ホテル ブエナ ビスタ Standard Twin Room
Hotel Buena Vista
2009.05.25(月)
長野県松本市
楽-3

吹き抜け2階からの風景
 
マイハニー 午後の飛行機で新千歳から羽田へ移動し、新宿駅からのあずさに乗って松本へ向かった。新千歳から信州松本への直行便も1日に1便だけ飛んでおり、2時間足らずのフライトで松本まで行けるのだが、それに乗るには午前中のうちに用事を済ませなければ間に合わず、昼食の約束を終えてからだと、東京経由で倍以上の時間を掛けて移動するしかなかった。

飛行機を乗り継ぐだけならまだしも、空港から離れた場所にある駅から列車に乗り継ぐのは、なかなか面倒だった。小樽を出てから約7時間。降り立った松本駅から、いざホテルへ向かおうと思った時、そういえばホテルの場所をよく知らないということに今更ながら気がついた。

宿泊予定のブエナビスタには、かなり以前ではあるが泊まったことがあるし、数年前に松本を訪れた際には、泊まりこそしなかったが、車でホテルの前を通過して建物を目にしていたので、すっかり場所を把握していると思い込んでいたのである。そうか、松本ではいつも車で行動していたから、駅とホテルとの位置関係がわからないのか。駅構内をざっと見渡すが、ホテルの案内広告は見当たらない。

もう少し落ち着いて見回せば、近隣の地図を見つけることも難しくはなかっただろうが、今はとにかく、足を緩めるより、一刻も早く部屋に入ってバスタブに張った湯に身を委ねたかった。まるで当局に追われる逃亡者のごとく、とりわけ急ぐことも立ち止まることもせず一定のペースで歩き続けたが、ひと気もなく暗い通りに出た今、目的地に辿り着くには、もはや勘に頼るしかなかった。

だがこの勘は、一種の嗅覚のようなもので、数少ない自慢のひとつ。世界中どこででも実に頼りになるのだ。結局のところ、何の迷いもないまま、5分後には最も合理的な最短距離を歩いてホテルに到着していた。

エントランスを入ったところは、主棟から張り出した吹き抜け空間になっており、アジアのリゾートを思わせるようなダークブラウンを基調としたインテリアが目に入る。その空間にはレストランとラウンジがあり、改装を経て大きくイメージを変えたことがうかがえる。

宿泊ロビーは奥の方にあり、そこはもう天井の低い主棟の一部だが、内装のテイストは吹き抜け同様に深い色調とコントラストの強い照明で装飾されている。フロントカウンター前には正方形のベンチと、ひとつのソファがあるだけで、気軽に座れるところの少ないロビーだが、一角にはパソコンや観光資料を揃えた小さなラウンジが設けられている。

チェックインはスムーズだった。フロントの係は若く、ハキハキとした明るさが印象に残るが、フロント前に並んでいる他の客の存在に気付かないなど、視野の狭さも感じられた。今回の滞在は4連泊の予定。エージェントが手配したものなので、どのような部屋が予約されているのかはわからない。もし、シングルルームだったら、少し広い部屋に自費で変更しようと思っていたが、ツインルームが用意されていたので、そのままにした。

時計を見ると午後10時を回っている。新千歳から羽田へ向かう飛行機で機内食を少しだけつまんだだけで、それから何も食べていないので、やや空腹を感じていたのだが、時間が時間だけにもう食事は控えた方がいい。せめてコーヒーでもと思ったが、ホテル館内も近隣の店舗もすでに終わっているとのこと。今週は夜が長そうだ。

客室は6階から13階にあり、うち、12階は改装済みのモダンインテリアフロア、13階はスイートフロアになっている。今回はホテルの標準客室である27平米のツインが用意された。レイアウトこそありきたりだが、昔ながらの立派な家具や窓上の間接照明が個性を感じさせる。窓際に置かれたふたつのアームチェアは、アームの部分に見られるエレガントなカーブや、ヘッドボードやデスクをはじめとした家具木部のピアノフィニッシュ光沢塗装など、まるで楽器のようなぬくもりと美しさを備えている。

ファブリックは淡いベージュにソフトなピンクをあしらっている。やや柄が古くささを醸しているが、開業から17年半経った今でも、ホッとくつろげる居心地のよさは失われていない。好き好きはそれぞれだろうが、中途半端にモダンテイストを注いだパブリックスペースよりも、既存客室内の方がバランスと品位が保たれていることは確かである。

照明もやわらかな光でムードを感じさせつつも、明るい電球で照度を確保している。収納面では、バゲージ台の下に2段の引き出しを設けているものの、クローゼットそのものが小さいため、やや不足感があったのと、室内金庫がないことに不便を感じた。

ベッドは昔ながらにカバーと一体になった寝具を使い、きめの粗いベッドリネンが眠りの質を下げている。せっかくシティホテルの機能を持ち合わせていても、ベッドひとつでビジネスホテルに完敗する時代ゆえに、室内環境の質には後れをとらないようにすべきだろう。

バスルームは160×200センチサイズのタイル張りユニット。こちらも内装が古い感じではあるが、大型のバスタブやハンドと固定両方のシャワーヘッドを備えるなど、使い勝手に不足はなかった。バスアメニティはアロマエッセのディスペンサーボトルと、簡素なパッケージのロゴなしアイテム。タオルは3サイズを2枚ずつに加え、ウォッシュクロスを1枚だけ添えている。

清掃は丁寧に行われているようだったが、ひとつだけ不思議なのは、4泊中、一度もベッドリネンを替えてくれなかったことである。2泊に1回とか3泊に1回と、ベッドリネン交換の頻度を抑えているホテルが増えている中、ここもそうしているのかと思ったが、さすがに4泊して1度も替えないのは不自然だし、大抵はどの頻度で交換するかは表示されている。

チェックアウト時にフロントで交換基準を尋ねてみたら、基本的に毎日交換するとのこと。ではなぜ?と重ねて問いかけても、首をかしげるだけだった。どうやら、係には重要なサービスを提供できなかったという遺憾はないようだった。

朝食は1階の「ラ カフェテラサ」でブッフェ形式にて提供される。店内は、吹き抜けに面した明るく広いテーブルのあるコーナーと、狭くて小さなテーブルを詰め込んだ薄暗いコーナーに分かれている。どうしてこのようなアンバランスな配置にしたのか、センスを疑う。客がひとりだとわかると、知恵を使おうとしない従業員たちは、機械的に狭い席の端から詰め込んでいこうとするので、「あそこがいい」とちょっとしたワガママを言った方が、格段に心地よい雰囲気で朝食を楽しめる。

ブッフェの内容は和洋揃うが料理はありきたり。ハチミツの用意がないとのことで、ホテル内にある土産物店で、大きな安曇野蜂蜜のボトルを購入し、毎朝マイハニーを持参した。このハチミツが共演者たちにも好評で、皆それぞれに土産として買い求めていた。なんだか、ハチミツの販促スタッフになった気分だった。

 
27平米のスタンダードツイン 窓上の間接照明がアクセント 珍しくないレイアウトながら家具は上質

ベッド環境は旧式 窓際のシッティングエリア デスク

クローゼットとミニバー 冷蔵庫内 窓からの眺め

ベイシン バスタブとトイレ シャワーは固定とハンド両方ある

スタンダード客室階廊下 8階エレベータホール フロントからエレベータホールへの通路

フロントカウンター前 ゲストラウンジ パソコンコーナー

12階はモダンな雰囲気 12階エレベータホール 12階廊下

夜のメインエントランス 吹き抜けに面したイスとテーブル ある日の朝食

マントルピースを囲むロビーラウンジ ロビーラウンジの奥にはライブラリー風のコーナーもある 外観

 ホテル ブエナ ビスタ(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 950105


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