ザ・クレストホテル立川 Deluxe Twin Room
The Crest Hotel Tachikawa
2008.08.24(日)
東京都立川市
喜-3

上品なデラックスルーム
 
夏祭り 強い雨が降りしきる午後、立川駅南口は祭のために車の乗り入れが禁じられており、タクシーすらつかまえることができなかった。人の歩みはいつも通りで、車がなく警察官や警備員が多いことを除けば、なんら平常時と変わらない。いったいどこで祭をやっているのだろう。それはさておき、クレストホテルに行かなくては。

天気がよければ歩くのもさほど苦にならない距離だが、今日はタクシーを使おうと決めていた。祭は想定外。夜には大切な食事会を予定しているので、お気に入りの靴を履いてきた。できることならば濡れた地面は歩きたくないのだが、いつ始まるとも終わるともわからない正体無き祭のフィナーレを見届けるのはもっといやだった。仕方ない。意を決して歩くとしよう。

ホテルに着く頃には、靴だけでなくズボンの裾までびしょ濡れになっていた。メインエントランスに小さなタオルが用意されていたので、それを拝借してカバンや裾の露を掃ったが、さすがにそれで靴を拭くわけにはいかない。雨の染みた靴を見るのは、水に落とした携帯電話を見る思いだったが、気を取り直してフロントへと向かった。

係は礼儀正しく、チェックインは正確。加えて、前回トラブルがあった際に対応したマネジャーが顔を見せ、改めて前回のことを詫びるとともに、「ご迷惑をお掛けしたにもかかわらず、ふたたび当ホテルをお選びいただき誠にありがとうございます。」と言ってくれた。その声のトーンや振る舞いにも誠実さを感じ取ることができ、彼の株は一気に上昇。また立川に泊まることがあれば、ぜひともここを利用しようと心に決めた。

向かった部屋は9階のデラックスルーム。スタンダードルームを予約していたが、これもまた前回の詫びにとアップグレードしてくれたのである。各階のコーナーに1室ずつ設けられたデラックスルームの広さは36平米で、広さという点においても27平米のスタンダードルームとの差は大きい。しかし、インテリアのグレードには面積以上の差が感じられ、このクラスのホテルならスイートで採用するレベルの内装を施している。

部屋の形状は横広く、2面の窓を持っており、ちょうどシングルルーム2室分だ。エントランスドアから内扉までの間にはクローゼットとミニバーを設け、バスルーム入り口もここに配置されている。ドアチャイムはインターホン付き。内扉を入るとすぐにデスクユニットとシッティングエリアがある。イスは二人掛けと一人掛けが対面して置かれており、座面が硬いので寛ぎのソファという感じではない。デスクは小さいが、4段の引き出しも備わっている。

ベッドは窓に足を向けるように置かれており、足元には収納付きオットマンを添えた。ベッド幅は120センチで、寝具はカバーと一体化したタイプを採用している。テレビは2面の窓の間に設置。まだブラウン管テレビで、リモコンは日比谷の帝国ホテルで見慣れたタイプ。テレビの下にはチェストがあり、脇にはサイレントバトラーも用意されている。部屋の奥には独立したドレッサーも据えるなど、いかにもホテルらしさのある設備を整えている。

270センチの天井にはシーリングライトを設置。その他、フロアスタンド、ナイトランプ、デスクスタンド、ドレッサーのライトがあるが、それぞれの器具が立派で、インテリアの一部として部屋の雰囲気を高めている。カーテンは電動。バスルームは手前にカーペット式のベイシンエリアがあって、その奥にタイル張りのバスタブとトイレを配置した。全体で約5平米と、ゆとりのある面積だ。バスタブにはサーモスタット付きカランを備え、シャワーの水圧は強力。刺繍入りのタオルは3サイズが2枚ずつ揃い、バスローブも備えている。

だが、シャンプー類は壁掛けディスペンサー式で、全体に高い質感を実現している中で、ひときわチープに感じられる。それでも、トータルでの居心地はなかなかのものだった。高級感のあるカラーコーディネート、上質な家具、そして懐かしく軽やかなBGMもあり、90年代のホテルライフを思い起こしながら、やわらかく穏やかな時間を過ごすことができるだろう。

夕方になって、約束のレストランまで出かけようとしたが、まだ強い雨が降っていた。その上、まだ祭の影響が続いており、ホテル前の道は大渋滞していた。これではタクシーを拾うことも出来ないし、手配してもらってもいつ到着するかわからないとのことだった。だが、ホテルの送迎バスは時刻どおりに出発するらしい。ならば、それを利用するのが、現状ではベストチョイスなのではないか。

聞けば、今なお駅南口には車が入れないため、今日に限ってルートを変更し、駅北口に向かうとのこと。それはかえって好都合だったので、とりあえずバスに乗り込んだ。バスは予定通り発車したが、すぐに渋滞にはまった。やがて駅の近くまで到達したが、そこから先はまったく動かなくなってしまった。

いくつか先の信号を見ると、赤になったまま変わらない。どうやら神輿が通るらしい。この雨の中、祭は佳境を迎えているのだ。この調子だと、神輿が通り過ぎるまで、バスは動かないに違いない。バスを降りて歩いた方がよさそうなので、運転手に降ろしてもらえるか聞いてみると、申し訳ないと言いながら扉を開けてくれた。しばらく歩くと、ちょうど神輿に遭遇。賑やかな祭囃子の中、つかのま夏祭りの風情に包まれた。

 
スイートのクオリティが感じられる 天井高は270センチ 窓は2面

引き出し付きのオットマン ナイトランプ ドレッサーもある

シッティングエリア デスクは小さめ クローゼットとミニバー

バスルーム ベイシン アメニティ

窓からの眺め きらびやかな照明器具 宴会場への階段

 ザ・クレストホテル立川(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 080413


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