロマテラピューティクスで、固形ソープはアシュホード&ホール。タオルは3サイズが4枚ずつ置かれ、いずれもテネリータのオーガニックコットン製だが、残念なことにすべてが青魚のように生臭かった。 最上階にあたる3階は、天井が斜めになっており、最高部分は270センチある。しかし、最低部分は225センチと、他のフロアよりも低くなっているようだ。 ザ・プリンス軽井沢の最大の魅力は、静けさである。小学生以下は利用できず、館内は落ち着いた雰囲気が保たれているし、室内のBGMチャンネルにも優しい音楽を使っている。 そして、一面の大きな窓からのぞむ池や浅間山は、終日眺めていても見飽きることがないほどだ。だが、この日はあいにくの天気で、浅間山はずっと雲に隠れたままで、時折、日が差しながらも雨が降っていることがあった。 夜になってもターンダウンは来なかった。早めに就寝しようと、デュベをめくりあげたところ、シーツに泥のような汚れが付着していた。それも盛大に染み込んでいる感じで、これを見逃してベッドメイクしたとなれば、不注意では済まされない域であった。 早速客室係を呼んで見てもらったところ、「ああ、ではシーツを替えますね」と、まるで客が自分で汚した時のような対応を取ろうとしたので、説教をすることになってしまった。 この部屋が下の階よりも高い最大の理由は、ベッドとリネンが良質で快適であるという点なのに、そこに不備があっては価値は台無しである。それを従業員が心得ていないのは非常によろしくない。ウリにしているポイントには一層の注意を払って仕上げるべきである。 いささか強い口調で言ったからか、客室係は恐れをなし、新しい部屋を用意し、コーヒーの差し入れを持参した上に、ミニバーを無料にすると言い残して、新たな部屋を後にした。その後は、フロント係も含め、それまでよりも丁重なサービスを見せるようになったが、不手際があって初めて出てくるようなサービスは本物とは言えない。 翌日、予定通り部屋を移った。同じ部屋を使えるように配慮があるかと思ったが、やはり混み合っていて難しい様子。だが、むしろランクの低い客室に移ってみて、新装客室との差がどの程度あるのか、そしてその料金差が妥当であるかどうかを確かめる上では好都合だった。 移った先の部屋は1階。客室廊下が屋外にあるので、ヴィラに泊まるような気分もわずかに感じられる。そして、入口と居室の間にレンガ床のミニキッチンがあるのが特徴となっている。 居室内やバスルームの造りは、基本的にエグゼクティブルームとほとんど同じ。天井は平らで、高さは240センチ。ベッドや寝具は昔ながらだが、全体の調和という点ではこちらの方が優れているし、軽井沢プリンスらしさに満ちている。 壁紙やカーペットも、むしろこちらの方がいい。タオル類はオーガニックコットンではないが、使い心地に不足はなかった。全体を比較した結果、何も改装済みの部屋に高い料金を払って泊まる価値はないということがわかった。最も安い部屋であっても、十分にこのホテルらしさを感じられるし、逆に高い料金を追加しても、満足はさほど増加しないだろう。 滞在中、温浴施設「森のホットスプリング」に出向いてみた。源泉をそのまま使い、付加水だが、循環ろ過しているとのこと。どうも湯のにおいがクレゾールのようで、肌触りにも違和感があって、好きになれなかった。これなら水道水のバスタブで十分。 チェックアウト後は、ベルボーイがホテルカーで軽井沢駅まで送ってくれた。ホテルスタッフも驚くほどの濃霧。これもまた、ある意味、軽井沢らしい経験だった。 |
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ザ・プリンス軽井沢(公式サイト) | |
以前のレビューはこちら→ | 060527 |
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