清潔でキリッとしたユニフォームを身に着けたスタッフの礼儀正しいサービス。余分なもののない明るいロビー。その片隅にはクラシカルなファニチャーが置かれ、書物を読みながら静かに過ごしている客たちの姿。ホテル日航福岡は、その名から想像されるよりも正統派のホテルであり、サービスのグレードは高い。
このホテルのフロント係の知的でスピーディな対応や、ベルアテンダントの立ち姿の凛々しさなど、雰囲気だけでいい気になっている外資系ラグジュアリーホテルにも見習って欲しいことが山ほどある。
若いベルアテンダントに案内されて向かった客室は10階のシングルルーム。途中、エレベータホールにはカサブランカが飾られ、甘い芳香がかすかに漂っていた。室内は21.5平米。書斎をイメージしたという深い色合いのインテリアは、どちらかというと男性的だ。だが、独立したドレッサーや、一輪挿しのかわいらしい花など、女性に嬉しい工夫もされている。
ベッドは120センチ幅で、壁にピッタリと着けられている。その分、フロアには余裕のスペースができ、室内が広く感じられる。日課の腕立て伏せなども難なくできるスペースがあってありがたかった。ライティングデスクは小ぶりだが、壁から独立して部屋の中央を見るような向きに置かれている。真鍮製のデスクスタンドも雰囲気を高めている。部屋の隅にはテレビ、ドレッサーを挟んで冷蔵庫、ミニバー、細いクローゼットが設置されている。ミニバーアイテムは充実し、お茶セットには急須も備わっている。
部屋に入った時は、暑い一日だったからか、非常によく冷房が効いた状態だった。ベルアテンダントがすぐに調節してくれたので、程なく寒さは感じなくなった。よくできた部屋だが、強いて言えば、くつろいで座れるソファが欲しいところ。
バスルームはタイル張りのユニットだが、シングルルームにしてはとても大きめの160センチのバスタブを備える。タオルはバスタオルとフェイスタオルを2枚ずつ、それに加えウォッシュクロスが1枚用意される。アメニティはフェラガモで揃えた。清潔感のあるバスルームだが、シャワーの水圧が低いのが気になった。
短い滞在だったが、3軒のレストランを利用した。まずは「セリーナ」で夕食を。お勧めメニューに載っていたビーフシチューのセットを注文した。コーヒーショップとしてはとても洗練されたサービスを行い、コストパフォーマンスに優れているが、やや個々のテーブルが小さすぎる印象。料理は、サラダひとつ取ってもきちんと盛り付けられており、新鮮さが十分に感じられる出来栄えだった。
朝食には「弁慶」を利用した。英語では「Benkai」と標記するそうだ。早い時間から混雑するだけあって、こちらも丁寧に調理されている一品ごとに味わい深さのある朝定食だった。出発前には、「ティー&カクテルラウンジ」でカプチーノを。コロニアルスタイルのインテリアが印象的で、カプチーノも二重の皿に載せられて出てきた。ゆったりとしたソファが落ち着ける。
宿泊も飲食もとても洗練されており、ブレのないサービスぶりだった。開業から16年。安定したいいホテルという印象は、まさに正統派の貫禄だ。
|