山の上ホテル Septo Suite | |
Hilltop Hotel |
2008.01.30(水)
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東京都千代田区 |
喜-3
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堅実なホテル | 山の上ホテルの本館と別館は、完全に別の建物になっており、それらの往来には間にある道路を横切らなければならない。太い道ではないが、割と交通量もあるため、ホテルの客が道を横切る際には、玄関前に立つホテルスタッフがそれを注意深く見守っている。ホテル前のスペースに駐車した車が出発する際も同様に、スタッフが誘導すると共に、付近にいる歩行者にも注意を払っている。
フロントは本館、別館で独立しているので、このホテルに宿泊する際はどちらの棟に滞在するのかを把握しておいた方がいい。今回は別館の部屋を予約してあるので、別館のフロントへ向かった。クロークのように小さな本館フロントと比べると、別館フロントは明るく開放的な印象があるが、それでもプチホテルのコンパクトさだ。 重厚感漂う本館に対し、別館は白を基調としたコーディネートで、昭和におけるモダンさのような雰囲気がある。無駄なスペースを割けるほど敷地も広くないが、フロントの前はゆとりある空間を確保し、ロビーラウンジを兼ねたシッティングエリアには渋いソファが整然と並んでいる。その一角にはクラシカルなライティングデスクが設置されているが、その上に数々の辞書が用意されているところが、なんとも山の上ホテルらしい。 チェックインはとても丁寧な印象を受けた。フロントに立つスタッフは全員が生真面目な男性。振る舞いにも折り目正しさが感じられ、引き締まっている。レジストレーションカードに記入を済ますと、ルームキーだけが渡され、電話で本館から呼び寄せたベルアテンダントが客室まで案内してくれた。 1基しかないエレベータで最上階へと向かう。最上階にあたる7階は、セプトフロアと名付けられた特別階だが、ラウンジなどは持たず、内装やアメニティに特徴がある。部屋に到着すると、ベルアテンダントからスイッチ類の説明があり、程なくして客室係がほうじ茶と湯の入ったポットを届けに来た。 今回の部屋はフロア唯一のスイート。全体でわずか40平米程度の小さなスイートだが、リビングとベッドルームは完全に独立している。室内はダークブラウンとベージュを基調としたコーディネートになっているが、これはこのフロア共通のカラースキームであるようだ。そのシックな色調にビビッドなアクセントカラーを配すことで、コンパクトな空間に起因する閉塞感を軽減している。 入り口を入ると、エキストラのトイレと充実した収納スペースがあって、この場所がちょうどレギュラールームのバスルームにちょうどいい広さであることからすると、このスイートは改装前まではそれぞれ独立したふたつの部屋だったのかもしれない。 リビングルームに入って最初に目に飛び込んでくるのは、205センチ幅の大きくて鮮やかな赤色をしたソファである。その前には同色のスツールとローテーブルが置かれ、ソファの正面の壁には45インチのディスプレイが設置されている。その下には間接照明が埋め込まれたサイドボードがあり、BOSEのCD/DVDプレイヤーとサウンドシステムを収納し、上にはささやかな花が飾ってある。そのほか、窓際には金属製のバゲージ台や、ティーテーブルを挟んで白いレザー張りアームチェアも用意されるなど、コンパクトな空間を有効に使い、限られた広さから想像される以上に充実した設備を揃えている。 ベッドルームには120×200センチのベッドがハリウッドスタイルに2台並び、8インチのマットレスと軽やかなデュベが心地よい眠りを誘う。毛布をスローケットとして掛けているのが面白い。ベッドボードには間接照明が埋め込まれ、両サイドにはナイトランプを設置。天井の間接照明もあわせ、高い照明効果をあげている。ベッドルームのテレビは26インチで、CDプレイヤーも備える。 窓際に細いクローゼットがあり、バスローブやスリッパはそこに収納されていた。その脇にあるデスクユニットは、ビジネスデスクとして使うにはやや狭いが、一部がポップアップしてミラーとバニティケースになる仕組みだ。デスクユニットの下はミニバー冷蔵庫になっており、豊富な飲み物が入っている他、無料のハーブティや冷水も用意されている。 バスルームとベッドルームとは、磨りガラスの壁で仕切られている。扉はスイング式だが、これはスライド式にした方がよかったように思う。広々としたバスルームは6.5平米。大理石張りで立派な上に、デザインにも凝っている。バスタブはジャクソン製のジェット&ブロアバスで、150×105センチと、特に幅にゆとりがあるサイズ。隣接するシャワーブースは110×105センチで、棒状のシャワーヘッドを採用している。 ベイシン周りはやや狭いが、ここだけ本磨きの石を用い変化を与えている。ベイシン脇には棚があって、そこに豊富なタオルを用意。アメニティは最近あまり見ない「renoma」ブランドで、国産という点もまた珍しい。歯ブラシやシェーバーはエルメスを思わせるオレンジの箱に入っているが、無論エルメスとは無関係のようだ。 食事はディナーとランチに本館の「ヒルトップ」を利用した。小ぢんまりとしたコーヒーショップで、リーズナブルな値段が嬉しい。ディナーは2,000円の「懐かしの洋食セット」が興味深かった。メインディッシュは牡蠣とほうれん草の軽いグラタンやハンバーグステーキ、チキンソテーなどから選べ、他にサラダ、パン、シャーベット、コーヒーが付く。ランチも千円台とリーズナブル。パスタのセットに300円の追加で大きないちごショートケーキが付いていた。サービスはとても謙虚で快適。懐かしい雰囲気を持ち、とても心地よい店だ。ホテルの堅実な姿勢が、大きな安心感につながっていることを実感する滞在だった。 |
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山の上ホテル(公式サイト) | |
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