ローズホテル横浜 Executive Suite
Rose Hotel Yokohama
2008.07.14(月)
横浜市中区
喜-3

リビングにあるスタンドライト
 
横浜では貴重な屋外プール 週末には多くの観光客で祭りのような賑わいを見せる中華街も、平日は静かな時間が流れている。ローズホテルのロビーもまた同様だった。夏の日差しが照りつける屋外からホテル館内に入ると、冷房がよく効いており、一瞬ブルッとした。まるで台湾や香港のホテルに迷い込んだかのようだ。

中国趣味でコーディネートしたロビーのインテリアも、そんな異国情緒を一層かきたてる。ロビーは大理石張りで、低い天井にはミラーを張って広がりを演出。エントランス正面には待ち合わせにも便利なシッティングスペースを設け、赤いカーペットを敷き、グリーンのベルベットドレープとレースで囲むという独特のコーディネートを施している。

フロントには係たちが礼儀正しく居並んでいた。さて、誰にチェックインをしてもらおうか。今ならよりどりみどりだ。男女入り混じっているが、全員若々しく、フレッシュな雰囲気。だが、フロント前でひとりひとりの顔を見定めて、相性診断をしているのも、傍から見れば奇妙に違いない。フロント係に変人扱いされるのは是非とも避けたいので、一番目立っている係のところへ向かった。

はっきりとした目鼻立ちの女性は、確かに沖縄方面の出身に見受けられた。辺に力むでもなく、リラックスした表情をしながらも、接客に必要な節度ある緊張感は保っている。こういう態度でいれば、万が一、客が不満に感じる事態が生じても、おおめに見てもらえる可能性が高い。要するに「キャラ得」するタイプ。ホテルには貴重な人材である。事実、彼女の接客は期待通り気持ちのよいものだった。

客室へは別の係が案内してくれた。エレベータは3基。エレベータホールは見事な大理石造りで、エレベータ扉は山水画を思わせる渋いテイストだと思えば、エレベータ内は金や赤を使って華やかに彩られている。客室フロアはスタンダード、スーペリア、デラックスと3つのカテゴリーに分けられ、廊下も含め、フロア全体のインテリアやクオリティに差を付けている。

今回用意された客室は最上階デラックスフロアにあるエグゼクティブスイート。このスイートは、901号室と933号室の2室があり、901は山側で出窓になっているタイプ、933は海側で窓は平らなタイプだ。このホテルで山側の出窓タイプに泊まったことがないので、そちらになることを期待していたが、今回もまた平窓タイプになった。

海側といっても、横浜らしい港の景色が望めるわけではなく、眺めの大半は目の前の高層マンションに遮られているが、その隙間からかろうじてわずかな海面が見える。室内は標準客室2室分の広さで、リビングとベッドルームが完全に独立した構造になっている。

扉を入ると、ちょっとしたホワイエがあり、ゲスト用のトイレとコーンソールを配置。リビングには大きなソファセット、ライティングデスク、アーモアを据えている。また、大理石カウンターのウェットミニバーを設置しており、これが内装にも効果的な役割を果たしている。家具類は香港のデザイナーによるもので、中国的な装飾とイギリス的なファブリックを見事に融合している。

リビングで最もインパクトがあるのは、赤地にバラ模様の壁紙であろう。この種の壁紙を使うにはかなりの勇気というか大胆さが必要だ。一歩間違えば甚だ下品になるところだが、金塗装の鏡枠やデスクチェアとバランスが取れており、サイドテーブルに載った白磁のスタンドが良く映える。オットマン付きのアームチェアは赤と銀のダイヤ柄とこれまた華やかだが、ソファやカーペットは控えめな色彩感のものを選んでいるなど、色のコントラストが巧みだ。

エグゼクティブスイートに禁煙室はなく、あらかじめ消臭を頼んでおいたので、タバコの臭いが気になることはなかったが、室内全体に香港的なにおいが感じられ、それもエキゾチックなイメージを刺激する。アーモア内のテレビは薄型液晶だが、地デジは映らない。またLANは無料だが、接続口はリビングのデスクにのみ設けられている。

続くベッドルームは、リビングと比べると落ち着いた色調だ。家具のテイストは共通なので、この落ち着きは主に壁紙やファブリックに赤を使わなかったことでもたらされたもの。ベッドは140センチ幅が2台並び、窓のすぐ近くまで迫っている。マットレスはシモンズ製7インチ。その上にふわふわの羽毛マットを敷いているのがユニークだ。グリーンのコンフォーターケースも、寝室らしい穏やかな色彩感だ。他に、置き家具のクローゼット、デスク、アーモアを設置しており、クローゼット内には引き出し収納が備わっている。

バスルームは約5.5平米。床とベイシントップに2種類の大理石を効果的に用いているが、壁はタイル風パネル仕上げに留めている。ベイシンはダブル。大きめのバスタブと、独立したシャワーブース、トイレを設置した。BGM用のスピーカーはBOSE。アメニティはロクシタンで揃え、バスローブとともにタオルも豊富に用意してある。快適なバスルームではあるが、シャワーブースの湯温が、いくら冷たい方に設定しても、熱い湯しかでてこなくて困惑した。

ルームサービスは洋軽食とともに、重慶飯店の中国料理が充実。しかもリーズナブルな価格が嬉しい。注文すると、まさに出前感覚で運ばれてくるのも面白い。ナプキンや茶はおろか、水すらも添えられていなかった。

ローズホテルの屋上には、今や横浜では貴重となった屋外プールが設置されており、宿泊客は無料で利用できる。部屋の案内によれば「ルーフトッププール」という日本語に加え「JET STREAM POOL」と紹介されていたので、どんな仕掛けがあるのか楽しみにして出かけた。

屋上のプール受付には、アルバイトらしき男の子がいた。だが、爆睡中。よほどヒマなのだろう。夢の途中でお邪魔して悪いが、ちょっくら起こさせてもらった。ここで靴とルームキーを預けると、タオルを一枚貸してくれるという仕組み。狭いながらロッカールームが用意されてるがロッカー利用には100円玉が必要。部屋の案内に明記しておいてくれればいいのに、知らなかったものだから財布は持ってこなかった。仕方なく、衣類はそのままプールサイドに持っていくことに。

プールは空いていた。外国人の先客が甲羅干しをしていたが、ちょうど日が翳ってきて、程なく退散して行き、貸切になった。プールは9×13メートルの小型サイズだが、プール枠が大理石造りで、シェル型のシェイプもユニーク。脇に小さなジャクージもあるが、温度はプールと大差ない。

で、何が「JET STREAM」なのか。どうやらプールに設置された噴水が勢いよく水を吐く様子を表したものらしいが、その機能は停止しており、目にすることが出来なかった。プールサイドには、デッキチェアやイステーブルが並んでいるが、パラソルがひとつもないため、晴天時に長時間を過ごすのは厳しい。むしろこの日くらい曇っている方が、泳ぎたい人には好都合かもしれない。このプール、ぜひ廃止せずに、維持し続けてもらいたいと願う。

 
ホワイエ部分 夕刻のリビング 窓の方からリビングを見る

リビングのデスクとアーモア リビングのソファセット アーモア内には液晶テレビ

オットマン付のイス 折戸で隠せるウェットバー 冷蔵庫内

リビング側トイレ ベッドルームの収納家具 ベッドルームのデスクやアーモア

ベッドルームからリビング方向を見る ベッドルーム全景 抹茶カラーのコンフォーターケースがユニーク

バスルームのミラー ベイシンはダブル アメニティはロクシタン

シャワーブースの左の影にトイレがある バスタブ 棚にはタオル

屋上プール プールサイドにはジャクージ 小さいが気持ちのよいプール

デラックスフロアエレベータホール ロビー階エレベータホール ロビー全景

メインエントランス前 ユニークなホテル外観を見上げる ここは中華街の一角

 ローズホテル横浜(公式サイト)
 以前のレビューはこちら→ 051104


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